レンズに手をかざして光をさえぎろう
逆光時の撮影の場合、カメラのレンズは太陽に向かうことになる。このような撮影をしたときに、画像の中に明るい光が写り込んでしまったり、画面全体が白っぽくなり低いコントラストの写真になったことはないだろうか。これはフレアやゴースト、ハレーションと呼ばれる現象で、レンズの中に直射日光が入って内部で反射することで発生して画質を低下させるものだ。これを防ぐために、レンズの反射防止コーティング処理やレンズ鏡胴内部の反射防止処理がなされている(レンズを覗き込むと黒く塗られているのはこのためだ)が、低価格な製品では低品質な処理で済まされている場合もあるほか、高品質なレンズでも太陽の光を直接入れてしまうとなかなか防ぐのは難しい。しかし、要は直射日光や強烈な光源をレンズに入れないようにすればいいわけだ。
一眼レフタイプの銀塩カメラのレンズや、デジタルカメラの一部の機種ではレンズの前に「レンズフード」を装着できたり、最初から付属しているものがある。これはラッパや花のように開いたカバーで、撮影したときに写り込まない程度にレンズの周囲を覆って余分な光が入射しないようにするものだ。ただし、ズームレンズが沈胴してしまうようなコンパクトデジタルカメラでは最初から組み込むのも、あとから装着するのも難しい。
ではどうすればいいかというと、光を別の物で遮ってしまえば良い。一番簡単なのが「手」だ。撮影時にレンズの上に手をかざし、レンズに当たっている光を遮るだけのことだ。写真用語では俗に「ハレギリ」と呼ぶのだが、デジタルカメラはレンズの口径が小さいので手でも簡単に光を遮れるし、口径が大きくて手では足りないなら小さめのノートや手帳など、手元にあるものを使えばいい。
黒い紙と白い紙
第6回のホワイトバランスや、今回のハレギリなどを読んでいたたければお分かりのように、白い紙や黒い紙をカバンに入れておくとなにかと重宝する。
それほど大きくなくてもよく、A4くらいの大きさで十分だ。折り畳んでカバンの隙間にでも挟み込んでおけばいい。カスタムホワイトバランスのセットやハレギリ、あるいはレフ板として被写体に散乱光を当てたりと、色々使える。特に花などを接写する場合、背景にすることも覚えておくと便利だ。オークションの出品用に小物を撮影するような場合にも、自宅の部屋の中が背景に写り込んだいる写真と、ちょっとでも背景を作って撮った写真では見た目の印象が大きく変わる。
写真5a 普通にマクロ撮影しても背景がぼけやすいのでそれほどが気にはならないことが多いが……。 | 写真5b より被写体を強調したいときには背景を整理(黒一色などに)すると被写体だけを強調できる。ちなみに今回背景に使ったのは“マウスパッド”の裏面だ。 | |
写真5 バックの違いで印象は大きく変わる |
デジタルカメラ撮影の“基本のキ”一覧