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「ドクロ柄のベビー用品」で成功したECサイトの秘訣 (2/3)

2009年06月04日 14時00分更新

文●三浦たまみ

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扱う商材の認知度に応じて商品に求められるニーズも変わる

 時流を見極め、商品の仕入れや開発に活かす必要性については前のページでお伝えした通り。このとき、売れ行きを左右する重要な要素として、新商品発売のタイミングがあります。「市場における商材の認知度」や「商材の季節感」なども十分に考慮したうえでの商品展開が、ショップを継続的に繁栄させるカギとなるのです。


開業当初は商品の安全性をアピール

 2003年にHappy!hughugが開業した当初は、スリングの競合店はごくわずか。市場における商品の認知度はかなり低かったといえます。

 「この時期、お客様に求められたのは、商品に対する安全性や、それにまつわる機能でした。赤ちゃんを抱っこする商品だから安全なのは大前提。今でこそ、このことは“常識”ですが、当時はその常識から伝える必要がありました」(店主・藤原真希枝さん)

 当時の主力商品は、バックルで簡単に着脱できる「バックルフィット」。バックルが万が一外れたときのことを考え、小バックルを2つ付けるなど、安全かつ機能的商品であることをアピールしました。以後2年間で、育児雑誌で紹介されるネットショップの競合店が増えるなど少しずつスリング市場は拡大し、普及率も次第に高まっていきます。

 このタイミングを見計らって投入したのが、2006年に発売した「イージーフィット」です。イージーフィットは、バックルフィットに備わったバックル部分をはじめさまざまな機能を削ぎ落とし、究極にシンプルにした商品です。

 「2005年頃から、お客様のニーズは明らかに変わりました。よりコンパクトなのものが要求され、見栄えの重要度も増しました。安全なのは当たり前。“その先”を求める方が増えたのだと思います」

 日本ベビースリング協会を立ち上げ、新生児科の先生と交流もあった藤原さんは、赤ちゃんとスキンシップを図れるスリングが情緒教育に良いことを知っており、このことを2005年から始めた自身が講師を務めるスリング教室や、NHK教育テレビへの出演時などで伝え続けました。2006年頃は、少しずつお母さん達にも認知され始めた時期にあたります。スキンシップの重要性をうたうことができる意味でも、従来商品より赤ちゃんと密着感を体感できるイージーフィットは発売の好機だったといえるのです。

装着が簡単で、コンパクトサイズになったイージーフィット

装着が簡単で、コンパクトサイズになったイージーフィット。機能を極力削ぎ落した分、お母さんと赤ちゃんの距離が近くなり、素手で赤ちゃんを抱き締める感覚で使用できる点が支持されている

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