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凧を使ったデジタルカメラ空中写真にトライ

凧を使ったデジタルカメラ空中写真にトライ

2002年06月22日 06時39分更新

文● アスキーPC Explorer編集部・行正 和義

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カメラマウントは自作してみよう

写真2 カメラ(リコーの「RDC-7s」)のストラップをラインに繋いだだけという超シンプルリグ。KAP愛好家からは笑われそうな代物だが、RDC-7sのストラップ孔がちょうど横方向の重心上にあり、水平ならば撮れる。ただし、撮影方向が決められないという欠点がある。固定方法はカラビナにラインを数回巻いてあるだけだが、ラインに張力がかかった状態では緩むことはまずない。
 次に、カメラをぶら下げるための仕組みを考えよう。KAP愛好家の間では「リグ(Rig)」と呼ばれている重要なパーツだ。ラインに直接カメラを結びつけたのではカメラも安定しないしアングルも決められない(写真2)。カメラの向きを一定に固定できるものが必要だ。写真機材として販売されている三脚や一脚、マウントの類を工夫して作るのがいいが、少々揺れてもカメラが絶対に落ちない丈夫さと、あまり重くならないことが最も重要だ。写真機材としての製品は銀塩カメラががっしりと固定することが重要なので頑丈かつ重く作られており、そのまま利用するとリグとしては重すぎてしまう。適当に部品を流用しつつ自作するのがいいだろう(写真3、4)。

 前述したInto The Windではその名も「Camera Mount」という立派なマウントも売っているのだが、Web上のKAP愛好家のサイトを見てみると自作しているケースが多いようなので、見習って手近にあったカメラ用品などからでっちあげてみた。まず作ったのはクリップ式のカメラマウント(机の端などに挟んで三脚代わりにする)を使ったリグで、カメラは上下逆にセットされる。
 ただし、コンパクトデジタルカメラのなかには重心位置と三脚孔がずれているものも多く、こういったシンプルな構造では三脚孔でぶら下げるとカメラが傾いてしまう。とくにデジタルカメラの中には極端に三脚孔がオフセットされている製品もあり、利用にはなんらかの工夫が必要となる。このタイプのリグでは、中央の棒状の部分が長ければ長いほどカメラの重心が多少ずれていても棒状部分が垂直になるため、カメラ部を水平にしやすい。また、全長が長いと揺れによるカメラのぶれも少なくなる(振り子の全長が長くなると振幅が長く、一定時間あたりのレンズの角度変化が減る)というメリットもある。

写真3 左は小型カメラ用アームスタンドを流用したもの。上側のジョイントは緩めてあるのでラインの角度に関わらず棒状部分がほぼ垂直となる。カメラのアングルを決めて下側のボールジョイントを締めるわけだが、カメラの重心と三脚孔がずれていると水平にしにくい。ラインは最上部の2つのネジに巻きつけるだけだが、外れることはまずない。万一落下するのだけは避けるように、糸で結んだクリップをラインとカメラのストラップにかけてある。装着しているのは「QV-2800UX」(カシオ計算機)。写真4 右はコの字型の金具などを使って作成した3軸可動リグ。水平角度を決められるほか、外側と内側のコの字金具のためカメラを垂直方向に角度を付けても前後方向にリグの重心がずれることが少ない。カメラは「CP-800」(エプソン)で、ワイドコンバージョンレンズを装着(接着)している。

 なかなか水平を出すのが面倒なうえ、カメラが上下逆だと撮影画像を180度回転させなくてはならないので、手近にあったジャンクパーツを組み合わせてもう1つのリグを製作した。コの字型の金具を使って俯角を取れるようにしたマウント部はKAPリグとしては一般的で、カメラは正立でセットできる。ここでは省略してしまったが、もちろんこのタイプにおいても中央に長い棒状部があるほうが望ましい。
 今回試作したものはいずれもあまり機能も見た目も大したものではないが、少しずつ改良を施しつつ機能向上や軽量化を進めたい。また、この種のシンプルなリグではいったん上げてしまえばカメラアングルの変更ができないが、小型モーターと減速ギアがあれば数分で1周するような機構を組み込める。KAP愛好家のリグにはラジコンでアングルを制御できるものもあるが、ゆっくり1周する機構を組み込むだけでもパノラマ写真の撮影が可能となるはずだ。デジタルカメラでは付属ソフトを使ってパノラマ写真を合成できる製品が多いので、一度試してみるのも面白そうだ。もっとも、あまり重装備になるのも考えものだ。ちょっとしたカバンに入る程度の構成ならば、いい風景といい風があったらすぐに撮れるようにしておくのもいいだろう(写真5)。

写真5 主に使用しているKAPセット。ピンクの袋がパラフォイルカイト。デルタカイトを使わなければ小さめのバッグに収納できる。ドーナツ状のリール(糸巻き)には約500m分のラインが巻いてある。カラビナ数個は持っておくといろいろと重宝する。左下は(ちょっと年季の入った)丈夫な皮手袋。素手でこのクラスのカイトを上げると、とても痛い目に合うので手袋は必須だ。

 なお、重心位置の問題さえ解決できれば、糸の角度に関わらずカメラを水平に保つことができ、揺れも抑えることが可能な「ピカベットサスペンション(Picavet Suspension)」と呼ばれる滑車と糸で構成されたカメラマウント方法もある。今回は割愛したが、気になる方は検索エンジンなどで調べてみることをお勧めする。

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