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今こそ10GbE時代の必須知識を抑えよう

SFP+って?日立電線に聞いた光トランシーバの基礎

2009年06月30日 09時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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小型化・低消費電力化を追い求める光トランシーバ

 実はトランシーバの物理形状に関してはIEEEでは規定しておらず、スイッチやチップベンダーによるMSA(Multi Source Agreements)によって規定される。このMSAはおもにポート密度や消費電力、パフォーマンス、そしてコストなどの市場要求を満たすべく、仕様化が推進された。

 1GbEの時代は、「GBIC (GigaBit Interface Converter)」という光トランシーバが幅広く使われた。GBICはそれなりに大型だったが、電気を入れた状態での交換(活線抜挿:ホットプラグ)が可能というメリットがあり、長い期間利用された。その後、体積的にGBICの1/3になった小型の「SFP(Small Form-factor Pluggable)」が投入された。SFPはGBICと共存した形で利用されたほか、SONET/SDHの2.5GbpsやFCの2/4GbpsまでがこのSFPで対応していた。

1GbE時代に用いられていたSFPモジュール(左)とGBIC(右)

 そして、10GbE登場初期のトランシーバは、「300PIN MSA」と呼ばれるもので、もともとはEthernetではなく、SONET/SDHのようなWANインターフェイスやFibreChannel(以下FC)、DWDM(高密度波長分割多重方式)向けに開発されたものなので、あまりなじみがない。

 本格的な第1世代の光トランシーバ規格として登場したのが、ご存じ「XENPAK(ゼンパック)」である。2001年に登場したこのトランシーバは10GbEで初めてホットプラグに対応したモジュールで、これまでメディア変換を行なっていた既存のトランシーバと異なりXENPAKではPHY(物理層)チップが搭載され、Ethernet専用になった。

 また、XENPAKではGBICと同じ役割を果たすXAUI(10 Gigabit Attachment Unit Interface)という標準化されたインターフェイスを採用しており、異なるEthernetの規格でも利用できるという特徴を持っていた。こうしたことから10GbE登場当初のスイッチはこのXENPAKをサポートしている製品が多い。ちなみにXENPAKの「X」は10を意味するローマ字で、10Gbpsを表す。そのため、10Gbps規格関連の用語にはXAUI やXFI、X2、XPAK、XFPなどXが頻出する。

第1世代のトランシーバ「XENPAK」(奥)と小型化を目指した「X2」のモジュール(手前)

 とはいえ、XENPAKは大型であったため、より小型化・低消費電力化を実現するためにいくつかの光トランシーバが併存した。大きくは、インフィニオンやインテルが規格化した「XPAK」、アギア・システムズやアジレント・テクノロジー、三菱電機、NECなど8社が策定した「X2」という規格が挙げられる。両者ともXENPAKと同じくXAUIのインターフェイスを利用しつつ、小型化を実現。おもにX2はネットワーク機器、XPAKはサーバやストレージに搭載された。

 一方、X2やXPAKを置き換えたXFP(10 Gigabit small Form-factor Pluggable)は、ブロードコムをはじめとした10社が策定した規格だ。XFPの最大の特徴は、従来のXAUIではなく、XFIというシリアルインターフェイスを用いたことで、信号変換が不要になったこと。そのため、従来に比べて大幅な小型化が実現し、XENPAKに比べて7分の1の12.2平方センチというサイズに収まった。また、10GbEのほか、FCやSONET/SDHといった規格もサポート可能で、先にSONET/SDH用として普及した経緯がある。この結果、2002年以降はXFPの時代が続く。

 そして、現在標準の地位を獲得しているトランシーバ規格が、2006年に策定されたSFP+である。

現在、10GbEのインターフェイスとして標準となっているSFP+のモジュール

(次ページ、SFP+で1GbEから10GbEへの移行をスムーズに)


 

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