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歴代の名機がずらりと勢揃い!――東芝、ノートパソコン20周年記念の新商品発表会を開催

2005年04月20日 22時23分更新

文● 編集部 小西利明

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東芝 執行役常務 PC&ネットワーク社 社長の能仲久嗣氏
東芝 執行役常務 PC&ネットワーク社 社長の能仲久嗣氏

発表会の講演で能仲氏は東芝のパソコン事業戦略について語った。まずこの20年のノートパソコン事業で同社は、「ノートパソコンの進化や関連技術の標準化に貢献し、使いやすさを常に追求してきた」と述べた。そして新技術を率先して取り入れることで、20年前のスタート時には年間1万台程度にすぎなかった同社のパソコンが、今では世界で年間550万台にものぼり、2005年には累計出荷台数で4000万台を超えるとの見方を示した。

1985年のスタートから種々の新技術を取り入れた東芝ノートは、現在では年間550万台もの市場規模を誇るという
1985年のスタートから種々の新技術を取り入れた東芝ノートは、現在では年間550万台もの市場規模を誇るという

そして近年パソコンの利用スタイルは、電子メールやウェブブラウズから映像・音楽などAVコンテンツの利用へとシフトし、さらにブログのような情報発信・自己表現ツールへと、その潮流が変化していると指摘。技術やインフラ面の進化を“機能価値の深化”、利用スタイルの多様化を“感性価値の深化”と位置づけ、他社との差別化を技術で進める同社の“差異化技術”が、この変化を加速していくと述べた。

また能仲氏は昨年1年間行なったパソコン事業の改革により事業基盤は強化されたとして、同社の持つ日本発の技術を世界に展開するのが同社のパソコン事業であるとした。積極的に差異化技術を用いた商品を展開する市場としては、Qosmioシリーズを展開しているAVノートパソコンと、“Thin&Light(薄型軽量)”であるとして、差異化された商品で新たな価値を提案する。一方コモディティー化の進むスタンダードなA4ノートなどの市場には、同品種の世界展開などでスケールメリットを出し、コスト競争力を強化するとした。

20周年記念商品のdynabook SS SXシリーズとlibretto U100シリーズについて能仲氏は、同社が差異化技術に位置づける高密度実装技術やデータ保護技術、AVノートでつちかった高画質化技術を注ぎ込んだ「2005年の究極のモバイルノートパソコン」であると誇らしげに語った。また今年は東芝のデジタル機器のイメージキャラクターとして、米大リーグ、ニューヨーク・ヤンキースで活躍中の松井秀喜選手を採用したとの発表も行なわれた。「グローバルに事業展開する東芝ノートPC事業を、球界のグローバルスターである松井選手にサポートしていただきたい」(能仲氏)ということで、5月23日より放映開始のQosmioシリーズのTV CMから登場するとのことだ。

CMキャラクターに松井秀喜選手を採用。パソコンのCMだけでなく、液晶TV“face”やHDDレコーダー“RD”シリーズのCMにも登場の予定
CMキャラクターに松井秀喜選手を採用。パソコンのCMだけでなく、液晶TV“face”やHDDレコーダー“RD”シリーズのCMにも登場の予定

東芝と関係の深い米インテル社のCOO(最高執行責任者)ポール・S・オッテリーニ(Paul S. Otellini)氏と、米マイクロソフト社会長のビル・ゲイツ(Bill Gates)氏が寄せた、同社のノートパソコン事業20周年への祝辞が、ビデオメッセージの形で披露された。東芝と両社は、特にWindowsベースのノートパソコンの基礎となる仕様策定で密接な協力を行なっている。3社の協力の代表例としては、1996年に発表され、現在のパソコンでも基礎技術として使われている電力制御インターフェース仕様“ACPI(Advanced Configuration and Power Interface)”が挙げられる。東芝がこうしたパソコンの中核技術の策定に加われているのも、ハードウェア開発やBIOSレベルのソフトウェアで積み上げた豊富なノウハウがあるがゆえのことだ。

20周年への祝辞をビデオメッセージで述べる米インテル社長のポール・S・オッテリーニ氏(左)とマイクロソフト会長のビル・ゲイツ氏
東芝 PC&ネットワーク社 副社長 統括技師長の吉田信博氏
東芝 PC&ネットワーク社 副社長 統括技師長の吉田信博氏

新製品2シリーズに取り入れられた要素技術については、東芝 PC&ネットワーク社 副社長 統括技師長の吉田信博氏により説明が行なわれた。dynabook SS SXシリーズについては、“鞄から素早くスマートに取り出せる”というコンセプト実現のために求められた“究極の薄さ”に、長時間のバッテリー駆動時間とデザイン面の美しさを重視した。薄く小さな基板面積に最新プラットフォームの機能を実装するために、新たな2つの基板実装技術を開発。これにより従来機種と比べて基板面積は約30%減少。空いた容積をバッテリーにまわすことで、バッテリー容量は約2倍に増えたとのことだ。



新しい高密度実装技術を導入したことで、dynabook SS SXは従来機種から基板面積で約30%の縮小を実現。それによりバッテリー容量は倍増。約5.4時間のバッテリー駆動時間を実現した
新しい高密度実装技術を導入したことで、dynabook SS SXは従来機種から基板面積で約30%の縮小を実現。それによりバッテリー容量は倍増。約5.4時間のバッテリー駆動時間を実現した

dynabook SS SXとlibretto U100の基板に採用された高密度実装技術の例

低損失基板
新規の材料開発により、基板上の配線の幅を約25%(100μmから75μmに)、配線同士の間隔を約20%(120μmから100μmに)縮小することで、配線スペース縮小と部品の密度を高めることに成功。また伝導効率も向上したことで、低消費電力化にも貢献している。
スタックビア構造
基板上に部品を実装する配線部分“ビア”の直径を20%縮小。さらに多層基板の層間配線を、基板を完全貫通するスルーホールではなく、基板内側の層だけを貫く穴に変更、その上にさらにビアを配置することで、無駄な空間を減らして基板面積を30%縮小した。
低損失基板の説明図。基板に使用する素材の開発も必要だった スタックビア構造の説明図。スルーホールの代わりに、ビアの下の基板層に非貫通の配線ホールを作り、無駄になる面積を減らす
低損失基板の説明図。基板に使用する素材の開発も必要だったスタックビア構造の説明図。スルーホールの代わりに、ビアの下の基板層に非貫通の配線ホールを作り、無駄になる面積を減らす

そのほかにも、両製品に導入されたユーザー認証用の指紋センサーや、3次元加速度センサーを使ってHDDを衝撃から保護する“東芝HDDプロテクション”なども簡単に説明された。またパソコンとしては初めて導入されたlibretto U100の“LEDバックライト液晶”パネルについての説明も行なわれた。バックライト用に高輝度白色LED 32個を制御する技術(特許出願中)を開発して製品に導入。蛍光管を利用した一般的な液晶パネルと比べて、実装面積や消費電力を減らしたうえに、割れやすい蛍光管を使わないことで耐衝撃性も向上し、材料に水銀を含む蛍光管がなくなることで環境親和性にも優れるといった利点があることを示した。

libretto U100で導入されたLEDバックライトは、従来の蛍光管(FL管)バックライトの液晶パネルに比べて、モバイルノートに適したさまざまな利点があった
libretto U100で導入されたLEDバックライトは、従来の蛍光管(FL管)バックライトの液晶パネルに比べて、モバイルノートに適したさまざまな利点があった

同社としては、こうした優れた技術を差異化技術として製品に取り入れることが今度も重要と考えている。この点について能仲氏は、「特にコモディティーな商品ばかりを売っているアメリカ勢と戦い、きちんとした地位を固めるという意味では、差異化商品は非常に重要だ。今後は差異化されたThin&LightやAVノートの比率を、40%まで持っていきたい」と、今後も高画質AVノートや軽量薄型ノートに注力していくと語った。

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