画質/音質だけでなく
エコ性能も万全
実は「超解像」を除いても、本機の画質はかなり高いレベルにある。スペックなどを見ると、マルチメディアディスプレーでは採用されることが増えている倍速表示はない。だが、応答速度は5msと高速で、残像感はほとんど感じなかった。
超解像「オフ」のままでBDソフトなどを見ても、情報量はしっかりと再現された素直な映像だった。また、液晶ディスプレーとしてはコントラスト比も5000:1と高めで、暗部の再現性はかなり優秀。黒がしっかりと沈むだけでなく、黒に近いグレーもきちんと再現できる。色再現も忠実傾向で家庭用の薄型テレビのような広色域の華やかさはなく、リアルな色調だ。このあたりは、静止画、動画ともにきちんとモニターとしても使えることを意識したものと言える。
画質に優れたBDソフトの場合なら、超解像「オフ」でも十分鑑賞に堪える映像が楽しめる。この理由は、総合的な画質向上として、コントラスト補正や階調感を高める「階調数拡張処理技術」、「色変換技術」なども投入していることもあるだろう。
テレビ放送をはじめとする映像コンテンツをきれいな映像で楽しめるだけでなく、本来のモニター用途でも優れた実力を発揮できる内容になっているのはさすがだ。さらに、スリムなフレームにも関わらずスピーカーを内蔵しており、こちらにも同社の薄型テレビに採用される「DIATONEリニアフェイズ」技術が盛り込まれており、素直で聴きやすい音を再現できる。
また、最近の傾向として見逃せない省電力機能も充実。オフタイマーなどをはじめ、最大で23W消費電力を削減できる「ECO Professional」も採用している。このほか、感心したのが、付属のスタンド。高さを調整するためのブロックネック(3個)が付属するほか、スタンドの後部が取り外せるようになっており、省スペースで使える「壁寄せ設置」ができるのも面白い。
薄型テレビの良さを採り入れたユニークなディスプレー
三菱電機は、細いベゼルやグレアパネルなど、パソコン用ディスプレーで人気の高い特長を家庭用の薄型テレビでも採用して、今では各社が追従しているが、ディスプレー側でも薄型テレビの技術やノウハウを豊富に受け継いでいることがわかった。
本機はあくまでもパソコン用ディスプレーではあるが、AV用途に関しては極めて薄型テレビに近い画、音質と使い勝手をも兼ね備えた実にユニークな存在と言えるだろう。
なお、今後の期待をこめて、注文をひとつ。超解像や画質モードの切り替えを含め、本機のメニューを操作する機会はかなり多いが、それだけにディスプレーの下部にあるボタンを使うメニュー操作は正直使いにくい。
テレビ放送視聴時などで離れた視聴位置からメニューを操作できるリモコンの付属は欠かせないと思う。本機への採用検討はもちろんだが、よりAVユースを意識した「VISEO」シリーズでの超解像採用モデルの登場に期待したい。