アクセンチュア(株)は、“Strategic IT Effectiveness(企業価値を高めるIT戦略”として同社の“IT-ROI診断”について記者説明会を開催した。この“IT-ROI診断”は、企業のITコスト構造の診断を行って改善目標・行動計画をたるところから、戦略的なIT投資の中の大きなプロジェクトのセット受託までを行なうサービス。
戦略グループSITE担当パートナーの日置克史氏は、「日本企業のIT装備は欧米と比べて劣っておらず、IT投資が生産性に寄与しているという認識がでてきたが、投資対効果の実感が低い。どうしたら効果をもっと上げることができるのかというこころに問題意識が移ってきている」と現状を紹介。その上で“IT-ROI”診断の大まかな流れについて説明を行なった。
日本企業のIT装備は欧米と比べて劣っておらず、IT投資が生産性に寄与しているという認識ができているが実感が低い |
同社ではITコストを固定的IT支出と機動的IT支出に分類するところからはじめる。固定的IT支出というのはハード・ソフトの保守、運営コストなどシステム運営上必ず発生する運営費、システム保守費。機動的IT支出は投資対効果が経営判断として明確化されるべき投資案件、業務プロセス、人、組織、戦略的な大規模システム改修を含む保守費のこと。ITの投資効果をアップする際には(1)固定費/機動的IT支出の分類とトレンド分析、(2)固定的IT支出の削減計画、(3)機動的IT支出のプライオリティー決定、(4)エンタープライズ・アーキテクチャーを考慮したIT戦略策定、(5)固定的/機動的IT支出を統合したビジネスケース、(6)モニターの仕組みのデザインといった流れに沿って手を打っていくことが重要であるとした。
左のグラフは某企業におけるIT支出の傾向を分析したもの。IT支出を抑えているが、固定IT支出にあたるあるシステム運営部分が膨らみ続け、戦略的投資を行なう余裕がない。アクセンチュア(株)では固定的IT支出55%、機動的IT支出45%の割合が望ましいと考えている |
出席した記者からアクセンチュアが扱ったケースで、どのような問題が多いのかという趣旨の質問が出たが、これに対して氏は現状について「パッケージシステムを導入したが、カスタマイゼーションしなければならない部分が非常に多く保守コストが運用コストがふくらんでしまったというケースが結構ある。あるいは、システムとして導入したけれどユーザーのトレーニングが不十分で使い込めていないケース。一番好ましくないのはシステムのデリバリーできたときにはユーザーの要件が変わってしまって使われていないというものもある。結局、そういうシステムであっても投資をしてしまった手前、なかなかそれをやめることはできなくて投資効果が発揮できない。私どものような第三者が診断をしながらトップがマネージメントすることによって、そういう状況に決着をつけるというものひちつの意義と考えている」と話した。
アクセンチュアは欧米に200人の専門部隊を抱える。国内ではサービス対応ができる人員を90名ほど抱えているとのこと。昨年8月から同社が国内で扱った案件は10件で、そのうち半数が金融機関、次に化学業界、通信業界と続く。来年は30件を目標としているとのこと。