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富士通、“FMV-DESKPOWER”の夏商戦向け新製品を発表――大画面&デジタル放送対応の液晶デスクトップに注目!

2005年04月19日 14時05分更新

文● 編集部 小西利明

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富士通(株)は19日、FMV-DESKPOWERシリーズのデスクトップパソコンの2005年夏モデル、4シリーズ14機種を発表した。いずれも価格はオープンプライス。発売予定日は一部の機種を除き23日となっている。AV、特にテレビ再生・録画関連の機能強化に注力している昨今のDESKPOWERシリーズだが、今夏の新製品もその路線を継承している。新製品の目玉としては、液晶一体型パソコンでのデジタルTV放送録画への対応が挙げられる。

日本のデジタルTV放送は、コンテンツの不正コピー防止のために非常に高いレベルのセキュリティー機能をハードウェアに要求している。そのため既存のパソコンでは、アナログTV放送のようにデジタルTV放送を録画することは困難で、他社のパソコンではデジタルTV放送をわざわざアナログTV放送の画質(いわゆるSD品質)に落として録画するという、苦肉の策を講じている製品もあった。そこで富士通では、TV/DVDの高画質化技術“Dixel(ディクセル)”に独自のデジタルコンテンツ保護技術を導入。専用のセキュアーLSIをパソコンに搭載することで、受信したデジタルTV放送の復号化やHDD保存時の再暗号化、表示を行なうデコーダソフトの監視などを行ない、パソコンのアーキテクチャー上で日本の規格に沿ったコンテンツ保護を行ないながら、デジタルTV放送の視聴や高品質のままでの録画を楽しめる。またTV再生の表示品質を高める機能“Dixelフィルター”も備わっており、映像の鮮明さを増す“デジタルシャープネス”や、ブロックノイズを軽減する“デブロッキング”、白黒の明暗や輪郭の補正を行なう機能などが新たに搭載されている。

デジタルTV放送録画については、液晶一体型の“DESKPOWER TX”“DESKPOWER LX”シリーズの上位モデルで対応している。液晶ディスプレーが別の“DESKPOWER H”“DESKPOWER CE”シリーズは対応していない。それでは各機種についての詳細を見ていこう。

これはTVかパソコンか?
前代未聞の32インチ液晶一体型PC FMV-DESKPOWER TX

FMV-DESKPOWER TX TX90L/D
FMV-DESKPOWER TX TX90L/D

今夏のDESKPOWERシリーズ新製品で一番の目玉製品は、この“FMV-DESKPOWER TX”シリーズであろう。写真ではいまひとつ分かりにくいかもしれないが、なんとこのマシン、32インチワイドという前代未聞の大型液晶パネルを搭載する液晶一体型パソコンなのだ! 先頃発表された日本電気(株)の『VALUESTAR W VW900/CD』の26インチワイド型を上回る大きさだ。23インチワイド液晶ディスプレーを搭載した“FMV-DESKPOWER T”シリーズも初めて見たときは驚いたが、TXシリーズに至ってはとてもパソコンには見えないほど。富士通でもこの製品はパソコンとしてだけでなく、デジタルTVとしても売り込みたいということだ。ラインナップは2機種あり、デジタルTVチューナーを搭載する『FMV-DESKPOWER TX TX90L/D』と、アナログTVチューナーのみの『TX70L』が用意されている。

リビングでの利用を考慮した“低反射ハイビジョン液晶”を液晶ディスプレーに採用し、500cd/m2の高輝度と、色純度約72%と色の表現力も優れているという。解像度は横長な1360×768ドット(縦横比約16:9)である。液晶ディスプレーの左右には5Wのサテライトスピーカーを搭載、本体下側にも10Wのサブウーファーを装備していて、さらにヤマハ(株)製のデジタルアンプの機能によって、優れたオーディオ再生を実現している。

TVチューナーと録画機能を見てみよう。TXシリーズではアナログTV放送用のTVチューナーを2台と、3波(地上、BS、110度CS)対応のデジタルTVチューナーを1台内蔵しており、搭載するハードウェアMPEG-2エンコーダーによるMPEG-2での録画が可能である。アナログTVチューナー2台を同時に使った、2番組同時録画も可能だ。さらにデジタル放送の再生・録画機能は独立しているので、 MPEG-2エンコーダーは従来機種より高画質のものを採用し、フルデジタル信号処理や10bit A/Dコンバーターなどの追加搭載で、さらなる高画質化を実現しているという。

デジタルTV放送は内蔵機能“DigitalTVbox”により、高品質なデジタルデータをそのまま録画できる。録画した番組は暗号化処理を行なって保存され、ハードウェア固有のIDを埋め込まれるので、録画したマシンでしか再生できない。録画データ自体は外付けのHDDや外部メディアにコピーすることも可能だが、外部に録画データを持ち出しても、暗号化により再生できない。またDVDへの録画はできない。デジタルTV放送は高品質な分データ量も多く、BSデジタルのハイビジョン放送(最高1920×1080ドット/約24Mbps)を録画すると、1時間の録画で約10.8GBものHDD容量を必要とする。そのためTX90L/Dでは2台のシリアルATA HDDを内蔵し、合計で500GBもの大容量を実現している。

従来機種のTシリーズでは、パソコン側とは独立したTVチューナーを搭載し、Windows XPを起動しなくてもTV/DVDを再生できる“インスタントテレビ機能”が売りのひとつだった。TXシリーズではこの点が大幅に強化され、わずか5秒程度で起動してTV視聴や番組録画を行なえる“インスタントMyMedia”が搭載された。この機能ではアナログTV放送の視聴や録画、DVDの視聴が可能だ(デジタルTV放送は不可)。またインスタントテレビ機能ではDVD-RAMへの録画のみだったのに対し、TXではHDDへの録画も可能となっている。インスタントMyMediaで録画した番組は、Windows XP側からでも再生が可能だ。もちろん従来のインスタントテレビ機能も備えている。

パソコン部分の機能も、ハイエンドとは言えないがなかなか強力だ。TX90L/Dの場合、CPUにはPentium 4 530J-3.0GHzを搭載。チップセットはIntel 915GV Expressを採用し、デュアルチャネル接続されたDDR2 533メモリーを標準で512MB搭載している(TX70Lは下記スペック一覧参照)。グラフィックス機能はチップセット内蔵機能を利用する。また光ディスクドライブとしては、2層式DVD+Rに対応したDVDスーパーマルチドライブ(2層式DVD+R最大4倍速書き込み、DVD±R最大16倍速書き込み、DVD+RW最大8倍速書き込み、DVD-RW最大6倍速書き込み)を内蔵する。

付属するキーボードとマウスは、従来どおり電波によるワイヤレス式となっている。インターフェース類はUSB 2.0×6(前面2、右背面4)、IEEE 1394(S400、4ピン)、10/100BASE-TX、光デジタルオーディオ出力端子(角型)、V.90モデム用モジュラージャックなど。映像関係のインターフェースとしては、コンポーネント入力(D4映像)端子、Sビデオ入力×2、コンポジットビデオ入力×2、アナログ放送入力端子を備えるほか、TX90L/Dには地上デジタルアンテナ入力(F型同軸)端子、BS・110度CSデジタルアンテナ入力(F型同軸)端子、B-CASカードスロットも搭載されている。メモリーカード用スロットとして、PCカード(Type II)×2、ダイレクト・メモリーカードスロット(SDメモリーカード/メモリースティック/xDピクチャーカード対応)×1を備える。本体サイズはさすがに大きく、幅944mm×奥行き290mm×高さ644mm。重量は約41.0kgとなっている。

予想実売価格はTX90L/Dが40万円前後、TX70Lが34万円前後と想定されている。パソコンとしてみると高額なTX90L/Dだが、32インチワイドの液晶TVに500GBのHDD/DVDレコーダー、デジタル放送チューナーとデジタル放送用HDDレコーダー、これにパソコンが加わっているわけだから、驚くほどお買い得な製品と言ってもよいだろう。

FMV-DESKPOWER TXの主なスペック

TX90L/D
Pentium 4 530J-3.0GHz/512MBメモリー/Intel 915GV内蔵グラフィックス/500GB(250GB×2)HDD/DVDスーパーマルチドライブ/アナログTVチューナー×2 搭載/3波対応デジタルTVチューナー搭載/32インチワイドXGA液晶ディスプレー/Windows XP Home Edition SP2/Office Personal Edition 2003付属
40万円前後
TX70L
Pentium 4 515J-2.93GHz/512MBメモリー/Intel 915GV内蔵グラフィックス/400GB(200GB×2)HDD/DVDスーパーマルチドライブ/アナログTVチューナー×2 搭載/32インチワイドXGA液晶ディスプレー/Windows XP Home Edition SP2/Office Personal Edition 2003付属
34万円前後

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