Wordへの出力機能まで備えた強力な新オーサリングツール
もちろんマイクロソフトのこと。単に「FlashでできることをSilverlightでもできるようにしました」という話で終わるわけがない。Silverlight 3にはライバルに勝つための強力な武器がいくつも用意されている。マイクロソフトの製品は、バージョン3からが面白い。
たとえば、SEO(検索エンジン最適化)対策を意識した新機能。「コンテンツが切り替わってもURLが変わらない」というRIA固有の問題を解決するため、Silverlight 3では設定したページごとにURLを変更できる「ディープリンキング」機能を盛り込んだ。Flashでも「Progression」などのフレームワークを使えば対応できるが、標準でサポートしている点に強みがある。検索エンジンがクローリングしやすいようにサイトマップを動的に生成する機能も付けた。
Silverlight本体だけではない。アプリケーションを制作するためのデザイン/オーサリングツール「Expression」ファミリーも大幅にパワーアップした。中でもUIデザインツール「Expression Blend 3」に搭載された「スケッチフロー(SketchFlow)」は驚きの目玉機能だ。
スケッチフローは、WebアプリケーションのUIのプロトタイプ(ワイヤーフレーム)を作成する機能だ。部品を配置していくだけで簡単に画面構成図を描けるだけでなく、画面遷移をマインドマップのようなフロー図で表現できる。たとえば、ログイン画面、成功画面、失敗画面などをそれぞれ作成し、各画面を線でつないでいくだけで画面遷移図が完成する。完成した画面遷移図にはテスト用に簡単な振る舞いを設定し、ブラウザー上で画面遷移のイメージを確認したり、コメントを入れたりできる。
画面遷移図をもとに仕様書を自動生成する「Wordエクスポート機能」も備えた。すべての画面構成図とフロー図を集めて、目次付きのWord文書にまとめてくれる。まさにマイクロソフトならではの、実用的な機能だ。
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マイクロソフトによると、Silverlightはすでに「全世界のインターネット端末の3分の1」にインストールされているという。基調講演に登壇した米マイクロソフトのデベロッパープラットフォーム コーポレートバイスプレジデントのスコット・ガスリー氏は「100%にしたい」と意気込みを語っていた。Silverlight 3のリリースで、ライバルを追撃する準備が整ってきたようだ。
キオスク端末から“貧乏ゆすり測定機”まで登場した展示会場
今年のReMIX Tokyoは発表内容だけでなく展示ブースにも力が入っていた。「Microsoft Surface」やキオスク端末など、来場者の興味を誘う展示が用意されていたのだ。マイクロソフトはかねてから「PROJECT UX」というサイトを立ち上げ、ユーザーエクスペリエンス(UX)の重要性を訴えている。そうした“UX重視”の姿勢をアピールするのに、個性的な展示ブースが一役買っていたようだ。