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ストレージ管理の切り札 「ARX」を深く濃く解説 第3回

成功するARX導入のお作法を聞いてみた

ARXを最大限に使いこなすノウハウってどういうもの?

2009年11月16日 12時55分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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製品選びとサイジング、導入までの道のり

 さて、次はARXのモデル選びとサイジング、そして導入にまつわる疑問だ。ARXには4つのモデルがあるが、果たしてどの製品を選べばよいのだろうか?また、導入前にはどのような準備が必要なのだろうか?

質問に答えてくれたF5ネットワークス プリセールスエンジニア 牧田延大氏(左)、シニアプリセールスコンサルタント 竹森慎悟氏(右)

Q.5 ARXのモデルはどのように選ぶ?

A.5 ARXには500、1000、4000、6000というモデルがあり、それぞれ扱えるファイルの数や処理能力、ネットワークのスループットなどが異なっている。「ファイル数が上限に達する場合は少なく、多くの場合作成する仮想ボリュームと束ねる実サーバーの共有フォルダー(マウントポイント)の上限や求められる処理能力をベースにします」(竹森氏)。

 たとえば、エントリーモデルのARX500やARX1000では仮想ボリューム数は最大64、共有フォルダー数が最大128。また、処理能力はARX500の場合、最大2.5万Ops/sec、ARX1000の場合、最大10万Ops/secで、インターフェイスは1Gbit/sとなっている。これらの上限以上の拡張性を求めるとなると、ARX1000の上位のARX4000やARX6000になるという。このうち、ARX4000は4Uラックマウントと比較的小型ながら、ギガビットイーサーネットのポートを12個持っているほか、10GbEにも対応。パフォーマンスの面で優れたモデルといえる。

ARX4000はギガビットイーサネットのポートを12個持っているほか、10GbEにも対応。パフォーマンスの面で優れたモデルといえる

Q.6 ARXを入れると遅くなる?

A.6 LAN環境であれば遅延はほとんどない。ARXは500、1000、4000、6000という4つのモデルがある。500はIAサーバーだが、1000以上の3モデルは専用のスイッチアーキテクチャを採用している。そのためARX1000以上では処理が基本的に専用チップで行なわれるため、非常に高速だ。「第三者機関でパフォーマンスを調べてもらいましたが、直接ファイルサーバーやNASにつなぐ場合と比べても、遅延が1~2%増えたくらいです。実ユーザーからも、遅いという声は聞かないですね」(竹森氏)。

 ただし、配下のファイルサーバーやNASのスペックが低いと、レスポンスがそれらに引きずられてしまう場合もある。また、高速なクライアントやサーバが存在し、高いスループットを求められる環境では、これに対応するため10GbE環境を持ったプラットフォームを導入するユーザーも増えているようだ。さらにWANではファイル共有プロトコルが遅延の影響を受けやすいので、WAN高速化装置も導入するなどの対策を施すことが多い。

Q.7 導入はどのような流れで進むのか教えて!

ARX導入前の環境を調べるのに使われるDataManager

A.7 ARXを導入する環境をよく知るために、「Data Manager」というソフトウェアを使う。「Data Managerはファイルの状況を調べる機能とコンフィグ作成をサポートする機能を持っており、ファイルサーバーの設定やファイルの数、更新頻度、ユーザーごとのファイル数などを調べることができます」(プリセールスエンジニア 牧田延大氏)。このソフトウェアはF5ネットワークスのWebサイトから無償でダウンロードできる(90日間試用可能)。その後、マイグレーションや階層化ストレージ、ロードバランシング、レプリケーションなど利用したい機能はどれか、どのようなネットワーク構成にするか、そしてモデルはどれがよいかなどをコンサルティングしていくといった流れになる。

Q.8 もっとも典型的な導入のシナリオはどんな感じ?

A.8 マイグレーションからスタートし、階層化に進むというパターンが多い。「ファイルサーバーの入れ替えをノンストップでやりたいというマイグレーションからスタートし、その後は使ってないストレージを二次利用する階層化ストレージになります。いったん導入してしまえば、オンラインで容量を増やしたり、保守切れのストレージを引退させるといったことも自由自在です」(竹森氏)とのこと。いずれにせよ、容量的には数TBレベルになり、台数も増えて、管理が手に負えなくなったパターンが多いという。

 今回はARXの導入に関していろいろな質問をエンジニアの方々に聞いてみた。技術的な観点で製品導入に関する不安も払拭され、いよいよ導入を検討してみたいという気になったかもしれない。次回は、ひと足先にARXを導入して、大きな効果を上げているユーザーの生の声を聞いてみたい。


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