Intelチップセットの歴史 その4
Pentium 4~Core 2時代を支えたi915~965チップセット
2009年12月07日 12時00分更新
CoreアーキテクチャーCPUに合わせて
改良版のIntel 965が登場
945ファミリーの話は、これで終わらない。945ファミリーは基本的に、Pentium 4やPentium Dを前提としたチップセットであった。しかし、2006年7月にCore 2シリーズCPUが投入されると、こちらへの対応も必要になった。
メインストリーム向けは次に登場する「Intel 965」ファミリーが担ったが、バリュー向けは当面945の延長でカバーすることになったようで、これにあわせて投入されたのが、「Intel 946PL」と「Intel 946GL」である。
946PLは945PLとほぼ同じスペックだが、DDR2-677のサポートが復活したことと、65nm世代のCore 2プロセッサーに対応しているのが異なる点だ。この946PLに、後述する「GMA3000」GPUを搭載したのが946GLとなる。またこれとは別に、ネットトップ/ネットブック向けのAtom用チップセットとして、Intel 945Gを若干仕様変更した「Intel 945GC」が2007年に登場、こちらは現在もまだ販売されている。
メインストリーム向けについては、2006年6月に新たに965ファミリーが投入された。こちらは従来とネーミングルールが変わり、型番の前に種別が入るようになっている。まず内蔵GPUを持たない製品が「Intel P965」で、「ICH8」と組み合わせる。FSBは同じだが、DDR2-800のサポートが追加された。
ICH8はついにUltra ATAのサポートがなくなり(モバイル向けの「ICH8M」のみ、Ultra ATA/100が1ポート残されている)、PCI Express x1は最大6ポートに増やされた。このうち4ポートをまとめてPCIe x4とするオプションも追加されている。またこの世代から、10/100BASE-TのMAC(Media Access Controller)の代わりに、10/100/1000BASE-TのMACが搭載された。オーディオも古いAC97が削減され、HDAのみ(最大5.1ch)に変更されている。
このP965に、内蔵GPU「GMA X3000」を搭載したのが「Intel G965」である。これはGMA950を大規模に改良したGPUで、動作周波数は667MHzまで上がったほか、DirectX 9のShader Model 3.0に対応しており、ついにVertex Shaderをハードウェアで搭載した。
一方、GMA950の動作周波数を667MHzまで引き上げただけのものが「GMA3000」で、前述の946GLのほか、「Intel Q965」に内蔵された。インテルはG965を家庭向け、Q965をビジネス向けといった形で分類しており、ビジネス向けにはShader Model 3.0は不要と判断したようだ。ちなみにGMA3000は、「ADD2」と呼ばれる拡張カードを使うことで2画面表示が可能になるが、この機能をQ965から省いたのが「Intel Q963」となっている。
この世代は、Core 2プロセッサーの競争力の高さでシェアはがっちり掴んだものの、例えばハイエンドの975Xが実際は945世代のチップセットだったり、GMA X3000はついに完全なハードウェア対応になったが、ドライバーの提供が遅れてさっぱりだったりと、いろいろちぐはぐな対応に終始することになる。特にグラフィックドライバーの遅れは、この後もいろいろと尾を引くことになった。
今回のまとめ
・2004年の「Intel 915」世代では、DDR2 SDRAMやPCI Expressへの対応、チップセット間インターフェースの変更など、大きな変更が加えられた。
・「Intel 915G」ではチップセット内GPUがDirectX 9に対応した「GMA900」になった。しかし一部処理をCPUに肩代わりさせるなど、中途半端なものだった。改良版の「GMA950」は現在でもネットブックのチップセット内GPUに使われている。
・「Intel 945」世代で、DDR対応を排除した。バリエーションも非常に多く、エンスージアスト向けからエントリーまで、9製品も登場している。
・Core 2プロセッサーに合わせて新登場したのが「Intel 965」世代。レガシーだったUltra ATAサポートがなくなった。また、内蔵GPUは「GMA 3000/X3000」強化され、まともなDirectX 9世代GPUとなったが、ドライバーが不十分で足を引っ張った。
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