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【アキバ・キーマンインタビュー No.8】アキバでもっとも危ないお店!? 話題の武具専門店「武器屋~Blade Works」の代表・磯野氏を直撃!

2007年01月05日 09時42分更新

文● 大森徹哉

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「萌え」より遥か前に生まれた、元祖アキバ語がある!?

講武稲荷

――よく聞かれると思いますが、なぜ秋葉原にお店を構えようと思ったのですか?
【磯野】 秋葉原に構えた理由……、すぐそこに講武稲荷ってあるのをご存知ですか?

――講武稲荷?
【磯野】 すぐそこですよ。お稲荷さんの。あれ講武稲荷っていうんですよ。実は、ここは幕府の学校の練兵場があった場所なんですよ。西洋の武器が日本に始めて移住したのはこの地であるから、じゃあこの地で始めようかなと。

――なるほど。練兵場だったわけですね?
【磯野】 すぐ隣の小川町には小川講武所って学校があったんですよ。そこでオランダ語を翻訳して、軍隊を作るということをしていたんです。そのときに、日本人の誰もが知ってる言葉がここ秋葉原で誕生するんです。

――え、何ですか?
【磯野】 「気を付け!」です。

――ええ! そうなのですか?
【磯野】 はい。幕末にここでできた言葉なんですよ。アキバ語なんです。アキバ語の元祖は“萌え”じゃないんです。“萌え”の前に“気を付け!”があるんです。

ゲーフトアクト
――それは知らなかったな~。
【磯野】 幕末当時、この辺りは滑稽だったと思いますよ。洋服を着た日本人がうようよしていましたからね。元々、秋葉原という地名は「あきばっぱら」からきているんですよ。だから、あきばっ原なんですよ。軍隊が使うのに建物はいらないけど、使える場所がないかなと探していたところ、「あ、あきばっ原があるよ」という話になったんですよ。

――ちょうどいいよと。
【磯野】 ちょうどいいよ、ここはと。

――「気を付け」はアキバの軍隊から生まれた言葉なんですね。
【磯野】 翻訳後ですね、完全な。ゲーフトアクトという。

――元々、ご存知だったんですか?
【磯野】 私自身が学術、そこをやってる人なんです。

――それはどういった研究なんですかね?
【磯野】 幕末の軍事、軍政史ですね。もう5年くらいやっていますかね。



僕よく言うんですよ、「好きなことを仕事にするな」って

剣

――この仕事に携わる前は何をなされていたんですか?
【磯野】 いつリストラされてもおかしくない会社員です。

――元サラリーマンなんですか?
【磯野】 サラリーマンというか、一応会社で働いてましたね。

――どういう業種ですか?
【磯野】 旅行に限りなく近い業種ですね。旅行会社の隣にいる業者。すいません、それくらいで勘弁してください(笑)。

――そうなんですか。
【磯野】 リストラ的なものがあったんです。5、6年前に。その余波で、ちょっと飛ばされたりしたんです。じゃあ、もういかん。無理するぐらいなら辞めようと思いまして。そう思ったら好きなことをやりたくなるんですよね、人って(笑)。

――じゃあ、今はすごくいい状態じゃないですか?
【磯野】 でもね、僕よく、好きなことを仕事にするなって言うんですよ。なぜかというと、好きなものが好きじゃなくなるからなんです。仕事で忙しくて、好きなもので自分が地獄を見ますからね。

――でも、仕事としては好きなことをやっているほうがいいんじゃないですか?
【磯野】 考え方次第ですよ。好きでないことをやって100万円の金を得て、100万円好きなものに使う。そのほうが楽しくないですか?

――でも、好きでないことで稼ぐのは難しくないですか?
【磯野】 逆ですよ。好きでないからこそ、金を稼げるんですよ。

――それに徹して?
【磯野】 そうです。目的はただ1つなんですよ。今度は10万円の刀を買おう。その目的だけで働けるわけです。

防具
――なるほど。
【磯野】 例えば年末にコミックマーケットとかありますけど、意外と公務員とか、お堅い職業の人が多いんですよ。なぜかというと、好きなことに金をつぎ込めて、確実に休めるからです。彼らはそういうことに固執するんですよ。それが利口な人の生き方ですよ。好きなことをやって儲かるなんて氷山の一角じゃないですか。逆に言うと(取材している)皆さんを見ていると、好きなことのために貧乏してませんか?って思いますね。

――確かに、あまり金持ちの人は見かけないですね(苦笑)。
【磯野】 執筆業、映像業で金持ちは見たことないですね。作家さんなんて、50歳まで奥さんに食わせてもらってたなんていうのが、当たり前にいるじゃないですか。

――まあ、そうですよね。
【磯野】 仕事を辞めて好きなことをやりたいというお客さんが店に来ると、それは考え方が間違ってるよ。好きなものを買うために好きでなくても働くんですよって言いますね。(次ページへ続く)



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