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東京工業大学、アジア最速のスパコンを披露!

2006年07月03日 21時48分更新

文● 編集部 小西利明

スーパーコンピューティンググリッド“TSUBAME Grid Cluster”を公開

大岡山キャンパス 学術国際情報センター内に設置されたアジア最速のスパコン“TSUBAME Grid Cluster”
大岡山キャンパス 学術国際情報センター内に設置されたアジア最速のスパコン“TSUBAME Grid Cluster

東京工業大学は3日、同大学大岡山キャンパスに導入された世界で7番目に速いスーパーコンピューティンググリッドシステム“TSUBAME Grid Cluster(ツバメ グリッドクラスター)”の披露式を行なった。TSUBAMEは世界のスーパーコンピューターの速度ランキング“Top500”で現在世界第7位。アジア・環太平洋地域では最速の計算速度を誇るクラスターシステムで、5240個のOpteron 880/885で構成されている。

TSUBAMEは“Tokyo-tech Supercomputer and UBiqitously Accessible Mass-storage Environment”の略で、同大学の校章であるツバメにかけて名付けられた。大岡山キャンパスの学術国際情報センター内に設置されており、1階から3階に分散配置されている。全体のシステムインテグレーションは日本電気(株)(以下NEC)が担当したほか、サン・マイクロシステムズ(株)が各ノードやストレージを、日本エイ・エム・ディ(株)(以下AMD)がCPUを提供している。

CPUコア数は1万480個!

TSUBAMEの構成要素。1ノード8CPUが計655ノードあるので、CPU数は5240個、CPUコア数なら1万480個! 各ノードを構成する“Sun Fire X4600”。CPUとメモリーの載ったボードが8枚装着されている。側面の冷却ファンはホットプラグ可能
TSUBAMEの構成要素。1ノード8CPUが計655ノードあるので、CPU数は5240個、CPUコア数なら1万480個!各ノードを構成する“Sun Fire X4600”。CPUとメモリーの載ったボードが8枚装着されている。側面の冷却ファンはホットプラグ可能

1ノードにデュアルコアOpteron 880-2.4GHz/885-2.6GHzを8個搭載したサーバーシステム『Sun Fire X4600』を、計655ノード分連結(※1)。さらに米ClearSpeed Technology社製の64bit浮動小数点演算プロセッサー『CSX600プロセッサー』を搭載するアクセラレーターカードを、360台分搭載している。メモリーは全ノード合計で21.4TBにもなる。OSには『SuSE Enterprise Linux 9 SP3』を使用している。Opteron側だけでピーク性能は合計約50TFLOPS、アクセラレーターカード側が合計約35TFLOPSとなり、合計でのピーク性能は約85TFLOPSとなる。前述のTop500に申請した時点の性能は、Opteron側のみでの演算性能であるため7位に止まったが、アクセラレーターカード側の性能も合わせれば、さらに上位にランクインできるという。

※1 Opteron 880と32GBメモリー搭載システムが639台、Opteron 885と64GBメモリー搭載システムが16台

各ノードはInfiniBandのネットワークによって結ばれ、イスラエルのVoltaire社の100Gbit級スイッチ『Voltaire Grid Director ISR 9288』計8台で相互に接続されている。またストレージとして、『Sun Thumper(サン タンパー)』42台で約1PB(ペタバイト)、またNECの『iStorage S1800AT』の約0.1PB分が接続されており、全体での容量は1.1PBにもなる。消費電力はピーク時で1.2MW、通常は900kW程度とのこと。ちなみに冷却は空冷式で、建物の屋上には多数設置された冷却ユニットから、室内に冷気を供給している。

各ノードとストレージ、外部ネットワークを連結するスイッチ『Voltaire Grid Director ISR 9288』(写真右側) 建物屋上の一角には、空冷用の冷却ユニットが並ぶ。全部で42台あるようだ
各ノードとストレージ、外部ネットワークを連結するスイッチ『Voltaire Grid Director ISR 9288』(写真右側)建物屋上の一角には、空冷用の冷却ユニットが並ぶ。全部で42台あるようだ

超並列システムを扱える人材育成を目指す

TSUBAME構築の中心人物である東京工業大学 学術国際情報センターの松岡聡教授(右)と、青木尊之教授
TSUBAME構築の中心人物である東京工業大学 学術国際情報センターの松岡聡教授(右)と、青木尊之教授

披露式では同大学学長の相澤益男氏により挨拶が行なわれた。相澤氏はTSUBAMEについて、少数の大規模科学計算に利用を限定せずに、“みんなのスパコン”をキーワードに膨大な計算機資源を最先端の研究者に活用してもらいたいと抱負を述べた。また、TSUBAME構築の中心となって活動した同大学 学術国際情報センターの松岡聡教授も、“大学センターとしてのスパコンはどうあるべきか”という大きなテーマを挙げて、「いかに新しい人材を育てるか、計算機科学を日常とする人材を育てるかが大きな課題であった」と述べた。別途行なわれた記者会見でも、同大学 学術国際情報センターの青木尊之教授は、将来のより高速なシステムを使いこなすために、「(大規模な)並列化のできるユーザーを教育していくのが大学の使命」と述べて、TSUBAMEを人材育成のためのプラットフォームとして活用していくとの方針を強調していた。

その例として示されたのが、“みんなのスパコン”として活用するデモである。同大学の教員や生徒には、TSUBAMEを利用するためのICカードが配布され、ICカードとパスワードがを利用して、パソコンのウェブブラウザーから簡単にスパコンが提供するサービスにログインできる。ウェブベースのサービスには、電子メールや学内サービスが用意されるほか、ウェブブラウザーをインターフェースとして量子化学計算プログラムを実行したりもできるようだ。

ICカードを使ってTSUBAMEのサービスにログインするデモの様子。Windowsベースのごく普通のインターフェースから、スパコンのサービスを利用できる
ICカードを使ってTSUBAMEのサービスにログインするデモの様子。Windowsベースのごく普通のインターフェースから、スパコンのサービスを利用できる

もちろんスパコンの本領が発揮される大規模な科学技術計算のプロジェクトも多数行なわれており、披露会ではその例として、地球磁場の変動シミュレーションや、非常に詳細な台風シミュレーション、液体内の気泡の動きのシミュレーション(原子炉設計などに応用)などの事例も挙げられた。

TSUBAMEの活用例。地球磁場の変動を予測するシミュレーション 水で満たされた配管内での気泡の動きのシミュレーション。原子炉の配管設計などに応用できる
TSUBAMEの活用例。地球磁場の変動を予測するシミュレーション水で満たされた配管内での気泡の動きのシミュレーション。原子炉の配管設計などに応用できる

松岡教授はTSUBAMEが十分な競争力を発揮できる期間を“寿命”と表現し、寿命は4年程度でとしている。しかし途中での性能向上も可能であり、「寿命はもう少し延びるかもしれない」と述べた。また将来のロードマップも示され、TSUBAMEが寿命を迎える2010年頃には、1PFLOPS(ペタフロップス)級の次世代グリッドシステムを構築する計画という。

同大学および日本と世界のスパコンロードマップ。文部科学省が進める“京速計算機システム”が実用化予定の2011年までには、次世代の1PFLOPS級のグリッドシステムを同大学に構築するという
同大学および日本と世界のスパコンロードマップ。文部科学省が進める“京速計算機システム”が実用化予定の2011年までには、次世代の1PFLOPS級のグリッドシステムを同大学に構築するという

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