「人に伝えること」はベーシックな欲求
サービス開始時点のiモード対応端末はF501iの1種類のみだった。最初はその端末が気に入った人しかiモードユーザーになれなかった。そのため、スタートからいきなりiモードのユーザーが増えたわけではない。しかし、「対応端末が揃ってくるに連れて、iモード契約数も加速して増えていった」と原田氏は述べる。
iモード開始時のCMでは広末涼子を登場させ、「ケータイで銀行振り込みができる」などと様々な新機能をうたっていた。しかし、「最初から誰もが振り込み機能を使うとは思っていなかった」と原田氏は言う。あくまで「こんなこともできるのか、という驚きをユーザーに与えるためのCM」だったというわけだ。
そんな中、最初からユーザーに広く使われたのはやはり「メール」だ。ユーザーが一気に増え、あまりの通信量にサーバーがおかしくなったこともあるくらい、想定以上に使われた。「人に何かを伝えることはベーシックな欲求であり、みんながやりたいこと。メールは慣れると毎日使うようになる。そういう意味ではiモードに慣れてもらうためのいいきっかけだった」(原田氏)。
iモードをスタートさせ、端末が増え、ユーザーも増えて、軌道に乗ってきた。すべての数字が右肩上がりとなってきたある頃から、NTTドコモ内で「iモードをドコモの中心にしよう」という動きが出始めた。すべての端末にiモードを載せ、ユーザーの増加に合わせてリソースを割き、積極的にCMを展開するなどマーケティングの中心をiモードが位置するようになっていった。