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【最新パーツ性能チェック(Vol.34)】CPUの勢力図は変わるか? デュアルコアCPU4種対決!――Pentium D vs. Pentium XE vs. Athlon 64 X2 vs. デュアルコアOpteron 2xx

2005年06月01日 03時10分更新

文● 月刊アスキー編集部 野口岳郎

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なぜインテルはクロックが下がりAMDは下がらないのか

 インテル製品について言えば、デュアルコア製品はシングルコア製品に比べ、クロック周波数で最大600MHz下がっていることがわかる。ちなみにTDPは、シングルコア製品では最大115Wだったが、デュアルコアでは130Wに上がっている。内部トランジスタのスピード的には3.8GHzまで動かせる実績があるのに、デュアルコアPentiumのクロックが3.2GHzに押さえられているのは、発熱が大きすぎるという点にあると考えられる。

 CPUをほぼ丸ごと2つ内蔵しているのであれば、TDPは2倍になってもおかしくない。3.8GHz品はシングルコアの状態でTDPは115W近いと考えられ、これだとデュアルでは230W。これを130Wに収めるのはさすがに無理そうだ。
 というより、(実製品が存在する)3.2GHzでも微妙なところだ。PrescottコアはEステップだと3.4GHz品のTDPが84Wを切っているので、3.2GHz品は単純計算で79W以下にはなるが、それでも2倍すると158W。これではPentium D/XE 840(3.2GHz)の130WというTDPには収まらない。実際には、スペックを見るとPentium D/XEのトランジスタ数は、Prescottの84%増しにしかなっておらず、ダイサイズの増加もだいたいそれくらいだ。「Prescottコアが2つ入っている」という説明とは合わないが、機能に影響が出ない範囲でなにかしらの削減が行なわれているのだろう。このトランジスタ減が消費電力減に直結するなら133Wとなりだいたい計算が合うが、“実際に熱を出す=使われている部分”はそうは削減できないはずだから、回路の低消費電力化など別の工夫があると考えたほうがいいかもしれない。
 いずれにしても、3.2GHzでも、158Wを130Wにするという結構な苦労がある。これではトップスピードの3.8GHzはおろか、1ランク上の3.4GHzのデュアルコアでも、130W以内にするには相当な困難が伴うことは容易に想像がつく。

 一方AMDであるが、サーバ用のOpteronについては、デュアルコア製品では最高クロックが400MHz落ちている。率にするとインテルとほぼ同じ18%のダウンとなる。しかし、デスクトップ用のAthlon 64 X2に関して言えば、現行最上位の4000+と同じ2.4GHzをキープしている。
 従来OpteronはAthlon 64に比べるとクロック向上はワンテンポ遅かった。サーバ向けということで、テストがよりシビアなのかもしれないし、CPU間通信に伴うHyperTransportリンク部分の発熱量が意外に大きいのかもしれない。

 こんな中、Athlon 64 X2はクロックを下げずにすんだ。最大の理由としては、もともとAthlon 64の消費電力がそう大きくない点が挙げられる。WinchesterコアのAthlon 64 3500+(2.2GHz動作)は、1.4V動作でTDPが67Wしかない。Athlon 64 X2は1.35V動作なので、いっそう有利だ。さらに、Athlon 64 X2においては、CPUコアをまるまる2つにしたわけではない。Athlon 64は当初の設計から、純粋なコア部分(プログラムの実行を行なう部分)をもう1つ足せるように作られており、それ以外の部分、たとえば、メモリコントローラ、Hyper Transportなどのバスインターフェイス、それにコアとこれらとのデータの流れを調停するクロスバーなどは、増やす必要がない。(AMDはこれを以て「真のデュアルコア」と称している)。

 実際、ダイサイズで見ると、シングルのVeniceコアの84mm2に対し、同じキャッシュ512KBのデュアルコアAthlon 64 X2 4200+/4600+は147mm2で、サイズは75%しか増えていない。
 以上を勘案して、2.4GHz/キャッシュ512KBのAthlon 64 X2 4600+の予想消費電力を計算すると、67×1.75×(1.35/1.4)2×(2.4/2.2)=118Wとなる。公表TDP値である110Wを少し超えてしまうが、118Wを100Wにするくらいは、158を130にするのに比べればはるかに敷居は低い。4800+ではキャッシュが増えるため消費電力はさらに増えるが、一説には、現在の90nmコアである「E」ステップはWinchesterに比べ低消費電力とも言われており、だとすれば納得できる範囲だ。また、編集部が借用したAthlon 64 X2 4800+のサンプルは電圧が1.3Vと表示されており、この値が事実だとすれば、110Wに収めるのはいっそう容易になる。

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