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ダイロー小隊長の「機動戦士ガンダム戦記」入魂レポート 第1回

ダイロー小隊長の「機動戦士ガンダム戦記」入魂レポート

オレ色に染め上げたMS小隊が戦場を駆ける!――ゲーム紹介編

2009年09月01日 07時55分更新

文● ダイロー吉川(小隊長)

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機動戦士ガンダム戦記
掲載中の画面はすべて開発中のものです (C)創通・サンライズ

 「全国5000万人のガンダムファン※1の皆様、出撃の時間がやって参りました」
 モビルスーツパイロットへの最短ルート、バンダイナムコゲームスのプレイステーション 3用ガンダムゲーム最新作「機動戦士ガンダム戦記」が9月3日、発売されるのだ。

 このゲームは、プレイヤーが3機編成のモビルスーツ小隊隊長となって、様々な任務をこなしていく“部隊統率型アクションゲーム”である。アクションゲームであるから、自機モビルスーツ(以下MS)の操作は当然行なうのだが、それだけではなく、自分が率いている2機の僚機や、場面によっては支援する友軍にもコマンドを出しながら、戦闘を優位に進めていく「チームバトル」が特徴となっている。

3機編成
第13独立部隊(アムロらが所属したホワイトベース部隊)と同じく、3機編成で敵と戦う (C)創通・サンライズ
部下への指令は方向ボタンで
「アイツら(僚機)に、ここを守らせよう」とか、「全員で突撃だー!」とか、思いつくままに方向ボタン(いわゆる十字ボタン)を押せばいいだけ。部下への指令というよりも、ボタン一発で号令をかける雰囲気だ。たとえば劇中での「○○さん! 下がって!」といったところか (C)創通・サンライズ

 「オレ、アムロになりたいだけなのに、いちいち指示出すの? 面倒だな~」
と感じる向きもおられるだろうが、指示を出すといってもカーソルキー(方向ボタン)を押すだけというシンプルな操作系であり、プレイ時間の多くはアクションゲームとして思いっきり暴れまくれるから、ご安心を。

 ゲームは、地球連邦軍もしくはジオン公国軍の小隊長となってシナリオを進めていく「シナリオ」モードが中心だが、独立したミッションをこなす「フリーミッション」モードも用意されていて、こちらはインターネット経由で他のユーザーとの協力・対戦プレイも可能となっている。

 「機動戦士ガンダム戦記」特集の第1弾である本記事では、シナリオモードを中心に、その醍醐味をたっぷりお伝えしたい。


「機動戦士ガンダム戦記」の基本
ゲームの流れ

 シナリオモードは基本的に、

  1. MSのセッティング&作戦ブリーフィング
  2. 出撃
  3. ミッションクリア

という流れで進む。

 1でMSにカスタマイズを施し、2で実戦へ、3、無事クリアできたら、また1に戻るというわけだ。シナリオをクリアしていくごとに補給物資を得られて装備が充実させられるほか、戦闘に参加したパイロットはプレイヤーキャラも含めて経験値を獲得するので、それを使ってスキルアップ(成長)させることもできる。

 やはりMSを使ったゲームであるだけに、ついつい自分で出撃して敵を倒す戦闘シーンばかりに目が行ってしまうが、実は1のMSセッティング、言ってみれば“モビルスーツいじり”が実は結構楽しい。そのあたりは本記事の後半で紹介する。

MSカスタマイズの画面 出撃の画面
ミッション終了の画面 MSカスタマイズ→出撃→ミッション終了の流れ。この基本的な流れの中にムービーが挿入され、臨場感を盛り上げる。MSカスタマイズは戦略的な楽しみ、出撃中はアクション、ムービーでエンターテインメントと、3種も味わえるゲームと言えよう (C)創通・サンライズ

宇宙世紀0081年
――時代の空白を埋める新シナリオ

 ガンダムゲームは「いかにパイロットになりきるか?」――言い換えれば、プレイし終わった後に、「オレは、いかに宇宙世紀を生き延びたか?」を存分に語れるところが醍醐味だ。そうした意味で「機動戦士ガンダム戦記」は、ゲームをクリアした後の“戦い終わった感”が抜群に高くて気持ちいい。筆者は連邦軍でシナリオをクリアしたのだが、そのラストシーン、そしてエンドロールが流れるに至っては、ごく自然な感情の発露から画面に敬礼していた! 戦場に散っていった仲間を想ったとき、そうせずにはいられなかったのである。

新作ストーリーのスタッフ
機動戦士ガンダム戦記の公式Webサイトにおける新作ストーリーの紹介 (C)創通・サンライズ

 この感動は、本ゲームのために描き起こされた新作ストーリームービーに負うところが極めて大きい。制作スタッフは、メカニカルデザインにカトキハジメ氏、キャラクターデザインに鈴木竜也氏、ムービーパート演出に遠藤広隆氏、シナリオに松元弘毅氏と、そうそうたる顔ぶれだ。

「一年戦争」当時の映像
画面は初回特典映像に収められた「一年戦争」当時の映像。エリク・ブランケとユーグ・クーロはすでにア・バオア・クーで一戦しており、「水天の涙」は実はこの頃から発動していた (C)創通・サンライズ
エリク・ブランケとユーグ・クーロ
エリク・ブランケ(左)とユーグ・クーロ(右)。二人はたびたび戦場で激突する (C)創通・サンライズ
イフリート・ナハト
シナリオモード序盤で地球連邦軍の基地から奪取される「イフリート・ナハト」。ジオン公国軍でシナリオモードをプレイしていると、コイツを使えるようになる。見れば分かるとおり、二刀流で敵を斬りまくる爽快プレイが可能だ (C)創通・サンライズ

 ストーリーそのものは、U.C.0081年、つまり一年戦争終結から1年あまりが経過した頃の出来事となる。終戦を迎えたとはいえ、各地でジオン公国軍残党の抵抗はまだまだ続いているといった状況だ。規模の大小や組織的な違いがあるとはいえ、デラーズ紛争(0083)から第1次(ZZ)・第2次ネオ・ジオン抗争(逆襲のシャア)を経て0096年まで、ジオン公国軍残党の組織的活動は連綿と続くわけだから、この頃からバリバリやってない、というほうがおかしい。

 話が横道にそれたが、ジオン公国軍残党が企図しているのが、終戦間際に実行に移されぬまま頓挫した「水天の涙」という作戦。ゲーム冒頭は、水天の涙実行部隊が、地球連邦軍に捕獲されているMS「イフリート・ナハト」を奪還するというエピソードが山場となっており、「水天の涙」というキーワードをベースに、地球連邦側/ジオン公国側のストーリーが展開していく。地球連邦軍側では「『水天の涙』とはどのような作戦なのだ?」と疑問に思いつつ迎撃に当たり、ジオン公国軍側では「ただ『水天の涙』を実行するために」一丸となる、というわけだ。

 ここで主人公=プレイヤーキャラを紹介しよう。地球連邦軍を選んだら、ユーグ・クーロ大尉(32歳)。彼が率いるのはジオン残党掃討部隊「ファントムスイープ隊」で、地球連邦軍のシナリオは言ってみれば、ファントムスイープ隊の哀しくも優しい戦いの歴史を刻むことである。
 対して、ジオン公国軍を選んだ場合の主人公はエリク・ブランケ(20歳)。ジオン公国の名家の出身とのことで、上品な雰囲気を持ちながら「水天の涙」作戦の実行に賭ける一途なヤツだ。

 筆者もゲームを始める前には、「主人公が固定されてしまうと、そのキャラが強すぎてゲームに感情移入しづらいかな?」と不安もあったが、それは杞憂だ。なにせ新作ムービーが実にクオリティーが高くて面白い。見入ってしまう。だから、すぐにその気になれる。ムービーは、ミッション開始/クリア時や、場合によっては戦闘中にも挿入されるのだが、伏線が張ってあったり人物模様が描かれていたりで、うまくプレイヤーを“乗せて”くれるのだ。

敵機を撃破
敵機を撃破すると、味方が「隊長すげぇ!」的な、感嘆の声を発してくれる。心の中で「いやぁ、それほどでもあるけどな!」などとブツブツ言いながら敵を斬りまくるのである (C)創通・サンライズ

 また、戦闘中にもムービー(ミッション)に関連した会話などが流れるので、ムービーとゲームプレイが極めてシームレスに結合している。そのため、序盤からユーグ気分、もしくはエリク気分でガシガシとゲームを進められるのだ。

 U.C.0081年というのは、0083年のデラーズ紛争より2年も前で、従来の宇宙世紀のストーリーでは語られなかった空白の年代、ミッシングリンクである。その世界を新作で知ることができるのは、ガンダムファンにとっては感涙モノだ。あぁ~、この原稿を書いていたら、もう一度ガンダム戦記、プレイしたくなってきたよ。

※1 あながち根拠のない数字ではない。今から30年前、「機動戦士ガンダム」が放映された1979年に5歳~15歳だった日本の男子人口が約1330万人で、女子人口が約1290万人(統計局資料による)。とりあえず男子全員と女子の半分がガンダムファンになっていると仮定し、そこをコアにしながらその後の増加分を考えれば、おかしい数字では、多分ない。


 (次ページに続く)

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