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【オーバークロック研究室】PowerLeap製「PL-370/T」を使ってTualatinコアCPUをオーバークロックする

2002年04月07日 20時59分更新

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●PL-370/T専用CPUクーラーの性能

 さて、初期動作確認の段階で気になった「コア電圧」と「CPU温度」の問題は、CPUに温度計を組み付けることとマザーボードのコア電圧操作機能を使用することでひとまずクリアできたとしよう。ここでもう一度、PL-370/Tを組み付けてシステムを動作させてみる。

 最初のテスト課題は、PL-370/T専用CPUクーラーの冷却性能である。これは、通常使用なら問題はないと思われるが、やはりオーバークロック動作を前提に考えた場合に知っておくべき性能の1つだろう。テスト内容は、コア電圧を操作しない状態(1.31V)と規定コア電圧(1.45V)に調節した2通りの条件で、過去に実施したCPUクーラーの性能比較と同様にSuperπを走らせながら定めた時間毎にCPU温度を記録した。その結果は、グラフ(図表1)に示した通り規定動作ならさほど問題にならないと言うより、むしろ「CPUクーラーの見た感じから想像できる性能よりよく冷えている」と言うのが筆者の感想だ。ただ、オーバークロック動作をさせるとなると必然的にCPUの発熱はハネ上がってくる。コア電圧を高くするならなおのことで、発熱の処理を解決する手段を用意しておくべきだろう。単純に考えると、より高性能なCPUクーラーを装着すればよいわけだが、好みのCPUクーラーを装着しようとしても一般の装着方法ではCPUソケットとヒートシンク間はPL-370/Tの分だけ厚みが増す関係から「リテンション金具が届かない」という事態になる。キットに付属するPL-370/T専用のCPUクーラー以外で冷やすとなるとこれまたひと工夫が必要だ。

●市販のCPUクーラーを使いたい

 EP-3SPA3でPL-370/Tキットを使い、ごく普通にCPUのアップグレードを実施するなら致命的な問題はないものの、オーバークロック動作を考えた場合に好みのCPUクーラーを使用するならひと工夫が必要である。そこで筆者が無い知恵をしぼった結果、以下の方法で市販のCPUクーラーを使用できるメドが立った。ただし、そのためのコストはある程度無視している。つまりPL-370/TキットやCPUの予算とパーツ代の総額を考えると、他の代替えシステムの費用に接近するかも知れない。したがってこの方法の有効性は各自の都合に左右されるだろう。以下にPL-370/Tを使用する上で市販のCPUクーラーを装着する方法を述べる。

(1)電子パーツショップでソケット370タイプのCPUソケットを購入。
(2)CPUの代わりにPL-370/TへCPUソケットを装着。
(3)PL-370/Tのジャンパポストは折り曲げて干渉を回避。
(4)CPUソケットとPL-370/Tの電源ソケットが干渉する部分をルーターで切削。
(5)マザーボードへPL-370/Tを装着しロック。
(6)CPUソケットを確実にPL-370/Tへ勘合させる。
(7)PL-370/Tに装着したCPUソケットのロックを解除してCPUを実装。
(8)CPUにサーマルコンパウンドを塗布して好みのCPUクーラーを装着。
(9)マザーボード上のCPUソケットとCPUクーラーをワイヤーで固定。

C370タイプCPUソケットを単品で入手する。価格は\1,100前後(高いか安いかは各自の欲求度次第)
PL-370/Tの電源ソケットが干渉する部分をルーターで切削
PL-370/TへCPUの代わりに加工したCPUソケットを実装する。これで容易にCPUの脱着が可能となるだけでなく市販のCPUクーラーが使える

 端的に言えばPL-370/TとCPUの間にCPUソケットを追加するわけだが、(1)のCPUソケットはPCパーツショップではなく電子パーツショップで扱っている可能性が高い。大阪日本橋だと共立電子で入手可能だ(あるいは改造作業に精通しているツワモノならSlot1変換ゲタから部品取りという手もある)。CPUソケットが入手できたら(2)のように一度、PL-370/Tに装着してみる。このときPL-370/T上のジャンパポスト(3)が干渉するので直角に折り曲げておく(ジャンパキャップは元の位置に装着のこと)。加えてPL-370/Tの電源ソケットも干渉するのでその部分をCPUソケットにマークして(4)の通りにCPUソケットをルーターで削る(高温に加熱したカットナイフの刃先で切り取る手もある)。再度、PL-370/Tとの勘合具合を確かめた後、(5)のように先にPL-370/Tだけをマザーボードに装着する。これはロックレバー同士の干渉を避けるためだ。そして(6)で加工したCPUソケット(4)をPL-370/Tに実装すればCPU本体をキズつけることもなく従来通りのCPU脱着と市販のCPUクーラーを装着可能にするラグ(ツメ)が揃う訳である。後は、(7)(8)の通常通りにCPUとCPUクーラーを組み付ける。ただし、タワーケースに組み込んだ場合などCPUクーラーの垂直加重方向がマザーボードに向いていない場合は、CPUソケットごとPL-370/Tから外れてしまうケースも考えられる。そこで(9)は、その対策の一例としてマザーボード上のCPUソケットのラグ(ツメ)とファン固定スクリュー間をワイヤーで固定する事にした。ちなみに今回、装着したCPUクーラーは、カニエ製「Hedgehog-238M」だ。CPUソケットを追加した場合の動作確認をかねて念のためにPL-370/T専用CPUクーラーの冷却性能と比較してみたところグラフに示した結果となり期待通りの余裕が得られた。

今回は銅製ヒートシンクを採用したカニエ製Hedgehog-238Mをチョイスした。タワーケースを立てた時、重みでPL-370/TからCPUソケットごと外れないようにワイヤーで固定している

【図1】

PL-370/T専用CPUクーラーとHedgehog-238Mの冷却性能比較
 

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