一般的なポータブルTVよりはるかに小さい筐体に、携帯電話とTV機能が凝縮されている「V601N」。外観はTVを特段意識させない、通常の携帯電話と変わらないデザインだ。 |
TV画面はタテヨコどちらにでも設定できる。画質は屋外だと良好。室内では、場所によっては少々厳しい。この写真は密閉されたスタジオ内で撮影したため、若干画面が乱れている。 |
関東の私鉄17社の統一ルールでは、携帯電話は「マナーモードに設定の上、通話はご遠慮ください」となっている。優先座席周辺を除けば、メールの送受信は黙認されているようだ。もっとも、携帯電話の用途は通話やメールだけではない。そして、ここにきて新たな用途が加わろうとしている。
それは“TV”だ。ボーダフォンが2003年10月に発表した「V601N」は日本で初めて、地上波アナログTVチューナを内蔵した携帯電話だ(世界ではサムスンに先を越されたが)。TVチューナを内蔵しても、筐体サイズは通常の2つ折り携帯とほとんど変わらない。V601N開発元のNECによると、TVチューナは複数のチップがモジュール化されており、大きさは切手サイズだという。UHF/VHFのアンテナも内蔵するほか、携帯のアンテナがUHFの、イヤホンマイクのケーブルがVHFのアンテナを兼ねている。TV視聴時の駆動時間は60分であり、番組を1つ見るというよりは、ちょっとした空き時間があるときに楽しむためのものだ。3次元YC分離・ゴーストリダクションといった機能は装備しないが、映像はかなり鮮明。
本体上面。31万画素カメラのレンズとサブ液晶が設置されている。サブ液晶でもTVを見たいと思うのだが、残念ながらそれはムリ。 |
ただし、TV番組表をインターネットからダウンロードしてきて視聴したり、録画したりといったことはできない。これは現在の2.5世代の端末は“シングルタスク”であり、TV画面を映しながらバックグラウンドでインターネットにアクセス、といったことができないためだ。第3世代(例えばFOMA)はマルチタスクなのでそういったことも可能になるが、今度はバッテリ駆動時間が極めて短くなってしまう。性能のバランスから、まずは2.5世代端末への搭載になったという。なお、録画については、静止画もしくは9枚の連続画像としてキャプチャすることは可能だ。外部から取り込んだ映像を、MPEG-4で30秒まで記録することもできる。
イヤホンマイクを接続。VHFのアンテナも兼ねている。実際のTV視聴は、ほぼイヤホンを付けた状態で利用することになる。 | 専用のライン入力ケーブルを接続。30秒までの動画をMPEG-4で本体内に保存できる。このケーブルを介して、外部のTVアンテナにも繋げられる。 |
12月1日に開始された地上波デジタル放送は携帯端末での視聴も想定されており、今回のアナログチューナ搭載はそれを見据えたもの。近い将来、車内で携帯電話によるTV視聴が当たり前の光景になるのだろうか? 少なくとも“社内”でのTV視聴は問題となりそうだ。
厚さは24mmで、通常の2つ折り携帯と大差ない。イヤホンマイクのコネクタには、ライン入力ケーブルも接続できる。 |
V601Nの主なスペック | |
製品名 | V601N |
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ディスプレイ | メイン:2.2インチ(160×216ドット、6万5536色)、 サブ:1.2インチ(80×120ドット、6万5536色) |
サウンド | 40和音(FM音源32和音+Wavetable8和音) |
カメラ | 31万画素CCD |
静止画 | JPEG(最大640×480ドット) |
動画 | MPEG-4(最大128×96ドット、最長30秒)、 Nancy(80×60ドット、最長5秒) |
連続通話時間 | 約125分 |
連続待ち受け時間 | 約450時間 |
Web | 12KB対応 |
Vアプリ | 100Kアプリ対応 |