米マイクロソフトは公式ブログにて、Windows 7にはWindows XPのアプリケーションを実行するための仮想環境「Windows XP Mode」が提供されること、そのベータ版を近々リリースする予定であることを明らかにした。
Windows XP Modeは、同社の仮想化ソフトウェア「Virtual PC」を利用し、Windows 7上でWindows XPを実行する。いわば、Windows XP専用の仮想化環境だ。
ただし、現行のVirtual PCをそのまま使った場合、Windows XPのデスクトップ全体が1つのウィンドウとしてWindows 7上に表示される。Windows XPのアプリケーションは、そのウィンドウの中のさらなるウィンドウとなる。つまり、ウィンドウの入れ子状態となってしまうため、使い勝手はあまりよくない。一方、Windows XP Modeでは、XP環境のアプリケーションのウィンドウがWindows 7のデスクトップ上に直接表示される。そのため、XP環境であることを意識せずに利用できる。
Windows XP Modeは、Windows 7には標準搭載されず、マイクロソフトのWebサイトで無償提供されるとのこと。また、対応SKU(エディション)は、Windows 7のProfessionalとEnterprise、Ultimateで、StarterとHome Premiumでは利用できない。
Windows 7はRC版の提供が5月5日に予定されており(関連記事)、Windows XP Modeのベータ版も同時に公開されるとみられる。
なお、マイクロソフトは過去のOSとの互換性を重視しており、Windows Vistaでも「互換モード」を使うことで、
- Windows 95
- Windows 98/Windows Me
- Windows NT 4.0 Service Pack 5
- Windows 2000
- Windows XP Service Pack 2
- Windows Server 2003 Service Pack 1
という6種類のモードでアプリケーションを実行できる。
しかし、互換モードを使っても過去のアプリケーションが100%動作するわけではない。独自開発の業務アプリケーションが動作しないなど、互換性が理由でWindows XPからWindows Vistaへの移行をためらう企業は少なからずあり、これはそのままWindows 7移行を妨げる要因となることは明らかだった。
仮想化を使ってWindows XPそのものを動かせば、アプリケーションの互換性は飛躍的に向上する。今回発表されたWindows XP Modeは、互換性問題に対する究極の切り札といえるだろう。