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リネージュの開発元、NCSoft CEO 金澤振氏に聞く――“リネージュ2の世界展開と韓国ゲーム事情”

2003年06月23日 20時56分更新

文● 月刊アスキー編集部 小西利明

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リネージュ2のスクリーンショット、水辺のエルフたち
リネージュ2のスクリーンショット、その5。水面に自身を映し、膝まで水につかるものもいながら、一様に何かを見上げるエルフたち。その瞳に飛び込むのは吉か凶か
[月アス] NCSoftは米Destination Games(Tabula Rasaの開発会社)社を傘下に加えて、米NCSoft Austin社とするなど、韓国外のデベロッパー(開発会社)との提携や資本参加にも積極的に見えます。日本でも優れたデベロッパーに対して同様のプランを持っていますか。
[金氏] 日本でも今までさまざまな努力をしていましたし、今もしています。具体的に合意直前までいったところもあったのですが、お互いの理解が深まらず、実を結びませんでした。今でもそういう努力はしています。NCSoftはオンラインゲームに関してグローバル志向になっていくつもりですので、よい開発者やデベロッパーがあれば、積極的にアプローチしていきます。NCSoftは今後、コンソールゲームもオンライン化を積極的に進めていきますので、その点でも、いい関係を持てる会社が近いうちに出てくるのではと思います。
[月アス] 韓国でも昨年には『プレイステーション2』や『Xbox』、『ゲームキューブ』が発売されましたし、中国でも年内には発売されるという話です。韓国や中国でも、ゲームコンソールは急速に普及するでしょうか。それとも今はパソコンが強いので、普及は遅いとお考えですか。
[金氏] アメリカや日本の普及速度に比べると、さすがに韓国や中国では(ゲーム専用機の普及は)遅くなると思います。それはパソコンとの競争が一番の要因だと思います。家庭の考え方や価値観でも、ゲーム専用機よりパソコンのほうが重要視されていると思います。特にブロードバンド環境が進んでいる中では、パソコンのほうが親和性が高いので、やはりパソコンのほうが強いでしょう。


リネージュ2のスクリーンショット、巨大昆虫と対峙
リネージュ2のスクリーンショット、その6。一振りの剣だけを頼りに、身の丈3倍はあろうという巨大モンスターに挑む
[月アス] NCSoftもコンソールのノウハウを蓄積している最中とのことですが、今後はコンソールも積極的に手がけるのでしょうか。それとも現時点では、あくまでノウハウの蓄積程度でしょうか。
[金氏] 現在はコンソールのユーザーがインターネットを使うにあたっての障害をどう取り除けるかを、課題として研究を進めています。その成果は、技術の蓄積という段階を超えて、実際の現場でも活用されています。『Crusader』(開発中のXbox用タイトル)のように、コンソールの中でもある程度競争力を持てるようになりましたので、積極的に市場の開拓にも取り組んでいきたいと思います。
[月アス] 韓国や台湾のパブリシャー(販売会社)の中でも、将来はゲームコンソールが中心となり、パソコンはゲームの主役ではなくなると予想する方がいます。また今年のE3ではパソコンゲームの出展数がだいぶ減っているとのことですし、2005年以降に登場する次世代のゲームコンソールは、どれもネットワーク機能を標準で搭載すると予想されています。金CEOはどうお考えでしょうか。
[金氏] コンソールは確かに、ホームテンターテイメントの中心となる形に変身しようとしていますし、その成果も確かにあると思います。特にアメリカや日本はコンソールとテレビがいい関係にあると思いますので、そういうところではホームエンターテイメント機器としての発展は、十分にあると思います。ただ、ほかのアジア地域では、普及速度が高まることはないと考えます。パソコン自体も、オフィスの業務機器としてだけでなく、ある程度エンターテインメント機器としての拡張や機能追加もされていきますので、これからもオンラインゲームをサービスしていく会社としては、2つのプラットフォームを並行して支援していくことが必要だと思います。


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