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今こそ学ぼう、パイオニア精神 (1/2)

2008年09月30日 18時26分更新

文●森本 繁生/合資会社 逸品 社長

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ネットショップ業界がリセットされる

 今回はノウハウとは少し離れて、勝ち残るためのパイオニア精神について考えてみましょう。

 私は昨年までニュージーランドに半移住生活をしながら日本の仕事をこなしていましたが、昨年中ごろより「2008年のネットショップはリセットが起こる」と感じて、ニュージーランドの自宅を引き払って日本に腰を据えることにしました。

 すでに2年ほど前から、最先端を行く人がネットのノウハウをあまり語らなくなり、商品の製造や仕入れを強化したり、人材のマネージメントを強化したり、実店舗をオープンしたり、つまり本来のビジネス力をアップする方向に動き始めていたのです。

 といってもネットを軽視しているわけではありません。リアルとネットとの境目がなくなりつつある今、両方のメリットをうまく活かしてビジネスをしようとしていることに他なりません。

 案の定、今年1月の弊社主催の勉強会で全国をまわっていて「今年は心機一転です」という言葉を何と20~30回ほど聞きました。

 そして、2000年以前にネットショップを立ち上げたパイオニアたちが、再び勉強会に熱心に参加するようになり、勉強し直しています。

 今からネットショップを立ち上げようとしている人には、こういう時期であるからこそ最後のチャンスのように感じています。これを逃せば、もうビジネス力とネット力の両方を身につけたネットショップ業界への参入障壁はとてつもなく高くなることでしょう。


パイオニアの「感謝力」

 今こそパイオニア精神を持って、自らの市場を開拓する時です。人まねではなく自分で創造したものの対価はとてつもなく大きいはずです。

 ではこの再開拓時代にどんな心構えで挑めばいいのでしょうか?

 私は1995年にネットを始めています。この時代に始めた人と2000年以降に始めた人が圧倒的に違うのが「感謝力」の差です。

 阪神大震災をきっかけにネットに興味を持った私は、まずインターネットに接続すべく書店にコンピュータ雑誌を買いに走り、そこに付いていたフロッピーディスクのソフトをMacのLC575というマシンに1日がかりでインストール&設定しました。

 夕方、コタツの上のMacにアメリカのNASAの画像が表示された時は、大いなる衝撃を受けて可能性を感じたものです。

 そこでネットにハマっていくのですが、最初のプロバイダ代が4万円かかったのを今でも覚えています。サラリーマンだった私にはキツイ金額でしたが、それでもやる価値はあると思いました。これが今後の自分の人生の可能性を開くと信じていました。

 知らない人とのメールのやりとりに慣れた私は、最初の個人ホームページ「電脳乞食」を作りました。


 これは平たく言うと皆さん方のようなネットショップ店主さんに消費者の立場からメールを出して「あなたの商品をくれ」というページです。くれと言うだけではくれませんので、「モニターさせてください」という文面を出し、商品やサービスのよかった点を私のページで書いて公開しましょう、ということをしました。

 すると……当時宣伝方法に困っていたショップさんがたくさん商品をくれました。ここで紹介した「鰺の干物」などは読者との共同購入企画に発展し、個人ページからなんと20万円の売り上げが立ってしまいました。

 こうして商品をいただいたネットショップとのご縁がきっかけで、現在は670事業者の方にご参加いただいている会員制勉強会のOSMC(オンラインショップ・マスターズクラブ)を運営させていただいています。

 ネットは「ドッグイヤー」と言われました。犬の1年は人の7年に当たる、7倍速く進展しノウハウが移り変わるということです。

 しかし私は人脈と信用が7倍速く獲得できる、と感じました。一サラリーマンであった私が独立させて頂いて11年経った今もワクワクして仕事を続けられているのは、インターネットがあったからこそです。

 今やプロバイダーは数千円で超高速の光ファイバーが使えます。何ていい時代だろうと感謝せずにはいられません。

 ネットは皆さんの可能性を開くツールです。そこに改めて感謝の心を沸き立たせてみましょう。ネットがなければ会っていなかった人、モノ、場所。これらを思い出すことでネットの力を信じることができますし、自分の未来にワクワクできます。

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