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【最新パーツ性能チェックVol.43】Conroe登場間近! 予想通りの爆発的高性能に影を落とす盲点とは?

2006年07月14日 12時57分更新

文● 月刊アスキー編集部 野口岳郎

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新アーキテクチャと65nmパワーの絶妙ブレンド

 今回、Core 2はインテルの975Xマザー「D975XBX」を使用、メモリはDDR2-533で動作させた。本来DDR2-800対応のはずのプラットフォームだが、編集部のDDR2-800のメモリを装着しても、自動設定だとDDR2-533で起動してしまい手動で666MHzや800MHzにセットするとマシンが起動しない。CPUもマザーもサンプルのため、どちらかに問題があるようだ。DDR2-800を使用すればより高速になるが、Core 2のFSBが1066MHzであり、スループット的にはDDR2-533のデュアルチャネル相当なので、そう大きな差は出ないものと想定される。
 比較対象はAthlon 64 FX-62とした。こちらはDDR2-800のメモリを18-5-5-5のタイミングで動作させている。Athlon 64においてはFSBによるメモリ性能の制約がなく、メモリを533MHzに落とすと性能面にかなりのインパクトがあるため800MHzでの計測とした。
 Core 2については、2.93GHzのExtreme、2.66GHzのDuoのほか、2.4GHz品のシミュレーションとして、Extremeのクロックを2.4GHzに落とした状態での結果も計測した。
 なお、Core 2のラインナップは表2のとおり。

表2 Core 2のラインナップと主な仕様(価格は現時点では不明)
CPU名クロック周波数FSB2次キャッシュTDP
Core 2 Extreme X68002.93GHz1066MHz4MB75W
Core 2 Duo E67002.67GHz1066MHz4MB65W
Core 2 Duo E66002.4GHz1066MHz4MB65W
Core 2 Duo E64002.13GHz1066MHz2MB65W
Core 2 Duo E63001.86GHz1066MHz2MB65W

 グラフ2~13の結果から一目でわかるように、Core 2の速さには感嘆させられるばかりだ。Extremeはまさに無敵、Core 2 Duoの2.4GHz版でも、悪くてFX-62程度、多くのテストではFX-62よりワングレード上の性能を見せている。
 特に大きな差がついた「Superπ」は、シングルスレッドのタスクなので、4MBのキャッシュを使えることが効いたものと思われる(Athlon 64では1MBしか使えない)。このほか、従来Athlon 64勢が強かった「Final Fantasy」や「Commanche 4」で大きくスコアを伸ばしたのは、アーキテクチャ面の強化に加え、これも4MBキャッシュの効果が大きいものと思われる。90nmで作ったらとんでもないダイサイズになってしまう、こうした大容量キャッシュを1ダイに詰め込める65nmプロセスの力である。

 Core 2 Duo 2.4GHzは、位置づけとしては(エクストリームでない)メインストリームの上から2つ目だから、手が出ないような高価格にはならないことが期待される。これで10万円オーバーのプレミアムCPU、FX-62をしのぐ速度を得られるのだから、コストパフォーマンスはすばらしい。また消費電力面でも、アイドル時こそFX-62と同レベルだが、負荷をかけた状態ではCore 2が圧倒的に低い(グラフ14)。ワット当たり性能ではさらに大きな差がついていることになる。

Superπ
グラフ2 棒が短いほど高速。CPUの、主に浮動小数点演算の性能がわかる「Superπ」。キャッシュサイズが大きく影響することがわかっている。シングルスレッド
DGCA
グラフ3 棒が短いほど高速。可逆の高性能圧縮アーカイバ「DGCA」によるファイル圧縮時間。シングルスレッド
グラフ4 やや旧世代の3D描画テスト。伝統的にAthlon 64が強かったが、今回Core 2が一気に逆転して差を広げた。シングルスレッド
Final Fantasy XI ver.2
グラフ5 大ヒットゲーム「Final Fantasy XI ver.2」の快適度を見るためのテスト。Athlon 64は従来大きくリードしていたが、ついにここでも逆転を許した。おそらくシングルスレッド
Direct X9
グラフ6 Direct X9世代の描画テストだが、この「CPU」スコアは、ビデオカードではなくCPUによるレンダリングを行なう。また、AIや物理シミュレーションを同時に行なう、マルチスレッド対応3Dテストでもある。Athlonはやや苦手としていたが、ここで大きく差が開いた
グラフ7 最大4スレッドまでの同時実行を行なう、オフィスワークシミュレータ的なテスト。ここでもCore 2の優秀さが光る
グラフ8 マルチスレッド対応の3D CGのレンダリングテスト。FX-62をCore 2-2.4GHzがかわした。Core 2-9.33GHzのスコアは、ちょっと前までは「デュアルコアCPU×2」のシステムでなければ出せない水準だ
Windows Media Encoder 9
グラフ9 棒が短いほど高速。2スレッドまで対応する「Windows Media Encoder 9」によるビデオの圧縮時間。Core 2勢が上位を独占した
グラフ10 棒が短いほど高速。「Windows Media Encoder 9」のうち、唯一2つ以上のスレッドに対応する“Advanced Progile”でのテスト。ここではFX-62がCore 2-2.4GHzと同スコアとなった
「DivX 6.1」
グラフ11 棒が短いほど高速。マルチスレッドに対応する「DivX 6.1」Codecでの動画圧縮時間。Core 2勢が強い
TMPGEnc 4
グラフ12 棒が短いほど高速。日本の定番エンコーダ「TMPGEnc 4」で、MPEG2形式での圧縮処理をおこなった際の時間。マルチスレッド対応。ここもCore 2が上位を独占
TMPGEnc 4 その2
グラフ13 棒が短いほど高速。「TMPGEnc 4」が内蔵するMPEG4圧縮エンジンによる圧縮テスト。シングルスレッドだが、ノイズ除去フィルタをかけているので2スレッドが動いている。Core 2の強さが目を引く
グラフ14 システムレベルの消費電力。電源は同じものを使っている。Athlon 64は“Cool'n'Quiet”を有効にしている。高負荷時でもCore 2の消費電力が上がらないのがよくわかる

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