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PC-MV9H/U2

PC-MV9H/U2

2006年08月10日 00時02分更新

文● 伊藤 裕也

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柔軟かつ強力な視聴・録画機能
しかしMPEG-2の扱いやすさには及ばない点も

テレビ番組の視聴ならびに録画を行なう「PCastTV2」。画面は番組表やチャンネル情報をすべて表示する“フルモード”表示。
テレビ番組の視聴ならびに録画を行なう「PCastTV2」。画面は番組表やチャンネル情報をすべて表示する“フルモード”表示。

 テレビ番組の視聴・録画を行なうソフトには、同社オリジナルの「PCastTV2」が付属している。テレビ画面に番組表を組み合わせた“フルモード”や、画面以外の余分な要素を省いた“ミニモード”など、4パターンの表示モードを備える。電子番組表(EPG)は、インターネット上で公開されている“iEPG”方式のEPGデータをパソコンに蓄積して利用する。録画予約はEPGでの指定や手動で日時設定しての録画はもちろん、携帯電話/メールからの予約などもサポートする。

チャンネル情報欄には、ダウンロードしたiEPGのデータを利用することで現在オンエアされている番組名を表示可能だ。簡易番組ガイドの役割を果たしており大変便利。
チャンネル情報欄には、ダウンロードしたiEPGのデータを利用することで現在オンエアされている番組名を表示可能だ。簡易番組ガイドの役割を果たしており大変便利。

 このようにテレビの視聴・録画機能は柔軟かつ強力で、従来のテレビチューナーユニットにある機能は、ほぼ搭載されていると思っていい。ただし、“ほぼ”と記したように、完全に同等というわけではない。例えばタイムシフト視聴機能は備えていない。またこれに絡んで、録画済み番組を再生中に予約録画が始まった場合、再生を中断して録画中の番組を見たいと思っても、なぜか録画中の番組が表示できない。細かい話のようだが、これは使い勝手を大きく左右するポイントである。

映像再生中に予約した録画処理が始まった場合、映像の再生をキャンセルするとスクリーンにはこのようなメッセージが表示される。映像再生でスクリーンを使用していた場合には、録画中の番組を見ることはできないのである。
映像再生中に予約した録画処理が始まった場合、映像の再生をキャンセルするとスクリーンにはこのようなメッセージが表示される。映像再生でスクリーンを使用していた場合には、録画中の番組を見ることはできないのである。

 実際にPentium 4-2.4GHz、メモリー512MB、Windows 2000 SP4というテスト環境を構築して試用したところ、ライブ視聴ではチャンネル変更のタイムラグはほとんどなく、映像品質も10bit A/Dビデオデコーダーや高画質化回路により高画質を実現しており、MPEG-2のテレビチューナーユニットと同じ感覚で扱うことができた。もっとも、ライブ視聴はエンコーダーを使用しないので、レスポンスが軽快で映像品質も高いというのは当たり前。気になるポイントは、やはり録画の使い勝手と録画した映像の再生であろう。

 まずは手動での録画を試みた。映像設定にH.264の高画質を指定し、録画処理を開始したところ、録画中のCPU使用率は90%前後と、ライブ視聴時の30%台から急激に上昇。さらにはコマ落ちやブロックノイズ、音ズレも時折発生した。しかしこれらはデコード(再生)のミスにより生じたもので、録画中のデータそのものに欠落はなかった。少なくともテスト環境程度のスペックでは、録画と視聴を同時に楽しむことは難しいようだ。そこでHT対応Pentium 4-2.8GHz、メモリー1GB、Windows XPの構成でテストしたところ、こちらでは表示画面のコマ落ち等は一切見られず、スムーズに動作した。製品の動作環境に関する説明では、「すべての機能を使用するためにはPentium 4/Celeronの2.8GHz以上」が必要であると書かれている。実際にもこのあたりがボーダーラインとなっているように感じられる。

 続いてH.264の高画質設定で録画した映像をPentium 4-2.4GHzのテスト環境で再生したところ、CPU使用率は60%前後と余裕のある状態で、コマ落ちやブロックノイズの発生も見られなかった。ウェブブラウジングやメールを書きながらといった“ながら再生”でも問題ない。映像再生中のコントロールは、一時停止、スライダー操作によるシーンのジャンプ、指定した時間だけシーンをジャンプする“CMスキップ”が行なえる。一時停止と再生再開は、ボタン操作とほぼ同時に実行されるのだが、シーンのジャンプでは状況によって、タイムラグの発生があった。録画映像全体の長さによって3~4秒からさらに8~9秒といった具合に、遅延の幅が大きくなる現象だ。つまり長い番組ほど遅延も長くなるので、長時間の録画映像になるとシーンの移動が実質不可能になってしまう。これは同梱のPCastTV2の問題で、バッファローのウェブサイトでは問題を修正するプログラムがすでに公開されている。7月中旬に公開された1.04β1を使用して確認したところ、やや引っかかる感じはあるものの、問題は解消されていた。なお1.04β1では、CAVLCでの録画に関する不具合が解消されていることもつけ加えておく。

動きの激しい映像でも目立つ破綻ナシ!
お気に入り番組の保存に使える映像品質

 映像品質を“高画質”設定で録画した映像の画質で確認してみた。髪の毛のような微細な情報や、夕闇や暗闇といったわずかな階調変化は潰れやすい傾向にあり、また輝度の違いがハッキリしている輪郭部などでは、ノイズの発生が若干見られた。こうした傾向のため、映像は若干粗くツヤのない表現となるが、MPEG-2と比べても気になるほどのレベルではない。ビデオビットレートが2.5Mbpsであることを考えれば、むしろ大健闘といえる。動きのあるシーンでのノイズについては、スポーツ番組やアクション映画でもうまくごまかされており、破綻は目立たない。さすがに水しぶきが激しく舞うようなシーンはやや厳しいが、そうしたシーンが予想できる場合には、カスタム設定でビットレートを上げておくといいだろう。総じて高画質設定はお気に入り番組の長期保存にも、十分使える設定である。

 “普通”設定は高画質のビットレートを下げたという設定なので、スポーツやアクション映画といった映像では、粗さがやや目立った。と言っても高画質と比較しての話であり、特に絵が破綻するというわけではない。普通設定も高画質同様、幅広い映像に対して十分実用に耐える。ファイルサイズを小さくすることを重視する人には、こちらの設定がお勧めだ。

最後の“低画質”設定だが、動きが激しくないシーンでの映像品質は良好だが、動きのあるシーンになった途端に、粗さが目立つ傾向がある。「お気に入り映像を高い画質のまま保存したい」という用途には不向きだ。以下にそれぞれの設定で録画した映像のスクリーンショットを掲載したので、見比べてみていただきたい。

高画質設定の映像。クレーンや電光掲示板の文字などの細部も分かり、ビットレートの低さを感じさせない。水面の小さな波についてはさすがに表現しきれていないが、映像として動いている状態では違和感のない表現で許容範囲。
高画質設定の映像。クレーンや電光掲示板の文字などの細部も分かり、ビットレートの低さを感じさせない。水面の小さな波についてはさすがに表現しきれていないが、映像として動いている状態では違和感のない表現で許容範囲。
普通設定で記録した映像。よく見ると電光掲示板の文字が若干潰れたり、水面の潰れも増えているが、細部までうまく表現できている。MPEG-2と比較しても、一般的な映像の録画であれば普通設定で十分である。
普通設定で記録した映像。よく見ると電光掲示板の文字が若干潰れたり、水面の潰れも増えているが、細部までうまく表現できている。MPEG-2と比較しても、一般的な映像の録画であれば普通設定で十分である。
低画質設定。ビットレートが1Mbpsと低いだけあって、高画質や普通と比較すると、細部の情報は大きく失われている。電光掲示板の文字はぼけてしまい判別が難しい状態で、水門の向こう側の緑の表現も潰れがち。水面の波も潰れて見える部分が増えた。
低画質設定。ビットレートが1Mbpsと低いだけあって、高画質や普通と比較すると、細部の情報は大きく失われている。電光掲示板の文字はぼけてしまい判別が難しい状態で、水門の向こう側の緑の表現も潰れがち。水面の波も潰れて見える部分が増えた。

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