AMDチップセットの歴史 その1
Athlon 64初期で終わったAMD単独のチップセット
2010年03月08日 12時00分更新
Athlon用チップセットのリファレンス AMD-751
K7用チップセットについては、当初からVIA/ALi/SiSの各ベンダーがチップセット提供を表明していたものの、競合メーカーのプレッシャーなどもあって、出揃うのは大分後になった。そのためK7の発表当初は、「AMD-751+755」という組み合わせがほぼ唯一の対応チップセットとなった。
もっとも、AMD-751+755はほとんどプロセッサーのリファレンスキットとでもいうべきもので、機能なども最小限だった。もっともほかに選択肢がなかったし、特に変な癖もなかったこともあり、このチップセットは相応に普及した。
これに続くのが「AMD-761+766」である。最大の目玉はDDR-SDRAMに対応したことで、ほかにもAGP 4Xの対応やUltra ATA/100への対応などが行なわれている。
このDDR-SDRAMについてはちょっと説明が必要だろう。こちらの記事でも触れたとおり、SDRAMの後継メモリーとしてインテルはDirect RDRAMを推したが、ほかのベンダーはすべてDDR-SDRAMを選択、「Team DDR」というキャンペーンを打った。AMDも当然こちら側であり、インテルとの差別化のためにも、早期にDDR-SDRAMへ移行する必要があった。
AMD-761はそうした「DDR-SDRAM開発のリファレンスプラットフォーム用に開発されたんじゃないか」と思うほどに、機能的にはシンプルなものだった。それでも、VIAなどのチップセット投入がやや遅れたのに対して、早期に投入された。さらには「Athlon XP」と同一タイミングで搭載製品リリースが行なわれたこともあり、こちらもSocket Aの初期にはかなり普及することになった。ちなみにチップセットの構成は、従来と同じくノースブリッジとサウスブリッジの間を32bit/33MHzのPCIバスでつなぐコンサバティブな構造である。
初のサーバー向けチップセット AMD-760P
このAMD-761からやや遅れて投入されたのが、「AMD-760MP」である。こちらはAMD初の2プロセッサーシステム向けチップセットであり、「AMD-762」+「AMD-766」の構成となっている。AMD-762は以下のような特徴を持つ。
- FSBを2本持つ:Slot A/Socket Aは、インテルのFSBと異なり共有バス形式ではない。2プロセッサー構成にするためにはFSBも2本必要となる。
- 64bit/66MHz PCIに対応:AMD-761と異なり、64bit/66MHzのPCIを持つ。そのため、サーバー向けなどに必要とされた64bitカードなどを利用できた。
- もっとも、AMD-766は64bit PCIには対応する(うち32bitだけを使って通信)が、66MHzには対応できないため、64bit/33MHzでの接続となる。
当初リリースされたのはAMD-762+AMD-766という構成だが、それから半年ほどおくれてリリースされたのが、「AMD-768」という新しいサウスブリッジである。66MHzでの通信に対応するほか、AC97 Audio Codecが内蔵されたのが主な相違点であり、これとAMD-762を組み合わせた構成は「AMD-760MPX」と呼ばれた。
このAMD-760MP/MPXについては、互換チップセットベンダーからこれに相当する製品が出なかったこともあり、Athlon MPと歩調を合わせる形で販売が続いた。しかし、肝心のAthlon MPがIntel Xeonの牙城を崩すには到らず、結果としてワークステーション向けや一部のローエンドサーバーに採用された程度に留まった。そのため、「K8」の登場にあわせて(Athlon MPと歩調をあわせて)ひっそりとフェーズアウトした。
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