テレビ局のコンテンツも「取り込む」ではなく「連携する」
――テレビ局との提携も積極的に推進されています。
徳生 国内外を問わず、テレビで放送されるコンテンツが最も魅力的な動画コンテンツのひとつであることは間違いありません。そういった魅力的なコンテンツをオンラインで提供する上で、YouTubeは様々な機能を提供できるプラットフォームだと考えています。すでにイギリスではChannel 4などが参加して、YouTube上でキャッチアップサービス(見逃し視聴)が提供されています。北米の事例でユニバーサルミュージックの「VEVO」をご紹介したいと思います。
このサイトでは、配信や広告などのバックエンドの技術の部分と、YouTubeからのトラフィック誘導という点で、我々がサポートしていますが、VEVO サイトを設計・運営しているのはあくまでユニバーサルミュージックをはじめとするVEVO陣営です。このモデルでは、YouTube のサイト設計にこだわることなく、コンテンツパートナー自らが効率的にオンラインサイトを運営し、自ら直接ユーザーと接することによりオンラインビジネスの知見を蓄積できるという点において、YouTube というプラットフォームの利用方法として最も進んだ例の一つだと思います。
――お話を伺っていると、YouTubeというサービスの中に全てを取り込もうということではなく、外部にあったり、あるいはオンラインになっていないものとつながっていこうという取り組みを続けている、という印象を持ちました。
徳生 ネットでのビジネスを行なっていないコンテンツホルダーも、将来的にはかならずその分野に出て行く必要に迫られます。利用していただけるパートナーあっての YouTube ですから、私たちは異なるニーズを持つコンテンツパートナーのオンライン展開をサポート出来るようありたいですし、先進的なパートナーと一緒に開発に取り組んでいくことで互いのノウハウを高めていくことができると思います。私個人としては YouTube が、日本の優れたコンテンツが世界に出て行くその一助になればという思いもありますね。
――それが、すべてにアクセスし、インデックス化するというGoogleのポリシーともつながっていくと思います。しかし、そう考えるとテレビ各局が莫大な投資を続けているアーカイブ整備やオンライン配信の仕組みはGoogle・YouTubeに任せてしまった方が合理的なのかも知れませんね(笑)。
徳生 もしそういったお話があれば、出来る限りの協力をさせていただきます。重ねて申しますが、まだYouTubeは発展途上です。ユーザーの視聴体験を損なわない形で、あらゆるパートナーニーズにこたえるための努力を進めていくことは、YouTube にとって非常に大事なことだと考えています。
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