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完売続出の繁盛店が教える「売れるメルマガ」の極意 (3/3)

2010年03月10日 11時00分更新

文●三浦たまみ

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――ネットショップのエキスパートが斬る!――

有限会社A-Commerceの笹本 克さんに、“市場の縮小”をチャンスに変えるポイント、また「リピーター依存型経営」の注意点について解説して頂きました。


リピーターの多さに油断せず、常に新規顧客の開拓を!

 縮小傾向にある市場のことを「シュリンクマーケット」と言いますが、石塚さんの扱うコインや古銭も、まさしくこれに当てはまると思います。業界全体が縮小しているため、ビジネスチャンスはないと考えがちですが、実はこれは誤り。縮小傾向にある市場は、需要が減るスピードよりも、供給側(=製造者や販売店)が減るスピードの方が速いことが多いため、そのジャンルの商品について「欲しいのに、手に入らない」という人の数は逆に増える傾向にあります。

 買おうとする人は、「減る傾向」にはあっても、絶対にゼロにはならない。つまり、衰退傾向のジャンルなり商品は、そのジャンルにおいて一定のシェアを占めることができる可能性が高くなるという意味で、大きなチャンスが潜んでいる場合があります。シュリンクマーケットで勝負している石塚さんのような業界の場合、他の商材よりもリピーターを獲得できる可能性もより高いと思います。


商品力だけに頼らない、“攻めのセールス”が必要

 はいえ、どんなにアドバンテージを持つ商材を扱っているネットショップでも、リピーター獲得に対しては手を抜いてはいけません。リピーター対策とは、ヘビーユーザーをも唸らせるような商品ラインアップを心がけたり、ポイント制度などを検討するなど、ショップを何度も訪れたいと思うサイト作りやサービスを導入すること。石塚さんの場合、メルマガを活用して、メルマガ会員限定でお買い得商品を提供するなど、基本を忠実に守って運営し、一定の成果を上げているといえるでしょう。

 ただし、リピーターの割合が多すぎるというのも問題がないとはいえません。リピーターが7~8割以上を占めているショップは、実は新規顧客を獲得できない構造になってしまっている可能性があります。ショップコンセプトや商品力によって顧客をリピーター化できているのは間違いありませんが、それに頼りすぎてしまい、“攻めのセールス”に欠ける傾向があるのです。

 リアルの例で言えば、定期的に顧客の家を回れば一定の売り上げが見込める、“手堅い商売”といわれる地域に密着したお米屋さんなどでさえ、リピーターは少なくとも毎年1割以上減っていくのが普通です。つまり、1割以上の新規顧客を獲得できなければ、どれだけリピート率が高くてもいずれ売上は減少することになります。リピーター対策はもちろんですが、新規顧客の獲得についても常に考えておくべきといえるでしょう。


笹本克有限会社A-Commerce取締役社長。全国各地で有名ECサイトを輩出。大阪産業創造館、東京商工会議所、福井県産業支援センター、三重県産業支援センター、高知県産業振興センター、富山新世紀機構、和歌山県情報政策課などのECセミナー講師も務める。コンサルティングの累計は約500社、上場企業から中小企業まで、通販サイトはもとより製造業やサービス業も含め大きな成果を出している。


協力:佐川フィナンシャル株式会社(http://www.sagawa-fin.co.jp/

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