総評と画像サンプル
K100Dを操作した若干、画像再生などでもたつく感じがあり、内蔵LSIの処理スピードに不満を感じる面もある。しかし、そうだとしてもこれだけの機能を持ったデジタル一眼レフが発売当初からレンズキットで9万円を切る価格で手に入るということは恐ろしいことである。
いくらコンパクトデジタルカメラが1000万画素CCDを搭載しているとはいえ、画質は解像度だけで決まるわけではない。APS-Cサイズの大型CCDのダイナミックレンジは幅広く、そこから吐き出される色の豊かさは1/1.8インチや2/3インチCCDとは比べものにはならない。このあたりはサンプル写真にもハッキリ出ている。
江ノ電が駅ですれ違うところをスナップ。最大解像度で撮影したものをPhotoshopで横幅1024ドットに縮小。 | 上の写真を等倍で切り抜いたもの。暗い部分の女性の階調もギリギリ残っている。 |
その一例として挙げたいのが、上の江ノ電のスナップだ。写真では、陰になっている右側ホームを歩く人物もある程度見えるが、高解像度コンパクトカメラではここまで暗い部分はつぶれて表現されないことが多い。APS-CサイズCCDのダイナミックレンジの広さがわかるだろう。
また、木陰の神社で撮影したスナップでは、撮影当日が曇りでしかも神社のある境内が木に囲まれていたため、さらに薄暗かった。ISO 200で固定して撮影していたので手ぶれが心配だったが、“SR”機能が有効に働いてくれた。さらに、ホワイトバランスも周囲の木の緑に過敏な反応もせず、自然な色合いになった。社殿は赤が強く見えるが、実際塗りなおしたばかりだったらしく、肉眼でもかなりはっきりとした赤に見えた。
木陰の神社のスナップ。屋根の部分が白トビしているが、被写体の色を鮮やかに見せるように、陰の部分に露出を合わせたため | 一部分を等倍で切り抜いたもの。 |
標準ズームのDA 18-55mmF3.5-5.6ALの最短撮影距離は25センチまで近寄れる。これだけ近づけばF8の絞りでも背景はきれいにボケてくれる。 | 一部分を等倍で切り抜いたもの。 |
手ぶれ補正機構を本体に内蔵したK100Dは、装着可能なレンズはすべて手ぶれ補正対応にしてしまえるという特徴がある。過去の資産を継承できるのはもちろん、高価な専用レンズを買わずに、手軽に手ぶれ補正の恩恵を受けられるというのは初心者にとって非常に嬉しい機能だろう。また、価格の安さや本体のコンパクトさからも、K100Dは気軽に持ち運べるスナップカメラに最適だ、一眼レフカメラならではのレンズを含めたアクセサリーの多さは、写真表現の幅を広げてくれる。
そういう意味では、最近のデジタル一眼レフのなかで、一番コンパクトカメラからのステップアップに向いたデジタル一眼レフと言えるだろう。10万円以下のレンジで、気軽に使える一眼レフカメラが欲しいというのなら、まず最初にお勧めしたい製品である。
電源は単3電池×4本または、CR-V3リチウム電池×2本使用。単3はリチウム電池、ニッケル水素充電池、アルカリ乾電池が使用できる。意外と省電力なのでアルカリ電池でも100枚程度は撮影できた。緊急時には大変助かる。 |
PENTAX K100Dの主なスペック | |
製品名 | PENTAX K100D |
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撮像素子 | 有効610万画素CCD |
液晶ディスプレー | 2.5インチ低温ポリシリコンTFTパネル(約21万画素) |
ファインダー | ペンタミラー式(視野率96%、倍率0.85倍) |
シャッター速度 | 1/4000~30秒 |
電源 | 単3電池×4本(ストロボ発光なし約730枚、CR-V3使用時) |
記録メディア | SDメモリーカード |
サイズ | 129.5(W)×70(D)×92.5(H)mm(突起部を除く) |
重量 | 560g(本体のみ) |