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「Avaya Asia Pacific Partner Conference 2009」レポート【前編】

アバイアがノーテルを買収したこれだけの理由

2010年02月02日 09時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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ノーテルとの合併は
なぜスムースだったか?

 ノーテルとの統合に関しては、非常にスムースに進んだようだ。統合は12月に完了し、ロードマップもきわめて短期間に完成したとのこと。日本でも先週さっそくロードマップがお披露目された(【関連記事】Avaya Auraにノーテル製品を取り込むアバイア)。規模が違うとはいえ、オラクルによるサンの買収が10ヶ月以上かかっていることを考えると、発表から3ヶ月で買収完了にまでこぎ着けたのはスムースといえるだろう。グローバルセールスとマーケティングを統括するトッド・アボット氏を中心にした講演の内容を統括すると、いくつかの理由にまとめられる。

ノーテルとの統合後のワールドワイドの戦略を説明したグローバルセールス・アンド・マーケティング部門シニアバイスプレジデント兼フィールドオペレーション担当プレジデント トッド・アボット氏

 1つめはノーテル側がリストラをきちんと行ない、身軽になった上で、統合されたことだ。確かに統合によって、アバイアは全世界の従業員が1万5000人から2万人規模に拡大することになり、実際に元ノーテルのエグゼクティブも数多く残っていた。しかし、ノーテル全体の規模から考えると、かなり絞ったことも事実だ。さらに今回の統合が「合併」ではなく、破産した企業の「買収」であったことも大きい。対等な資本関係と規模感を持つ企業同士の合併のように主導権争いが存在しなかったため、短期間で方向性が明確に決まったわけだ。

アバイアとノーテルの得意分野や展開地域、ビジョンの違いを示した興味深いスライド

成長のためにまず手を付けることとして、レガシーのPBXをSIPに移行すること、アジア・太平洋地域の成長が重要であることが言及されている

 2つめは両者の企業文化が近いという点だ。いくらグローバル企業とはいえ、母体が異なれば、企業風土も大きく変わる。その点、カナダのノーテルと米国のアバイアは文化も似ており、両者ともキャリアへの機器販売を主体にした母体を持つ(アバイアの母体は元ルーセント)。よくいえば堅実、悪く言えばややおっとりしている両者の企業風土は、革新性やスピード感を重んじるシリコンバレーの企業とはやや異なる。新しく移ってきたノーテルの従業員が、アバイアに自然になじんだという話はイベント内でもよく聞いた。

 3つめはUCという成長分野を目指す両社のビジョンである。ご存じのとおり、両者はかなり異なる製品ポートフォリオを持っている。アバイアがコンタクトセンターとUCにフォーカスを絞っているのに対し、ノーテルは音声やUCのほか、データ通信、セキュリティ系を中心に幅広くインフラ系の製品を扱っている。しかし、レガシーのPBXという資産を持ち、それらをSIPベースのIP電話システムに移行させる必要があるという点では両社で共通している。そして、このIP電話の先にはUCがあり、共通のライバルとしてシスコがいるのも同じだ

 アバイアにとってみると、成熟市場のコンタクトセンターのみでは会社の成長が頭打ちになるのは見えているため、やはりUCの分野での成長を進めていく必要がある。その点、最適だったのがUC分野でいくつもの技術を持ち、アライアンスを成功させているノーテルとの統合というわけだ。また、エンタープライズよりも規模の小さいSME(Small Medium Enterprise)やSMB(Small Medium Business)といった市場での実績を持っているのも大きい。

 では、ノーテル製品をどのように展開していくのか? そして、その先にはどのような製品プランがあるのか? 次回はより具体的な製品のロードマップや展示会場で見つけた製品などを紹介していく。

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