5月11日に「BSA」(ビジネスソフトウェアアライアンス)が発表した7回目となる世界各国の海賊版利用率のレポート(関連サイト)によれば、中国における海賊版利用率は79%(日本は21%)であった。
中国は世界最悪ではなく、80%を超す国は20数カ国あるが、中国は世界2位の経済大国になろうかという国であり、中国よりも発展が遅れているBRICsのインドが65%である結果を考えるに、誉められたものではないだろう。
ところがBSAの発表の前日となる5月10日に、中国の国家知識産権局が委託した「互聯網(インターネット)実験室」と「超元実験室」なる団体が共同で、「2009年度中国軟件盗版率調査報告」を発表した。
それによれば、インストール数ベースでの海賊版率は2005年の26%から2009年は14%に、ソフトウェア価格ベースでの海賊版率は2005年の57%から2009年には28%に改善したという。
BSAは毎年この時期にレポートを発表しているだけに、互聯網実験室などもそれに合わせて発表をしてきたと捉えていいだろう。5月10日の午後、北京のホテルで発表が行なわれ、例によって「中国は数年の間に大きな改善があった、めでたしめでたし」という内容だった。
中国発の同発表では、ソフトウェアのジャンル別でも海賊版率を紹介している。オフィスソフトが63%、セキュリティソフトが48%、スタンドアローンのゲームソフトが28%、OSが27%であった。
以前、「中国で正規版セキュリティソフトが売れる理由」(関連記事)という記事を書いたが、そのセキュリティソフトよりもゲームやOSの海賊版率が低いのだという。
スタンドアローンのゲームソフトが海賊版のせいで全く売れないため、「オンラインゲームでないと金が取れぬ」とゲームベンダーはオンラインゲームに走った経緯があるので、28%という海賊版率はどうかと思うが、未だにOS非搭載のPCがPCメーカーから普通に売られている中で、27%というOSの海賊版率もどうかと思う。実際、別の中国メディアの調査では、サイト利用者の海賊版利用率は9割近くにのぼる。
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