遠藤諭の「0(ゼロ)グラム」へようこそは、毎週火曜日、アスキー総合研究所のウェブサイトで更新されます
毎日のように書店にでかけて本を買いまくっている人は、米国に移住したくなるかもしれない。いま、日本の本屋さんで売られているたくさんの本が、米国では10月7日以降に、ネットで無料か非常に安いお値段で読めるようになる可能性があるからだ。
無料で読めるコトじゃない!
――ブック検索の真の価値は?
「ブック検索」についてのグーグルと米国作家組合・出版社協会との和解結果によって、日本の本が米国内では一般に流通していないことを理由に「絶版」扱いになっている。このまま何もしないでいると、グーグルは全文をコピー・印刷可能、広告付きで配信サービスできる。
しかし、「いままでだって図書館では本なんか無料で読めたでしょう」という突っ込みもありそうだ。本屋の息子が、本が読み放題だからといって読書三昧しているわけでもないだろう。つまり、本がネットで無料(または非常に安いお値段)で読めることに、「ブック検索」の価値があるのではない。
ブック検索の真の価値は、「書籍という良質のテキストを検索できる」ことにある(そのままネットで読めることがそれを決定的にしている)。検索というテクノロジーが、1000年以上の歴史を持つ「本」というシステムをレガシーに押しやろうとしている。テクノロジーが、本というか、知的活動のスタイルや表現の領域を、根本的に変容させはじめている。これは、そのほんの序の口ではないかと思うのだ。