一方、R520をベースにしたメインストリーム/バリュー向け製品も同時に展開された。まず、パイプラインをやや減らした「RV530」が「RADEON X1600 XT/Pro」として2005年10月にリリースされる。続いて台湾UMC社の80nmプロセスを使った「RV535」が登場。若干動作周波数を上げた「RADEON X1650 XT/Pro」として、2006年9月に登場する。
また、RV350~RV380と同じパイプライン数の「RV515」が、やはり2005年10月に「RADEON X1300/Pro」として発売される。こちらも後でUMCの80nmプロセスに移行して、名前も「RADEON X1550/SE」となるが、基本的な特徴はほとんど変わらない。
ハイエンドのR580とメインストリームのRV535のギャップを埋める、ポジション的にはメインストリームの上に当たる製品として、2006年10月に投入されたのが「RV570」コアの「RADEON X1950 GT/PRO」である。こちらはパイプライン数をRADEON X1900 GTと同じ構成まで物理的に減らしたもので、さらにUMCの80nmプロセスを使うことで、ダイサイズもだいぶ削減している。
実はこれらとは別に、「RV560」なるコアも噂されていた。こちらはR580コアのパイプライン構成を半減させた“8/24/8/8”(Vertexシェーダーは8のままという話だった)で、これを「RADEON X1700」シリーズとして投入ということだったらしい。しかし紆余曲折があったようで、最終的にRV560コアはキャンセル。X1700という名称だけはMobility RADEONシリーズにのみ残っているが、コアはRV535をベースとしたものになってしまった。
次週はDirectX 10世代のRADEONについて語ろう。
今回のまとめ
・2004年、R400/R500コアはスキップされ、R420コアが「RADEON X800」シリーズとしてデビューする。同世代はAGPとPCI Expressの移行期にあたる。
・マルチGPU技術「CrossFire」が、R420世代から実装され始める。ただし、当初は制約も多く、広く普及するほどではなかった。
・TSMCの110nmで、ATIは思わぬ苦戦を経験する。メインストリーム以下の市場でR420コアの派生品はいろいろ出たが、性能面でふるわず、売り上げも伸びなかった。
・2005年、R500世代はR520の「RADEON X1800 XL」で登場する。90nmプロセスに移行して、DirectX 9.0cやShader Model 3.0に対応する世代となる。
・メインストリームでは、UMC社の80nmプロセスで製造するRV535なども投入される。
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