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“オープンソースウェイ”レポート

2002年12月25日 22時48分更新

文● 編集部

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経済産業省 大臣官房参事官であり、IT産業室長である福田秀敬氏は、Linuxを中心とするオープンソースソフトウェアの開発に対する支援政策を紹介した。

経済産業省のIT産業室長である福田秀敬氏経済産業省 大臣官房参事官 IT産業室長の福田秀敬氏

福田氏はまず、日本のいわゆるIT企業が、ネットワーク製品から半導体まで幅広く手がけていることについて、特定分野にフォーカスした事業を展開している海外の企業と比べて利益率が低く、投資が不十分なため競争力が低下していることを指摘。「この構図をなくす必要がある」(福田氏)と語った。

今後Linuxなどのオープンソースソフトウェアは、サーバ市場やデジタル家電を中心に普及すると考えられているが、普及のためには以下のような問題点の解決が必要になるという。

  • システムの信頼性向上
  • アプリケーションの充実
  • エンタープライズプラットフォームへの対応
  • スケーラビリティ
  • エンジニア不足の解消
  • リアルタイム性の向上

福田氏によると、経済産業省がオープンソースを支援する背景には、政府自身もROIを意識する必要があること、先に述べた日本のIT産業の構造を変える必要があることなどが背景にあるというが、一方、政府はNPOなどの組織には「嫌われているかもしれない」(福田氏)といった認識もあり、「結局、政府も複雑なんです」(福田氏)とのこと。こういった背景から、政府自身でソフト開発支援を行なうのは困難であるといい、独立行政法人産業技術総合研究所(以下、産総研)を中心に「いじくり回す方がものになる」(福田氏)との考えから、“産総研モルモットプロジェクト”と題したLinux導入プロジェクトを行なうことを明らかにした。

“産総研モルモットプロジェクト”は、平成15年度から16年度にかけて、Linuxデスクトップ環境や開発環境などを中心に産総研で1000人規模の実証実験を行なうというもの。福田氏は「自分たちで小さく生み出し、大きく育てるプロジェクト」であると紹介し、このプロジェクトを通じて人材や技術を開発し民間に技術移転する考えを明らかにした。

“産総研モルモットプロジェクト”
“産総研モルモットプロジェクト”の概要。2年間のプロジェクトで、オープンソースソフトウェアの問題点洗い出しや、ソフトウェア基盤開発、人材育成などを行なうという。

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