(株)ワコムは17日、スポーツコーチング用機器の新製品として“ビジュアルコーチングシステム”『VisiCoach(ビジコーチ)』の販売を11月1日に開始すると発表した。
『VisiCoach』 |
同製品は、15インチの液晶ペンタブレットを搭載し、パソコンと接続せずに、入力端子(Sビデオ/コンポジット/アナログRGB)に接続したビデオ/デジタルカメラ/DVDなどから動画や静止画を取り込み、その上に電子ペンを利用して線を描いたり、ホワイトボード機能を利用して戦略シミュレーションを行なったりできるのが特徴。プロジェクターや大型ディスプレーに接続するための外部出力端子(アナログRGB)も装備する。本体サイズは幅405×奥行き340×高さ92.5mm、重量は5.5kg(スタンド込み)。電源はACアダプター(AC100V~240V)を利用し、消費電力は最大45W。価格はオープン。編集部による予想販売価格は40万円前後。1年間で3000台の販売を見込んでいるという。販売元はエックスビート(株)。
サッカー/ラグビー/バスケットボール/アイスホッケーの4種類のフィールドテンプレートを内蔵する |
取締役兼専務執行役員の山田正彦氏 |
同日開催された記者発表で、最初に挨拶に立った取締役兼専務執行役員の山田正彦氏は、同社のペンタブレットのシェアが世界でナンバー1であることなどを紹介したのち、同社の液晶ペンタブレットの基幹技術を利用して、新しい分野として、IT化が難しかったスポーツ分野、特にコーチングの分野を技術的に解決するために開発したものであると説明した。
ビジネスデベロップメント ジェネラルマネージャーの渡辺秀一氏 |
企画に携わった電子機器カンパニー ビジネスデベロップメント ジェネラルマネージャーの渡辺秀一氏は、新製品の概要やマーケティング戦略などを説明した。新製品の企画開発にあたっては、現場での発想を基に、トップアスリートやコーチの意見をコンセプトに反映させ、マーケットニーズに合った製品を企画/開発したことを述べ、企画を担当したエックスビートの粟野利信氏を紹介した。粟野氏は、スポーツとIT関連のコラボレートを模索していたこと、コーチと選手のコミュニケーションギャップが、言葉だけでは埋まらないことなどを挙げたうえで、『VisiCoach』により、言葉と映像で説明する環境を提供することで、大きな変革が起こる、と述べた。
プロスキーヤーの粟野利信氏。スポーツとIT関連のコラボレートを模索していたという |
続いて、“VisiCoachアドバイザーズ”として製品開発に協力した、プロスキーヤーの海和俊宏氏、サッカー解説者の早野宏史氏、プロゴルファーの金谷多一郎氏が、それぞれの専門分野での利用例を紹介した。
サッカー解説者の早野宏史氏 |
画面例1 | 画面例2 | |
早野氏は、高校生のサッカーをホームビデオで撮影したものを利用してプレゼンテーションを行なった |
スキースクールを経営しているプロスキーヤーの海和俊宏氏 |
長野県のトップ5に入るという小学校4年生を例に説明 |
プロゴルファーの金谷多一郎氏は、勝負がコンマ数秒で決まるゴルフスイングでは、動きの修正を頭で考えようとしても難しいことを説明。実際のスイングを画面で見ながら、現場でタイムリーにアドバイスできるメリットを強調した |
画面例1 | 画面例2 | |
ゴルフスイングを例にプレゼンテーション |
同社では、『VisiCoach』を、技術分析やフォームチェック、これまで“チョークボード”や“マグネットボード”などを利用していた戦略シミュレーション、スポーツ指導のための支援などに利用できるとしており、スポーツコーチングの標準ツールとすることを目指すという。