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WRISTOMO

WRISTOMO

2003年08月09日 03時21分更新

文● 遠藤 諭

WRISTOMO

NTTドコモ

3万7000円

まったく新しい情報端末が登場した。腕時計型のPHS端末といえば、1998年に長野オリンピックでNTTが実用に供して以来だが(前年にはプロトタイプを発表)、この間に電話機はすっかり情報端末にその意味合いを変えてしまった。つまり、WRISTOMO(リストモ)は、“腕時計型PHS”というよりも“腕時計型情報端末”といえる。

SF的とは言いたくない

WRISTOMO
デザインでも機能でも魅力あふれる「WRISTOMO」。WRISTOMOの意味は、「WRIST」(手首)+「MOBILE」(モバイル)だという。この形に構成パーツを実装するには、PDCやFOMAでは困難とのこと。64kbpsのデータ通信をフル活用する意味でもPHSがハマったといえる。本体の上下にあるボタンを少し深めに押し込むことでバンド部がカパッと開くようになっている。装着時のバンドの角度調整やバンドの先端に付ける延長ピースで、太い手首にも対応。
長野オリンピックで登場した腕時計型PHS
写真1 長野オリンピックで関係者が使用した腕時計型PHS。十字ボタンすら持たず音声でダイヤリングした。本体サイズは55×40×16mm(30cc)、本体重量45gと意外に小さい(当時世界最小)。

 日本のSF系のアニメやドラマの小道具としては、腕時計型のコミュニケーション端末は“定番”である。そこで、“SF的”と表現したいところだが、腕から取り外して受話器の形にトランスフォームしてしまうというギミックは、むしろ、“ナンチャッテ的”とさえ言える。その意外性が、そのまま「これから情報端末がどんなふうに姿を変えていくか分からない」というあたりに挑戦しているようで興味深い。

 多くのSF的な小道具のように、何かを舐めるような仕草で“話しかける”のではない。受話器の形になるから向き直ってちゃんと話ができる(写真4)。それ以外にも、腕に直接着けるためバイブで着信を逃しにくいなど、このギミックには具体的なメリットが挙げられている。



PHSだから詰め込めた
開閉式バンドにも注目

CESでSIIが展示した腕時計型Bluetoothヘッドセット
写真2 2001年のCESでSIIが展示した腕時計型Bluetoothヘッドセット(プロトタイプ)。WRISTOMOとまったく同じ機構で、腕から外すと受話器の形となる。ポケットに入れた携帯電話と一緒に使うことを想定している。

 WRISTOMOを装着して使ってみた。

 本体サイズは171.5×40.4×18.5mm(受話器状態)。時計のケースに当たる部分は、一般に売られている腕時計とさほど変わらない。上バンド部にはアンテナ、下バンド部にはボタンと照明のためのLEDが入っており、ややボリューム感がある。とはいえ、全体の重量が約113gと軽いこともあって1日も装着していると慣れてしまう。

 PHSの基本機能は、連続待受け約200時間、連続通話約120分、日常生活防水(3気圧防水)。データ通信速度は、64/32kpbs、パルディオEメール(最大全角3000文字の送受信)、ブラウザ(mopera経由でのブラウザホンのコンテンツ、iモード一般サイトの閲覧)、 PHS位置情報による位置情報コンテンツ、Outlookなどパソコンとの連絡先、スケジュールなどの同期(データ通信もしくは別売りの専用シンクロケーブルを使う)が可能。



バンドを開くと受話器の形写真3 バンドを開くと使い勝手のよい受話器の形となる。ガンメタの1色のみを限定で4月以降にインターネットで販売。価格は5万円以下になる見込み。

 ボタンは、バンド部に十字キー(押下げ可能)と4つのボタンがあるだけでテンキーは装備していない。文字入力は、全面液晶の携帯電話などと同じく“かな”なら「あ、か、さ、た、な……」を選び、次に「あ、い、う、え、お」から選ぶ。同じように、電話番号を入れるのも十字キーを使うことになる(写真5)。

 Bluetoothは搭載してほしかったという声もあるだろう。パソコンと接続してのデータ通信をやりたい層は確実にいるはずだが、バッテリ寿命との兼ね合いか。ちなみに、Bluetoothといえば、2001年のCESでセイコーインスツルメンツが参考展示したBluetoothヘッドセットの機構が、WRISTOMOに受け継がれているように見える(写真2)。なお、充電やパソコンとのデータの同期は、クレイドルではなく本体裏のコネクタにケーブルを接続する形となる。

十字キーを操作して電話写真5 電話番号の入力も十字キーを操作して画面上の仮想テンキーから行う。キーのクリック感がよいこともあり、それほど手間ではない。

コンピューティングのトレンド
の中で捉えるべき商品

 ウェアラブル・コンピューティングの話題が目立ってきている。

 米調査会社の需要予測では、PCやワークステーションに代わって、もっぱら右肩上がりとなるグラフが描かれており、数年以内に半数以上の人が何らかのコンピュータを“身に付ける”ようになるとしている。

PHSモード写真6 「時計モード」と「PHSモード」の2つのモードがある。発信専用の使い方なら普段は時計モードにしておけばバッテリも持ちがいいようだ。

 米国でウェアラブルが期待される背景には、日本のように携帯電話が情報端末としての進化を十分にとげていないという点がある。マイクロソフトの“SPOT”(Smart Personal Object Technology)の具体的な商品として腕時計型が出てきたのも、そんな文化の違いを感じさせた。どうも日本人は「なんでも携帯電話で」と考えがちだが、最も身近な情報端末としては“腕時計型”のほうが自然な発想かもしれない。

表 主な腕時計型デジタル機器
発表年製品(開発・発売元)
1984UC-2000(セイコー電子工業・服部セイコー)
1984RC-1000(エプソン・服部セイコー)
1984RC-20(エプソン)
1990RECEPTOR/米国(セイコー)
1992プレシャス/ポケベル(NTTドコモ)
1995DataLink(TIMEX・Microsoft)
1998Ruputer/MP110・MP120(SII)
1998NEXT Zi:ks/ポケベル(NTTドコモ)
1999SPH-WPIO(サムスン)
1999PC-UNITE/BZX-20・BZX-20D(カシオ)
2000Chrono-Bit(セイコーエプソン)
2001Internet Messenger(TIMEX)
2001WatchPad(IBM・シチズン)
2001Wrist PDA/FX2001・FX2001(Fossil)
2002Wrist PDA with PALM OS(Fossil)
2003SPOT対応腕時計(シチズン/Fossil)
2003Wachphone(サムスン)

 腕時計を情報端末にしようという試みは、1984年にセイコー・グループが「リストコンピュータ」や「腕コン」などの製品を投入しているが、定着するにはいたらなかった。1990年には、セイコーが米国でFM放送の副搬送波を使って、時計合わせのほか、ポケベル機能やニュース・天気が分かる「RECEPTER」を発売。最近では、電子メールが使えるTIMEXの「Internet Messenger」がある。表1に、そうした腕時計型デジタル機器を示したが、通話機能も可能な本格的なデータ通信端末は、今回のWRISTOMOが初めてとなる。


 はたして、携帯電話が情報端末としてどこまでも進化していくのか、それとも米国で期待されている“身に付ける”情報端末が主流となるのか? その境目にあるという意味で、世界戦略をにらむNTTドコモには、ふさわしい商品といえそうだ。

WRISTOMOの主なスペック
製品名 WRISTOMO
連続通話 約120分
連続待ち受け 約200時間
通信速度 64/32kbps
防水 日常生活防水(3気圧)
サイズ(W×D×H) 40.4×171.5×18.5mm
重量 約113g(電池込み)

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