Thoroughbred登場!Pentium 4とコストパフォーマンス徹底研究!
6月10日の公式発表から10日ほど遅れたものの、6月21日から秋葉原で「Thoroughbred」(サラブレッド)コアのAthlonが出回り始めた。現在では潤沢に供給されているようだ。待望のサラブレッドは結局買いなのかどうか。PC Explorer誌に7月号まで連載していた「最新パーツ性能チャート」、今月からは場所をこちらに移し、気になる性能とコストパフォーマンスを検証しよう。
まずThoroughbredについて
Thoroughbredは、Athlonにとっては第4代目となるコアだ。0.25μmプロセスの元祖Athlon、0.18μmプロセスに移行し2次キャッシュをオンチップにしたThunderBird、プリフェッチ機能とSSEに対応した高性能コアPalominoと来て、今回のThoroughbredは、Palominoを0.13μmに縮小したものだ。アナウンスから見る限り、機能面での変更・追加はないようで、ポイントはプロセスの縮小一本に絞られるようだ。
プロセスの縮小は、ダイサイズの縮小=低コスト化、電源電圧の低下=低消費電力化、高クロックへの対応、が一気に可能になる、半導体メーカーにとって最大の戦力アップポイントだ。Pentium 4が一足先に0.13μm化を完了して順調にクロックアップを続けているため、性能でおいてきぼりを食らいつつあるAthlonとしては、待ちに待った援軍である。
6月10日のニュースリリースでは、従来の最高峰、Athlon XP-2100+をモデルナンバーで100上回る、Athlon XP-2200+(1.8GHz動作)だけが言及されたが、データシートによれば、Thoroughbredコアで1700+以上のすべての製品を用意するようだ(もっとも、データシートに載っていても実際にはほとんど製品が流通しなかった例もあるので、いずれThoroughbredコアの1700+が必ず登場する、と断言はできない)。これらを、現行のPalominoコアの製品と比べると、Thoroughbredコア、あるいは0.13μmプロセスの意味がわかりやすい。
Pentium 4に比べるもう一つの0.13μm効果
表に、AthlonとPentium 4、それぞれ新旧世代の製品の使用をまとめてみた。
1700+同士を比較すると、ThoroughbredコアのAthlonは電圧が1.75Vから1.5Vと大きく下がり、消費電力も77%になっている。これは1800+、1900+についても同様で、0.13μmの面目躍如というところだ。しかし、2000+以上では、電圧が1.6Vまたは1.65Vに引き上げられており、結果、2100+同士の比較では消費電力がPalominoの87%にのぼり、最高速の2200+では、従来コアの2100+の95%と、消費電力ではほとんど追いついてしまう。
ちなみにライバルIntelのPentium 4では、0.13μmのNorthwoodコアに移行した際、電圧を1.75Vから1.5Vに下げた。それまでの最高クロックを200MHz上回る2.2GHz版を投入したが、電圧は下位製品と同じ1.5Vのまま。その後順調に高クロック製品を投入しているが、電圧は1.5Vに保たれている。
それに比べると、Thoroughbredは、高クロック品について電圧を上げざるを得なくなっている点で、Pentium 4ほど0.13μm化の効果が大きく見えない。電圧アップは、高クロックでの安定動作につながるが、半導体への負荷も増える(寿命が縮む)ので、上げずにすむなら上げたくないところだからだ。
これが、単純に新プロセスのために各部のチューニングができていないからなのか、Pentium 4に比べてパイプライン段数が半分の10しかないことが影響しているのかは、今後明らかになってくるだろう。
- | Palomino (0.18) | Max:Thoroughbred (0.13) | ||
---|---|---|---|---|
1700+/1.7GHz | 1.75V | 57.4W | 1.50V | 44.9W |
1800+/1.8GHz | 1.75V | 59.2W | 1.50V | 46.3W |
1900+/1.9GHz | 1.75V | 60.7W | 1.50V | 47.7W |
2000+/2GHz | 1.75V | 62.5W | 1.60/1.65V | 54.7W |
2100+/2.1GHz | 1.75V | 64.3W | 1.60V | 56.4W |
2200+/2.2GHz | - | - | 1.65V | 61.7W |