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【オーバークロック研究室】PowerLeap製「PL-370/T」を使ってTualatinコアCPUをオーバークロックする

2002年04月07日 20時59分更新

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●更にコア電圧を高く出力させる方法

 それでは2つめの課題としてコア電圧について検討する。今回のテストで使用しているマザーボード(EP-3SPA3)に備わっているコア電圧設定範囲はCPUの規定コア電圧+0.35Vまでである。つまり、PentiumIII-S 1.13GHzの規定コア電圧は1.45Vなので+0.35Vの1.80Vまでが本来の守備範囲となるハズだ。ところがEP-3SPA3が出力しているデフォルトのコア電圧は約1.30Vとなっており、コア電圧設定機能を活用しても最高1.65Vまでとなる。この条件では過去にテストした最高コア電圧に比較して0.075V増でしかなく、今回の目論みには少々もの足りない。

 コア電圧電源回路がもう少し高い最高コア電圧を出力できるようにするための手段を考えた場合、やはりVIDコードを操作してデフォルトのコア電圧を高める方法が良さそうだ。そこで比較的簡単な改造手段として次の通りに考えた。まず、マザーボード上のCPUソケットから配線されているVIDラインの電圧を調べてみると、案の定、VID(25mV、3:0)は01111となっている。このうちVID25mVは、マザーボード上で強制的にGNDへ接続されているため、CPUのVIDパラメータとは関係なく無条件で“0”なのだ(あくまでもEP-3SPA3はCoppermineまでのCPUをサポートするマザーボードなのでVID25mVピンに関する定義はないがコア電圧電源回路の制御素子UNISEM製US3004にVID4の信号として“0”をインプットする必要性があるため強制的に“0”としているのであろう)。この結果をこちらの表に照らし合わせてみるとVID(25mV,3:0)01111はコア電圧出力=1.300Vが導き出され、ある意味理屈どおりの出力電圧である。もしも、このVIDパラメータを操作できるとすればどうだろう。例えば、このPentiumIII-S-1.13GHzの規定コア電圧1.450Vを求めるなら、VID0とVID1を“0”にすればいいわけだ。

 では、次に具体的なパラメータ操作を考えてみると「VIDパラメータを“0”にする」ということは、目的のVIDラインのどこかでGNDへ接続することを意味する。ただし、直結するのではなく、抵抗を介して接続した方が無難だ(抵抗値は1Kオーム前後)。場所はマザーボード上のCPUソケットから延長されるVIDラインでも良いが、「可能な限りマザーボードとPL-370/Tに手を加えないで」という観点から、筆者の場合はCPUとPL-370/Tの間に追加したCPUソケットに着目した。説明するまでもなくここには全てのVIDピンを含めてGNDと直結関係にあるVSSピンが揃っており改造する上で都合が良い。基本的にはこちらで採用した手法と同じ事を再現しようと考えた。ただ、上述の理想例にしたがうとなるとVID0ピン、VID1ピンからそれぞれ抵抗を介してVSSピンに接続しなければならない。だが、ピン・レイアウトや難易度の関係もあって、今回は、VID1ピンとVSSピン間だけに1kオームの抵抗をハンダづけする。成功すればVID(25mV,3:0)は、01101と操作されコア電圧電源回路は1.40Vを出力するだろう。その条件でコア電圧を操作すれば+0.35Vの1.75Vまで昇圧可能となる予定だ。実際の作業は写真に示した通り、CPUソケットのピンサイドに1Kオームのチップ抵抗をハンダづけした。ピンレイアウトはAM36ピン(VID1)とAM34ピン(VSS)でピンの根元に抵抗をブリッジするだけでよい。完成したCPUソケットを元通りに組み込んでPC Health Statusをチェックしてみると規定コア電圧は目論み通り1.40Vを出力しており、電圧操作範囲は1.75Vまで昇圧可能となった。

【図2】

CPUソケットのピン側から見た図。AM36ピンとAM34ピン間に1Kオームのチップ抵抗でブリッジする
チップ抵抗は必ずCPUソケット本体に密着させて固定する
目論み通り規定コア電圧を1.40Vと認識し最高1.75Vまで操作可能になった

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