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山谷剛史の「中国IT小話」 第44回

中国で正規版セキュリティソフトが売れる理由

2009年05月05日 12時00分更新

文● 山谷剛史

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書店でもセキュリティソフトはよく販売されている

書店でもセキュリティソフトはよく販売されている

セキュリティーに高い意識を持つ中国の人たち

 中国でコンテンツ事情を紹介する記事には、「海賊版天国」という枕詞がついて久しいが、セキュリティソフトだけは年々、より多くの利用者が正規版ソフトを購入、ないしは利用登録しているように感じる。

 意外にも(失礼!?)多くの中国のパソコンユーザーは、コンピュータウイルスに対する心構えを持っているのだ。

 例えばUSBメモリーを介してデータをやりとりする場合、中国のパソコンユーザーは筆者が渡したUSBメモリーに対して必ずウイルスチェックをかけるし、そもそも中国人の知人にUSBメモリーのやりとりをする際には「事前にウイルスチェックしてくれ」と念を押される。

シマンテックの広告

「中国がんばれ」と中国に貢献する態度でアピールするシマンテックの広告

 中国での啓蒙活動は日本以上に活発で、テレビやバス、地下鉄内のテレビなどの多くの人の目に触れるメディアで、最新のウイルス情報や対策を紹介している。

 中国市場で売られているセキュリティソフトは数多い。日本でもお馴染みのシマンテックやカスペルスキーやマカフィーのほか、日本にも進出しているキングソフト(金山軟件)や瑞星、江民といった企業が市場争いをしている。

 その中でも、瑞星とシマンテックの製品が頭1つ抜けて人気だ。さらなる利用者獲得のため、メーカーによっては1ヵ月程度利用できる無料版を提供しているところもある。


セキュリティーソフトは海賊版が減少傾向に

中国の書店

中国の書店。正面から左がソフト売り場。セキュリティソフトなどの正規版ソフトと、正規版をかたった海賊版ソフトがごちゃ混ぜで売られている

 冒頭で述べたとおり、中国人消費者の利用するソフトは基本的にゲームもビジネスソフトも海賊版だが、セキュリティソフトに限っては正規版を購入する人が多い。

 そしてそのニーズに応えるように、電脳街にある正規版ソフトウェアショップや大型書店ではセキュリティソフトが山積みとなっている。

 その光景は、WindowsやOfficeなどのソフトウェアの在庫が少ししかない(しかもガラスのショーケースに飾ってある)のとは対照的だ。沿岸部の北京や上海の電脳街だろうが、内陸の四川省の電脳街だろうが変わりない。

電脳街の多くの店がセキュリティソフトを販売している

電脳街の多くの店がセキュリティソフトを販売している

 海賊版ソフトショップでもセキュリティソフトは売られているが、「売ったモン勝ち」「騙されて買った方が悪い」的なモノの売り方が正攻法として通ってしまう中国において、「買ったら負け」の使えないセキュリティソフトの海賊版は年々減っている。

 それは、古くからのユーザーが手を出さないのはもちろんのこと、急増する新規のパソコンユーザーも周囲の先輩ユーザーから「買うな、危険!」というアドバイスをされるため、カモとなる顧客が少なくなっているからだろう。

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