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日本TI、XGA解像度対応の新しいDLPチップ『DLP .55』の発表と、DLPに関する説明会を開催

2005年03月01日 20時13分更新

文● 編集部 小西利明

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CES 2005にも出展された、1080p対応のDLPチップを使った70インチリアプロジェクションTVの試作機 報道関係者の質問に答える日本TI DLP事業部 事業部長のアダム・クンズマン氏
CES 2005にも出展された、1080p対応のDLPチップを使った70インチリアプロジェクションTVの試作機報道関係者の質問に答える日本TI DLP事業部 事業部長のアダム・クンズマン氏

日本テキサス・インスツルメンツ(株)(以下TI)は1日、報道関係者を集めて同社のDLP(Digital Light Processing)テクノロジーに関する説明会を開催、DLPの利点を説明すると共に、DLPテクノロジーチップ(DLPチップ)の新製品『DLP .55』を発表した。

TIのDLPチップは、μmサイズの極小なミラーをCMOS半導体チップ上に並べて“Digital Micromirror Device(DMD)”と呼ばれるデバイスを作り、光源から投影されカラーフィルターを通った光を、ミラーの傾きを変えることで反射のオン・オフを制御し、映像を作り出す同社の独自技術による製品である。現在では同社のDLPチップは、プロジェクター製品(特に前方投影式プロジェクター)に広く使われている。2004年のフロントプロジェクション市場では、同社のDLPチップが47%以上の世界シェアを確保しているという。ASCII24に今年ニュースが掲載されたDLP採用製品だけでも、すでに5社11製品もあるほどである。

同社DLP事業部 事業部長のアダム・クンズマン(Adam Kunzman)氏は、フロントプロジェクション市場の好調な伸びと同社のDLPチップのシェア増加について述べたうえで、新製品のDLP .55(数字はミラー部の対角線インチサイズ)について、10.8μmのミラーを集積してXGA解像度(1024×768ドット)を実現し、XGA解像度に対応した従来のDLPチップ『DLP .7』より、ミラーのサイズで21%の縮小を実現したとしている。また同社のDLP用コントローラーASIC『DDP2000』と互換性があり、同ASICを使用したSVGAクラスのプロジェクターを、低コストでXGA対応に再設計できるとしている。すでにDLP .55を採用した製品は、プラス(株)が2月16日に発表したフロントプロジェクター『U5-532』で採用されているとのことだ。

XGA解像度に対応したDLP .55は、XGA解像度対応プロジェクターの低価格化を実現する DLP .55を採用したプラスのXGA対応フロントプロジェクター『U5-532』。店頭での実売価格は17万円前後
XGA解像度に対応したDLP .55は、XGA解像度対応プロジェクターの低価格化を実現するDLP .55を採用したプラスのXGA対応フロントプロジェクター『U5-532』。店頭での実売価格は17万円前後

またクンズマン氏はDLP方式の優位性についても触れ、液晶方式に対しては応答速度が速く残像感のない映像表現を、またCRT方式などのプロジェクターに対しては、経年変化が少なく長期間高画質を維持できる点などをアピールした。

DLP方式が液晶方式やCRT方式などに勝っている点を解説するスライド

今後登場予定のDLP採用製品についても触れ、三菱電機(株)が今年1月に家電の総合展示会“International CES 2005”にて出展した超小型フロントプロジェクター“LED-VP”を取り上げた。LED-VPは本当に手のひらに乗る程度のフットプリントで、重さもわずか44g。LEDを光源に用いて小型化を実現している。外付けバッテリーでのバッテリー駆動も可能になる予定とのことだ。また北米ではDLP方式のTV(ほとんどがリアプロジェクション方式TVと思われる)は年率30%以上の伸びを示しており、特に昨年12月期での40インチ以上の市場では、プラズマTVを上回る売り上げを記録しているという。今後はハイエンド製品は1080p(※1)の高解像度に対応した製品へとシフトし、一方で普及価格帯の製品は720pに対応可能なXGA解像度のDLPチップを使い、さらにコストダウンを指向していくとした。

※1 垂直方向の解像度が1080本でプログレッシブ方式のデジタルTV放送規格

プロジェクターとは思えないほど小さい三菱電機の“LED-TV”。対比物がないのでわかりにくいが、右側面のプラグからサイズをイメージしていただきたい
プロジェクターとは思えないほど小さい三菱電機の“LED-TV”。対比物がないのでわかりにくいが、右側面のプラグからサイズをイメージしていただきたい
シャープ(株)が米国で今年第3四半期に発売予定のリアプロジェクションTV『56DR750』。DLP方式で1080pのフルHD解像度に対応予定 56DR750の前に置かれていたDLPチップの実物。1080p対応のDLPチップと思われる
シャープ(株)が米国で今年第3四半期に発売予定のリアプロジェクションTV『56DR750』。DLP方式で1080pのフルHD解像度に対応予定56DR750の前に置かれていたDLPチップの実物。1080p対応のDLPチップと思われる

さらに映画館向けのDLPプロジェクター“DLP Cinema”についても言及し、“STAR WARS”のジョージ・ルーカス監督など映画監督や映画会社からの支持を集め、2004年12月時点で日本国内35スクリーン、世界全体では285スクリーンに導入されているとした。日本では今年第1四半期だけでも、11スクリーンにDLP方式が導入予定という。会場でもNECビューテクノロジー(株)の映画館向けDLPプロジェクター『iS8-2K』を使い、米国で5月に公開予定の『スターウォーズ エピソードIII シスの復讐』の予告編などを上映、優れた画質をアピールした。

説明会場では試作品の70インチ1080p対応リアプロジェクションTVなど、8機種のDLPプロジェクターが展示され、DLP方式が広く普及していることを印象づけた。

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