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日本アバイア、“企業向けモバイルソリューションの海外動向”についての説明会を開催――IP/PBXを活用したIPフォンによる利便性を解説

2005年07月29日 22時13分更新

文● 編集部 小西利明

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米アバイア コンバージェンスビジネス・デベロップメント・ディレクターのロジャー・ジョーンズ氏
米アバイア コンバージェンスビジネス・デベロップメント・ディレクターのロジャー・ジョーンズ氏

日本アバイア(株)は29日、東京都内の本社にて記者説明会を開催。米アバイア社 コンバージェンスビジネス・デベロップメント・ディレクターのロジャー・ジョーンズ(Roger Jones)氏により、“企業向けモバイルソリューションの海外動向”と題して、同社のIP電話ソリューションについての説明が行なわれた。

同社は28日に、“アバイア エンタープライズモバイル ソリューション セミナー”と称するイベントを開催しており、ジョーンズ氏もそれに合わせて来日したという。ジョーンズ氏はまず同社やリサーチ会社による調査レポートを例にあげて、多くの企業がバーチャル化しており、58%がオフィス外でモバイルでの仕事を行なっているほか、米国トップ100企業の89%は、ネットワークを使ったオフィス外でのテレワーク(在宅勤務)を行なっていると述べた。

リモートオフィスやモバイルワーカーの増加を示すレポート モバイルビジネスソリューションの世界各国での普及具合を示す表。日本だけでも900万人の在宅勤務者がいる
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そうした現状を踏まえた上で、同社の戦略をジョーンズ氏は、同社の“IP/PBX”の高機能を、オフィスだけでなく移動体通信などでも広く使えるようにしていくことにあるとした。その目指すところについては、「どこにいても、同じ機能が常に使える状態を作ること」と述べた。またその実現に大事なのはモバイルパートナーであるとして、対象となる領域におけるベストなパートナーとオープンスタンダード技術に則った相互運用性の確保を重視するとした。

ジョーンズ氏は同社のシステムを使ったIP電話によるモバイルソリューションの利便性についても説明を行なった。まず中核に同社のIP電話システムを配置したネットワークを構築し、本社や支社から、在宅勤務者や携帯電話までを結ぶシステムを作る。これによって、たとえば本社の自分のデスクの電話機宛にかかってきた電話を、携帯電話や出張先のIP電話ソフト搭載パソコンに自動で転送することも可能になる。ジョーンズ氏は自身の例をあげ、東京の宿泊先ホテルでログインしておけば、ロンドンのオフィスにかかってきた電話を東京で取れるといった事例を示した。そのうえIP電話による通話は無料であるため、2時間本社とやり取りしても無料であると述べた。これは海外や遠隔地への出張が多く、出張先からの電話連絡を多用する事業者にとっては、利便性とコスト削減の双方において、非常に魅力的なソリューションと言えよう。

アバイアのIP電話ソリューションを利用したネットワークの例。LANやVPNを経由したWANで結ばれたIP電話機やPDA、携帯電話をIP/PBXで相互に接続する
アバイアのIP電話ソリューションを利用したネットワークの例。LANやVPNを経由したWANで結ばれたIP電話機やPDA、携帯電話をIP/PBXで相互に接続する

同社のIP電話ソリューションを移動体通信に広げるには、IP電話に対応する携帯電話機が必要となる。ジョーンズ氏はこのソリューションに対応する携帯電話機として、英シンビアン社製OSを搭載するフィンランド ノキア社のスマートフォンを例として取り上げた。IP電話ネットワークの端末としてこのスマートフォンを利用することで、オフィス宛に来た電話や内線電話を、携帯電話でも受けられるようになる。開始されたばかりというこのモバイルIP電話ソリューションについて、ジョーンズ氏は“1ナンバーソリューション”と称し、「どこにいるかを気にせず、電話を受けられる」と述べ、その利便性をアピールした。もちろんIP電話なので、米国の電話を東京の携帯電話に転送して通話をしても、通話料は無料というわけだ。対象となる形態端末はノキアの携帯電話機に限らず、現時点ではシンビアン製OS搭載の携帯電話機を対象にしているという。日本ではシンビアン製OSを搭載するスマートフォンはほとんど普及していないが、それ以外の携帯電話機用OSでの利用についても検討されているようだ。

またジョーンズ氏は同社のIP電話ソリューションを導入した企業の例として、日本の自動車会社、富士重工業(株)のオーストラリア法人スバルオーストラリアと、英国のF1チーム、BARホンダの例を挙げた。特に興味深いのはBARホンダの例で、450名のスタッフのうち、本部があるイギリスに350名が常駐し、それ以外の100名は、テストチームやレースの行なわれる世界各地のサーキットを転々とするという。当然ながら、外部で活動するチームと本部の間には、大量のデータ通信と音声通話が交わされることになる。それが従来は、移動のたびに現地でのネットワーク構築や連絡用電話番号の変更といった手間が必要で、設置コストや国際通話コストなど、多額の費用が発生していた。

ホンダがエンジン供給や車体開発に協力しているF1チーム“BARホンダ”に導入したIP電話ソリューションを構築する同社のシステム例。ジョーンズ氏自身もこのプロジェクトに関わっていたそうだ
ホンダがエンジン供給や車体開発に協力しているF1チーム“BARホンダ”に導入したIP電話ソリューションを構築する同社のシステム例。ジョーンズ氏自身もこのプロジェクトに関わっていたそうだ

これらに同社のソリューションを活用することで、本部からサーキットのチームまでを網羅した1つのシステムを構築。レースチームやテストチームとのコミュニケーションを拡大しながら、コストの削減も実現したとのことだ。具体的なシステム構成としては、BARホンダの本部にアバイアのIP/PBX(S8700 Media ServerとG650 Media Gatewayなどを組み合わせて構築)を設置し、個々の端末としてはIP電話ソフトを導入している。これにより一律のコストで同一の電話番号を使い、「本部でもドバイ(※1)でも同じ内線番号が使える」(ジョーンズ氏)システムが構築できたという。さらに3週間前にはノキアの携帯電話システムも導入し、同一番号で携帯電話への呼び出しも可能になったという。コスト削減効果については、海外通話が約30%ほど低減できたということだ。

※1 アラブ首長国連邦の都市。F1バーレーンGPが行なわれるバーレーン王国の首都マナマへの経由地として利用されている。

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