自作向けの録画機器では
実現不可能!?
このデジタルコンテンツ保護システムを自作PC向けのキャプチャ機器で実現できないかというと、正直難しい。
DESKPOWER TXは「ARIB」(社団法人電波産業会)の認証を受けているが、それは1つのコンポーネントとして完成されている製品だからだ。PIX-DTTV/P1Wにしても、そのカード単体では生成したビットマップをディスプレイに出力する部分の監視まで責任を持つことができない。このような部分が存在する限り、ARIBとしては認証できないことになる。
インターフェイスカード上で映像信号の受信からレンダリングまで処理し、ディスプレイへの出力までを実行するのであれば認証される可能性もありうる。とはいえ、この方法は結局ハードウェアで処理する部分が多くなりコストも上昇する。それでもユーザーにニーズがあるかがポイントになるだろう。
視聴・録画を行なうソフト「DigitalTVbox」のEPG(電子番組表)。横に9つの番組情報を表示できるのは、大画面ゆえの贅沢。 |
録画の予約画面。ここでは記録するHDDの指定や予約開始・終了時間の調整などを実行可能だ。 |
録画した映像のリストはこのように録画日時やチャンネル、ジャンルなどの状態が確認できるようになっている。 |
Dixelエンジンの
著作権保護の仕組み
【映像のキャプチャから出力までの流れ】 キャプチャカード(PIX-DTTV/P1W)とセキュアLSIが連動し、録画データへのハッキングを監視する。 |
Dixelの核となるPIX-DTTV/P1Wの目玉は、データの暗号化とメモリの監視機能を備える富士通製の「セキュアLSI」だ。これによりMULTI2で保護されたストリームデータを復号すると同時に、そのPCでのみ再生できるようローカルの暗号化を行なう。PIX-DTTV/P1Wには固有のIDが割り振られており、ローカル暗号化されたデータを復号するには暗号化を実行したカードが必要となる。またPC本体固有の番号(パーツのシリアル番号の末尾など)も録画したファイルに記録され、複号化の際にはこれも照合される。これによりPCIバスにデータを流すレベルではデータ保護が図られ、HDDへの録画が可能になる。
このようにしてローカル暗号化したストリームを実際に視聴するには、映像や音声に分離したうえ、例えば映像であればビットマップに変換してモニタに出力する手続きが必要となる。この段階ではほかのソフトによるハッキングなどが考えられるため、セキュアLSIがメモリを監視し、ハッキングを検知したらソフトの動作を無効化してしまう。これによって、ビットマップを展開する部分までを保護するのだ。
現在のところ、DVD-Rなどのメディアに対する映像のムーブ(移動)には非対応で、録画した映像はそのPCの中でしか楽しめない。それでもHDの高品位な画質を楽しめるのは大きな魅力だ。