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ノベル、日本市場向け新ビジネス戦略“The New Novell”を発表

2002年05月14日 20時05分更新

文● 編集部 田口敏之

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ノベル(株)は13日、都内に報道関係者らを集め、日本における新たなビジネス戦略“The New Novell”を発表した。同社は日本市場において“プロビジョニング市場”に注力し、この分野のリーダーとしての地位確立を目標とした活動を行なっていくという。プロビジョニング(provisioning)とは、本来“目的のために対策をたて、食料や設備などを用意しておく”ことを指す。ノベルでは、このプロビジョニングを“企業のネットビジネス環境を進化させるための、コンサルティングやソフトウェア、ネットワークやサービスなどを提供するプロセス”を指す言葉としている。

2001年7月に、米ノベルは、ITコンサルティング会社の米ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズ社(以下米ケンブリッジ)を買収し、子会社とした。また、世界の市場を北米、ヨーロッパ、ラテンアメリカ、アジアパシフィックおよび日本の5つの地域に区分けし、それぞれの地域に責任者を置いた。そして、日本地区の代表には、米ケンブリッジの日本法人ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズ(株)(以下ケンブリッジ)の代表取締役社長である吉田仁志氏が就任し、同氏は両社の社長を兼任することになった。

ノベル代表取締役社長兼ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズ代表取締役の吉田仁志氏
ノベル代表取締役社長兼ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズ代表取締役の吉田仁志氏

ノベルは、これまで“one Net”をビジョンとして掲げてきた。one Netとは、企業のITシステムにおいて、バラバラに運用されているサーバーやネットワークシステムを、同社のディレクトリー製品である『eDirectory』によって一元的に統合管理し、ビジネスの効率化や経費削減といったメリットが得られるというコンセプトのこと。しかし、同社代表取締役の吉田氏は、「これから、さらに経済状況が悪くなり、企業の競争力が求められる中では、企業のビジネスに直結する形で、システムやサービスなどといったソリューションが提供できなければいけない」述べ、「ケンブリッジやほかのパートナーとの協業によって、“顧客中心”を主軸に、ネットビジネスの上流行程のコンサルティングとソフトウェア、システムの構築といったサービスを提供する事業を推進する」としている。

新生ノベルのビジネスソリューションモデル
新生ノベルのビジネスソリューションモデル

具体的なビジョンとして、同氏は「企業内の社内業務プロセスのシステム化だけではなく、全社的なシステムの統合が必要。たとえばCRMにしても、それぞれの部署が別々のシステムを利用していたのでは、真の価値は生まれない。企業のシステムを、いかに顧客中心にインテグレーションしていくかが重要」と述べ、「1つのベンダーのシステムで、企業内のシステムを構築しているケースはまず無い。こうしたシステムを融合させるのに、ノベルの製品と技術は最適のもの」としている。

ノベルでは、企業が自社の提供する商品やサービスの付加価値を向上させ、顧客中心にネットビジネス環境を進化させるための情報分析やパーソナライズのプロセスを整える、コンサルティングやシステムの構築といったサービスを提供する“eプロビジョニング”を推進していくという。

ノベルでは、このeプロビジョニングに必要な、ネット上における個々のビジネスを安全に、円滑に、かつ高速に進めるための要素として、3A(Authentication:ユーザー認証、Authorization:アクセス許可、Administration:管理運営)によるセキュリティーマネージメント、つまり“誰が、どこへアクセス可能かマネージメントする”ことと、同社のディレクトリーによりサービスの統合と異種サービス間の連携、およびユーザーアイディンティティーに基づくパーソナライズ、の3つを挙げている。

eプロビジョニングを支える製品群
eプロビジョニングを支える製品群

また、eプロビジョニングを支えるノベルの製品を、積極的にUDDIやSOAPといった業界標準に対応させていくという。現在、米ノベルでは、UDDIをサポートするディレクトリーソフト『eDirectory 8.7』や、UDDIに対応したウェブサービスを構築するためのソフト『Novell UDDI Services』の開発を行なっており、今後日本市場向けにも投入していくとしている。

ターゲットとする市場
ターゲットとする市場。まずノベルとケンブリッジが率先してコンサルティングやサービス提供の成功事例を作り、それを基に、他のパートナー企業が市場を拡大していく

ノベルは、ケンブリッジが得意とする製造、金融、サービス、流通業界をターゲットとして、ITコンサルティングを展開していくという。またノベルとケンブリッジは、成功が難しいと思われるコンサルティングにおける成功事例を率先して作り、その事例を基に、ほかのパートナーが横に事業を展開するという体制により、市場を拡大するとしている。

吉田氏は、「ノベルの社長に就任する上で、外から客観的に、ノベルという会社は今後どうだろうと正直に見てみた結果、成功するためには、市場が必要不可欠だと感じた。ケンブリッジとともに、eプロビジョニングの市場を開拓し、市場のリーダーとなっていきたい」と述べている。

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