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遠藤諭の「0(ゼロ)グラム」へようこそ

iPhone累計出荷台数3000万台突破

2009年08月10日 06時00分更新

文● 遠藤諭/アスキー総合研究所

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iPhoneのヒットで
モバイルに新しいスタイルが生まれた、
という事実

 従来、日本ではiPhoneの販売が順調ではないと指摘されてきた。今年5月には、人口4500万人のフランスで、「iPhoneの累計販売台数100万台」と発表された。たしかに、先月パリに出張した際には、交差点で地図を調べているiPhoneユーザーというのを何度も見かけている。日本では、いまのところ「100万台」の声を聞かないが、時間の問題なのは間違いないだろう(もっとも、アスキー総研の調査では、25%のiPhone 3Gユーザーが3GSを購入するとしているので、ユーザー数的には疑問も残るが)。

 世界中で毎年12億台も販売される携帯電話のうち、スマートフォンの占める割合は、10~15%といったところだろう。その中でのシェアは、世界ではノキアが強く、ビジネス層には「Blackberry」が支持されているなどというデータがある。しかし、いずれもスマートフォンの定義が問題なのであって、iPhoneを従来型のモデルと比べても、あまり意味がないのではないかと思える。

 重要なのは、iPhoneのシェアが少なかろうが、あるいは多かろうが、新しいモバイルのスタイルが生まれたということなのだ。つまり、iPhoneというまったく新しいプラットフォームの上で、「利用者が何をしているか?」が、いま最も注目すべきことなのではないかと思う。つまり、iPhoneを買って使っている人たちはいるが、彼らはiPhoneのどこを気に入っていて、毎日どんなことにどれだけ使っているのかだ。

 アスキー総研で、『「iPhone」利用実態調査』というレポートをまとめた。これは、2009年6月15~22日にかけて行なったアンケート調査で、736の有効回収サンプルをもとに集計・分析を行なったものだ。いささか宣伝っぽくなってしまうが、日本の携帯電話端末メーカーの関係者や、iPhoneアプリを開発するソフトハウスの方々には、ぜひ見ていただきたいデータになったと思う。

 恐ろしささえ感じるのは、iPhoneの強烈な満足度の高さが、世界シェアの70%を握るiPodのそれに近いと思えるからだ。2001年にiPodが出たときに「日本にはレンタルCDからMD化した資産がたくさんある」とか、「PCが必要なiPodは売れない」という議論があったのを思い返してほしい。ところが、その後わずか3年で、デジタル音楽プレーヤーはMDプレーヤーの販売台数をひっくり返してしまったのだ。

 今回の調査レポートでは、そうした携帯電話というメディア・ツールの大きな曲がり角で、ユーザーがどんなアプリを使っているのか? また、具体的な利用シーンで、どんな点に満足しているのかなど、自由回答で答えてもらった内容も含まれている。iPhoneアプリの開発をしている人たちや、携帯の業界で仕事をする人たちに、これからのモバイルの世界を読み取ってもらえればさいわいである。


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