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CA、アプリケーション開発のプロセスを管理する統合ソフト『AllFusion Process Management Suite 9.02』を発売

2002年06月25日 23時08分更新

文● 編集部 田口敏之

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コンピュータ・アソシエイツ(株)は25日、ソフトウェアスイート『AllFusion Process Management Suite(オールフュージョン・プロセス・マネジメント・スイート)9.02』(以下AllFusion PMS)を発売すると発表した。出荷は7月1日に開始する。

AllFusion PMSは、プロジェクト、リソース、成果物など、ソフトウェアやアプリケーション開発におけるプロセス(ライフサイクル)を、効果的に管理できるソフトウェアスイート。

プロダクトマーケティングビジネスマネージャーの末吉聡子氏
コンピュータ・アソシエイツのプロダクトマーケティングビジネスマネージャーである末吉聡子氏

発表会の冒頭で、プロダクトマーケティングビジネスマネージャーの末吉聡子氏は「ソフトウェアの開発において、工数の見積もりが悪いために納期が守れず、そのためコストもオーバーしてしまうというプロジェクトが多い。米国の事例だが、納期もコストも、最初に見積もった通りに終わったプロジェクトは、全体の26%しかないと言われている」

CMM
CMMによるソフトウェア開発プロセスの成熟度の指標

「米国カーネギーメロン大学のソフトウェアエンジニアリング研究所が開発した、ソフトウェア開発プロセスの成熟度を5段階で表わすモデル“CMM(Capability Maturity Model)”という指標がある。プロセスが場当たり的で、成功は個人の努力に依存している企業はレベル1に該当する。コスト、スケジュール、機能充足性を確認するために、基本的なプロジェクト管理プロセスが確立され、以前開発したものと同様のアプリケーションを開発する際には、成功経験を反復するためのプロセス規律がある企業はレベル2に該当する。米国で、901の企業や団体に対して調査を行なったところ、レベル1と2に属する企業が70%を占めるという結果が出た」

ソフトウェア開発プロセス
ソフトウェア開発プロセス

「AllFusion PMSは、企業内のソフトウェア開発プロセスの成熟度を、CMMのレベルを1から2、3から4へと成長させるためのツール。改善が必要と思われるプロセスを改善し、見積もりの結果と実際の結果の比較と分析を行ない、最終的な分析結果をライブラリーに保存しておくことで、将来のプロジェクトにも備えることができる。また、これまでの開発プロセスでの経験をプロセスライブラリーで管理して再利用することにより、プロジェクトを成功に導くことができる」と述べた。

構成
AllFusion PMSの構成

AllFusion PMSが含むモジュールは、以下の通り。

AllFusion Process Engineer
企業や部門の標準プロセスの生成とカスタマイズを行なえる
AllFusion Process Library & Web Process Library
再利用可能なプロセスなどを提供するリポジトリー。160のプロセスと190の成果物を有している
AllFusion Project Engineer
プロジェクトのリソースの割り当てや、納期・予算の見積もりを行なえるプランニングツール。プロジェクト開始後は、進捗やリスクの管理も可能
AllFusion Project Planner
プロジェクトのスケジュール管理ツール、リソースの再アサインや進捗の分析も可能
AllFusion Project Timesheet
プロジェクトの進捗を管理するウェブベースのツール。担当者は、割り当てられた仕事の確認や行なった作業の実績報告を行なえる
AllFusion Project Office Console
ウェブベースの中央管理ツール。全体のリソースや部門ごとのカレンダーを格納している
AllFusion Advisor
プロジェクトメンバーが情報を共有するための企業ポータルサイト。経営者、プロジェクト管理者、担当者など役割ごとにページが構成されており、プロジェクトの全ての情報や成果物などに一元的にアクセスが可能

なおモジュールのうち、AllFusion Process Library & Web Process Libraryは英語版のみの提供となる。

末吉氏は、AllFusion PMSの特徴について「Process Libraryに、どういう役割の人が何をしなければならないかというプロセスなどがコンパクトにまとめてある。これに基づいてプロジェクトの生成とカスタマイズができ、適正なリソースの割り当てや工数、コストの見積もりが可能。生成したプロジェクトは、スケジュールへの引き渡すことができる」と述べ、「各モジュールには、企業ポータルサイトからアクセスできる。スケジュールの共有も行なえるので、開発拠点が分散した地域にあっても、いつどこで、誰が何をしなければならないか、誰が何をしたかなどについて、すべて一元的に管理できる。また、データベースの共有によって、並行開発もつつがなく行なえる」と語った。

AllFusion PMSの動作環境は以下の通り。OSはWindows 98/NT 4.0/2000に対応する。Windows XPは動作検証中。512MB程度のメモリーと300MB以上のHDDの空き容量が必要。ただし、導入するモジュールによって異なるという。

張統氏
エンタープライズ事業部長の張統氏

同製品の日本市場への投入について、エンタープライズ事業部長の張統氏は「日本市場にプロセスマネジメント系のソフトを投入するのは、今回が初めて。投入にいたった背景には2つの理由がある。1つは、技術の進歩とともに、短納期でソフトの開発を行なわなければならず、ライフサイクルが極端に短くなったことから品質管理がおろそかになり、ソフトの品質が下がりかねないということ。そしてもう1つは、技術は進歩したが、人材の管理については進歩しておらず、プロジェクトにおいても、適切な人材の配置を行なえないために人件費にコストが偏っているということ。今回のスイート製品が、これらの問題の解決の糸口になれば良いと考えている」と述べた。

また同氏は、販売戦略について「コンサルタント会社であるインドのサティヤムコンピュータサービスリミテッド社や、プロジェクト管理技法の設計・企画を行なっている(株)アイ・ティ・イノベーション、およびシステムインテグレーターの日本システム技術(株)といった有力なパートナーと提携し、顧客に対してAllfusion PMSの効果を最大化するためのサービスを提供する」と語った。価格については「10名程度のプロジェクト向けのスターターキットを、2002年12月末まで、100万円で販売する」としている。

お詫び
記事の掲載時に、上の段落で「2002年12月末まで、10万円で販売する」という誤った内容がありました。実際には、100万円で販売されます。ここに訂正して、お詫び申し上げます。(2002年6月26日)
小屋敷氏
プロダクトマーケティングシニアマネージャーの小屋敷泰教氏

販売目標については、プロダクトマーケティングシニアマネージャーの小屋敷泰教氏が「初年度5億円程度のビジネスを目指し、新たなプロセスマネジメントの分野に注力していきたい」と述べた。

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