液晶ライブビューを中心とした充実の機能
写真10 液晶ディスプレーをチルトさせつつグリッド表示させたところ。ウェストレベルで腰の位置に構えつつ構図を決められるのはかなり快適。 | 写真11 記録メディアはxD-PictureカードとCF TypeIIのデュアルスロット。バッテリーは専用リチウムイオン充電池を採用する。 |
銀塩カメラからデジタルカメラ、しかもマルチアングル液晶モニターやレンズ回転機構を搭載したモデルを使いはじめると、極端なハイアングルやローアングルといった普段では撮りにくい構図に凝るだけでなく、ウェストレベル(腰位置)でカメラを構えることで安定したホールディングができるため重宝する。また、液晶ディスプレーにグリッド(等分/黄金分割)や目盛り線(十字)が表示できるのは実際のフレーミングでかなり使える。一眼レフカメラでは交換式のグリッド付きマットスクリーンを用いたり、ニコンDシリーズなどでファインダー内のグリッドを液晶パネルによってON/OFFする機能があるが、用途に応じてグリッドや表示する情報の種別を選べるのは、液晶ディスプレーによるライブビューならではの機能だ。
使っていてやや気になるのは光学ファインダーの暗さで、ハーフミラーでライブビュー用撮像素子に振り分ける光は、レンズから入射した光の約3割を用いているそうで(暗い光を使うためライブビュー用撮像素子では9画素混合という高感度設計になっている)、残りの光(約7割)をファインダーで見ることになるのだが、95%というやや狭い視野率もあって一眼レフカメラのユーザーから見ると物足りない印象が残る。
撮影サンプル1 暗部のノイズ感も少なく、かつエッジの効いたシャープな絵作りとなっている。絞り優先AE、1/320秒、F5.0、ISO 100。元画像は3136×2352ドット。640×480ドットにリサイズおよび中央部のトリミングを行なったのみで、それ以外の画像処理はかけていない。 |
撮影サンプル2 ノイズの少ない画像処理は細部が潰れがちに見えるが、細かなディテールもきちんと描写されている。絞り優先AE、1/160、F10、ISO 100。 |
画像に関しては、ノイズ/ざらつき感のほとんどないすっきりとした画像処理となっている。このため、画像によってはややのっぺりとした印象となる部分もあるが、細部の描写はしっかりしている。また、階調表現にも弱さは感じられず、ハイライト/シャドー部ともに白とび/黒つぶれすることなく階調がしっかり残るなど、新型MOSセンサーの実力はなかなか高いようだ。
撮影サンプル3 逆光時でもシャドー部が潰れておらず、しっかり描写されている。シーンプログラム風景モード、1/200秒、F10、ISO 100。 |
E-330は、Eシリーズで(ということは同社一眼レフデジタルカメラということだけではなく、とりもなおさず“フォーサーズ製品全体”でも)“最も入門機”ということになるが、各社の一眼レフデジタルカメラのローエンド機を見ると、どうしても上位モデルに比べて機能面の省略が目立ってしまう。一眼レフデジタルカメラ全体にとっての新機軸を採用しつつ、液晶ディスプレーを見ながら撮影するのが一般的だったコンパクトデジタルカメラ利用者にも抵抗感なく使えるという点で、E-330は単にラインナップの中で最も安いというだけではない、優れた一眼レフ入門機と言えるだろう。
撮影サンプル4 マルチアングル液晶モニターはマクロ撮影時に威力を発揮する。絞り優先AE、1/160、F11、ISO 100。 |
E-330の主なスペック | |
製品名 | E-330 |
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撮像素子 | 有効750万(総794万)画素4/3インチLiveMOSセンサー(メイン撮像素子) 有効500万画素1/2インチCCD(フルタイムライブビュー専用) |
レンズ | フォーサーズマウント |
記録媒体 | xD-Pictureカード、CF TypeII |
記録画素数 | 最大3136×2352ドット |
液晶ディスプレー | 2.5インチ半透過型TFT(21万5000画素) |
インターフェース | USB、ビデオ出力、ホットシュー |
電源 | 専用リチウムイオン充電池(オプションによりCR123A×3本利用可能) |
本体サイズ | 140(W)×72(D)×87(H)mm(本体のみ) |
重量 | 約550g(本体のみ) |