このページの本文へ

前へ 1 2 3 次へ

【INTERVIEW】デスクトップOSのあるべき姿を追求した──Mac OS X v10.4“Tiger”の製品担当に訊く

2005年05月17日 21時58分更新

文● 編集部 小林久

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷
[編集部] 200種類を超える新機能の中では、個人的に“Xgrid”に注目しています。対応するアプリケーションなどはどうなっているのでしょうか?
[Bourdon] Xgridは、科学技術関連の開発者向けに設計しています。ネットワークにつながったすべてのMacintoshのCPUを使用して複雑な計算を行なうのが目的です。分散処理は、科学技術演算で用いられることが多いですが、これまで複数のマシンで処理を分散するプログラムを作成するために莫大な時間を取られていました。Xgridを使うことによって“分散処理を実現する”という技術面での負担を減らし、“問題を解決する”という行為に集中することができるようになります。
[編集部] 分散処理は、研究室以外でも需要がありそうです。3Dグラフィックスや音楽制作など、応用範囲は広がっていきそうでしょうか?
[Bourdon] ありうるでしょう。おそらくあなたはレンダリングや圧縮を行なうアプリケーションを想定していると思います。『Final Cut Studio』は、今のところXgridには対応してはいませんが、(高いマシンのスペックを要求される)ビデオ編集スタジオといったエリアに応用される可能性は十分にあります。
[編集部] デスクトップ上で稼動しているMac miniなどを複数つなげて、より高速な処理を行なわせるといったことも考えられますが。
[Bourdon] Xgridを求める人は、おそらく“最も高速である”点を求めることになるでしょう。彼らはコスト性能を重視するはずです。ファイバーチャネルなどを利用して、5台、10台……100台といったマシンをつないで高速な処理を行なわせることになるでしょう。例えば、バージニア大学では1000台のPowerMac G5をつないで、極めて低価格に、スーパーコンピューターに匹敵する性能を実現しています。
[編集部] デスクトップ版と同時にリリースされた、サーバー版のTigerにも興味を持っています。価格も安価ですし、標準でWindowsやUNIXのマシンをクライアントとできる点も魅力的です。導入は進んでいるのでしょうか?
[Bourdon] いま最も注力しているのは映像プロダクションで『Xserve G5』と『Xserve RAID』、『Xsan』を使って、高容量のストレージと高性能を実現することです。映像編集環境の『Final Cut Studio』と合わせることで、テレビや映画のプロダクション向けに、導入コストも安く、大変よいソリューションを提供できると思っています。
[編集部] 最後に日本のユーザーにメッセージをいただけないでしょうか。
[Bourdon] 私はTigerは、現在入手できるOSの中では、最も能力が高く、先進的なOSであると自負しています。SpotlightやDashboard以外にも、プログラミングなしで定型の作業を簡単に実行できる『Automator』や、RSSに対応した『Safari RSS』、最大3人でビデオ会議が行なえる『iChat』、H.265コーデックに対応した『QuickTime 7』などさまざまな機能が搭載されています。
[編集部] Automatorは、面倒な処理はパソコンに任せたいという要求を満たしてくれるものですね。
[Bourdon] そのとおりです。Mac OS XにはAppleScriptもあり、プログラミングができる人はこれを使ってほしいのですが、プログラミングの知識がない人でもAutomaterを使うことでワークフローを自動化できます。Automaterという技術によってプログラミングをせずに繰り返しや複雑な作業の自動化が行なえます。
[編集部] Tigerは一言で表現するとどんなOSですか。
[Bourdon] “デスクトップコンピューターがするべきこと”を改めて定義し直したOSではないかと思います。Spotlightを始めとした機能によってコンピュータの使い方が変える、そんな力を持ったOSだと思います。
[編集部] “OSのあるべき姿”を実現したということですね。
[Bourdon] そのとおりです。

前へ 1 2 3 次へ

カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン