松下電器産業(株)は20日、耐衝撃/防滴/防塵性能を重視した頑丈設計のノートパソコン“TOUGHBOOK (タフブック)”シリーズの新製品として、液晶ディスプレーの視認性などを改良した2モデルを発表した。
ラインアップは、タッチパネル式13.3インチ液晶ディスプレーの『CF-30』と、タブレットスタイルでも使えるタッチパネル式10.4インチ液晶ディスプレーを備えた『CF-19』の2種類。CF-19には、無線LAN(IEEE 802.11 a/b/g)モジュールを省くタイプも用意される。
発売日はCF-30が2月1日、CF-19が2月26日。価格はオープンプライス。松下ネットワークマーケティング(株)のオンラインショップ“マイレッツクラブ”における販売価格は、CF-30が40万円台半ば、CF-19が30万円台前半。
タッチパネル式13.3インチ液晶ディスプレーを備えた『CF-30』 | タブレットスタイルでも使えるタッチパネル式10.4インチ液晶ディスプレーを備えた『CF-19』 |
整備工場、工事現場、海洋調査、消防や警察といった現場で利用されているという |
CF-30は輝度アップ、CF-19は偏光フィルムを採用
従来モデルより液晶ディスプレーの視認性が改善され、直射日光下でも画面が見やすくなったという。また、両モデルの液晶ディスプレーとも、映り込みを少なくする“AR(Anti-Reflection)処理”が施されている。
視認性の改良方法はCF-30とCF-19で異なり、CF-30では液晶ディスプレーを高輝度化している。具体的には、従来モデル『CF-29』が1灯のバックライトで500cd/m2の輝度だったところ、CF-30では2灯に増やして1000cd/m2という2倍の値を実現した。
左が従来モデルのCF-29、右がCF-30 | 輝度アップの仕組みを解説したスライド |
タブレットタイプのCF-19では、“円偏光フィルム”を新たに採用した。直射日光下で視認性が悪くなる理由は、タッチセンサーに当たった光が反射するという点にある。CF-19は、液晶パネル/位相差フィルム/タッチセンサー/位相差フィルム/偏光フィルム──という5重の構造を取ることで、液晶パネルの光は通過させつつ、タッチスクリーンからはね返ってくる外光は遮断するという。
松下電機産業のパナソニックAVCネットワークス社 ITプロダクツ事業部 テクノロジーセンター ハード設計第二チームの主任技師、西松英雄氏によれば、従来モデル『CF-18』で10%を超えていた反射率が、CF-19では3~4%程度という3分の1以下に低減されたとのこと。なお、CF-19の輝度は460cd/m2だ。
円偏光フィルムで視認性を改良する仕組み |
視認性以外では、従来、HDDのみに採用していたヒーターを液晶ディスプレーにも適用し、-20度環境での起動/動作が可能になっている。そのほか、全コネクターの挿抜保証回数が3000回から3万回にアップし、内蔵Bluetoothモジュールや内蔵GPSモジュール、指紋認証機構をオプションで選べるようになった。主な仕様は以下のとおり。
製品名 | CF-30 | CF-19 |
---|---|---|
CPU | Core Duo L2400-1.66GHz | Core Duo U2400-1.06GHz |
メモリー容量 | 512MB(PC2-4200 DDR2 SDRAM、最大容量1GB、空きスロット1) | |
チップセット | インテル 945GM Express | |
ビデオメモリー | 128MB(メインメモリーと共用) | |
HDD | 80GB(SATA) | |
液晶ディスプレー | 13.3インチ/1024×768ドット(タッチパネル対応) | 10.4インチ/1024×768ドット(回転式、タッチパネル対応) |
光学式ドライブ | なし | |
通信機能 | IEEE 802.11a(J52/W52/W53)/b/g対応の無線LAN、 10/100/1000BASE-T対応のEthernet、V.90対応56kbpsモデム | IEEE 802.11a(J52/W52/W53)/b/g対応の無線LAN、 10/100BASE-TX対応のEthernet、V.90対応56kbpsモデム |
主なインターフェース | USB 2.0×3基、IEEE 1394a、外部ディスプレー(ミニD-Sub 15ピン)、ExpressCard、PCカード(Type II)、SDメモリーカード | USB 2.0×2基、IEEE 1394a、外部ディスプレー(ミニD-Sub 15ピン)、ExpressCard、PCカード(Type II)、SDメモリーカード |
最大バッテリー駆動時間(JEITA測定法1.0) | 約8時間 | |
OS | Windows XP Professional SP2 | |
本体サイズ | 幅302×奥行き285×高さ69.5(最薄部67.5)mm | 幅271×奥行き216×高さ49mm |
本体重量 | 約3.8kg | 約2.25kg |
機器の側面にある端子類はすべて、金属ドアとラバーシールで保護されている |
水攻め、粉攻め、落下攻め……5つの試験でタフを保証
耐衝撃/防滴/防塵といった“タフ”の要素は、従来モデルと同等となっている。西松氏によれば、松下電器ではタフの性能を保証するために、以下の5つのテストを行っているとのこと。
- 90cmの高さからの自由落下試験。合板に対しては26方向、コンクリートに対しては5方向の角度を付けて本体を落とす
- 車載を前提としてた対振動試験
- 360度の方向から1時間散水する防滴試験
- 無機粉末(タルク粉)を8時間浴びせる防塵試験
- -20度、および60度の状態で500時間動作させるエージング試験
『Let'snote CF-Y5』など、最近の松下製パソコンでおなじみとなった水掛けデモ。今回は動作した状態で、2リットルの水をかけられていた |
90cmからの落下デモ | タルク粉を浴びせる防塵デモ |
なお、日本電気(株)が同種の堅牢ノートパソコン『ShieldPRO FC-N21S』を5日に発表したことについて、パナソニックAVCネットワークス社 システム事業グループ ITプロダクツ事業部 事業部長、高木俊幸氏は「国内では“堅牢パソコン”の認知度がなかなか上がらないという気持ちを持っている。NECさんがさらに新製品を投入することで、市場が大きくなっていく面もあるので、非常に喜ばしいと考えている」と語った。
また、Windows Vistaへの対応は西松氏が「両モデルともWindows Vistaにも対応する予定。ドライバーの提供時期などについては検討中」とコメントしている。
高木俊幸氏 | 西松英雄氏 |