【アキバ・キーマンインタビュー No.8】アキバでもっとも危ないお店!? 話題の武具専門店「武器屋~Blade Works」の代表・磯野氏を直撃!
2007年01月05日 09時42分更新
武器屋の社長、実は現役大学生!
【磯野】 僕はお客さんに対して、物を売っているんじゃないんですよ。お客さんの心を満たすものを売っているんだと思っています。心を満たさせる目的で商売をしてるんです。
――心を満たすための値段だと。そもそもこういったものがお好きになられたのは?
【磯野】 大学以降ですね。刀とか西洋のサーベルの歴史にすごく興味があって、それをいろいろとやっているうちに、どんどん興味が出てきました。サーベルは日本ですと、銃刀法上、海外のを輸入できないんです。それで、研究するにも書物だけしかないんです。でも、書物だけでなく、現物が欲しくなるんですよ。じゃあ何とかしてみようということで日本の法律を分析して、自分は法学部でしたので、やっていくうちにいろいろとわかってきたんですよ。
――ちなみに、法学部はどちらの?
【磯野】 国学院です。実は今も在籍しているんですよ。
――え? それはどういう形で?
【磯野】 (学生証を見せる)
――えー! いつからですか?
【磯野】 今年からです。大学に戻ったんです。
――それは普通に大学院の学生として?
【磯野】 そうです。結局、軍事の研究をやるのに他の先生方は大学院を出ていて、僕だけ学士ってわけにはいかないんです。論文・研究の価値を引き上げるには僕も上に行かなければいけない、ということで。
――じゃあ、肩書きとしては社長でもあり、大学生でもあるんですか?
【磯野】 そうですね。ご飯食べるときは、「ご飯おかわり、学割で」って。だから、長距離移動するときも学割使ってますね。
――でも、学校行く時間ないですよね?
【磯野】 仕事の合間に行っていますけど大変です。何回も先生に怒られてますよ。「またお前すっぽかして!」って。「いや、すっぽかしたわけじゃないんです。仕事が入って行かれなくなるだけなんです」ってね。
【磯野】 はい。木曜日です。
――でも、きついですよね。すごいですね。
【磯野】 それが大事なんです、人間ね。向上心がなくなったら終わりですよ。
――ちなみに、普段はお休みあるんですか?
【磯野】 お店は水曜日です。
――その日は何をされているんですか?
【磯野】 研究と事務ですね。
――事務は仕事のですか?
【磯野】 仕事の事務です。
――それだと休みの日ないですよね? 月に数えるほどしかないんじゃないですか?
【磯野】 月じゃないですね。年に数えるほどだけですね、休みは。
新撰組は本当は忍者ファッションだった!?
――今は何の研究をされているのですか?
【磯野】 幕末史ですね。幕末政治史。僕は政治史が専門なんです。
――研究の中でもっとも興味があるのは?
【磯野】 幕末の軍政、軍事です。まだまだ謎が多すぎるんですよ。資料がない。ここは間違ってるよっていうことを何ならかの形で残していかなければ、後世の研究に支障をきたしますね。特に、19世紀の研究は世界でも日本が一番遅れているんです。だから、それを何としても世界水準に持っていくのが目的のひとつです。
――何で遅れているんですか?
【磯野】 簡単にいうと、日本では軍事史の研究がタブー視されているからなんです。ミリタリー色を出すというのが。
――軍事ということで?
【磯野】 そうです。世界的にはその頃の戦術とかわかっていて、アメリカの南北戦争はほぼ終わっています。ヨーロッパもほとんど終わってます。日本だけが全然進んでいません。タブー視されてしまっているからです。軍事の人間から言わせると、明治維新以前は近代日本と関係ないですし、歴史関係のほうから言わせると、あれは近代に入らないというんです。ペリー以降のわずか20年くらいが相手にされない有名な時代なんですよ。だって、新撰組ってどういうイメージあります?
――「御用、御用」って言って、青い羽織を着て……。
【磯野】 実はそれ、全部間違いなんです。真実の新撰組はそうではないんです。なぜかというと、池田屋事件があった翌年の文久3年に、あの青い羽織を作ったらしいんです。だから、池田屋事件があった前後のときに戦争があったので、彼らが着ていた服は真っ白だったって記述が残っているんです。羽織は全部色落ちして白いって。それどころか、あんな目立つ服を着ていくわけないじゃないですか。相手が逃げちゃいますよね。顔も真っ黒だったということです。
【磯野】 忍者ファッションですね。あと、彼らは全員拳銃を持っていましたから。
――(笑)。
【磯野】 あと、有名なのは人斬り以蔵っているじゃないですか、岡田以蔵。彼は何を使って戦っていたと思います?
――何を使っていたんですか?
【磯野】 拳銃です。多摩の博物館に行けば現物が置いてあります。人斬り以蔵が使っていた拳銃って。あれは人斬り以蔵じゃなくて、人撃ち以蔵だったんですよ。(次ページへ続く)