このページの本文へ

【矢部直治のアキバB級グルメ探検隊(最終回)】アキバで30年!ホモ・サピエンスのハートを刺激する「ベンガル」

2001年12月21日 04時42分更新

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

●日本国におけるカレーの歴史(超簡略版)

コレ、けっこう飲食業界の人間でも知らないヒト多いのだけど、カレーは、じつはインド発イギリス経由で我らがジャパ~ンに伝わってきた料理。なぜUKトランジットなのか? それはかの国がいわゆるひとつの「カレー粉」を開発したゆえなのです。 インドではカレーを作る際、日本でいうところの「カツオだし」のような感じ(?)で、自家製スパイス・ミックスパウダー「ガラム・マサラ」をベースに使用します(どの家庭にも、スパイスをすりつぶす&ブレンドするための石臼がある)。かつてインドを植民地にしていたイングランド人たちはこの「ガラム・マサラ」に注目。自国にテイク・アウェイしてUK風にアレンジしたのが、「カレー粉」のルーツなのでした。 ちなみにオリジナルとの違いは、インドの一般常識的にブレンドしないスパイス「ターメリック(カレーの黄色の素)」を大量に入れたこと。つまり、

【カレー=黄色→戦隊ヒーローものの黄色戦士はカレーが大好物】

というニッポンの常識は、イギリスがクリエイトしたものだったのです! ←大発見 ジョンブル万歳!! キレンジャーよ永遠に!!

てなヨタ話はおいといてと、本題の「いつ日本へカレー粉が輸入されるようになったのか」について。日本に居を構えた英国人らは独自に直輸入していたため、最初の1缶がいつ上陸したか正確な年月日は不明。しかし、日本人が一般的に入手できるようになったのは1800年代後半ごろというのは間違いないそうだ。当時、UKのカレー粉業界ではCross and Blackwellという会社(略称「CB」。現在のUKではマーマレードやピクルスメーカーとして有名)が最大手だったため、国内には「カレー粉=CB」として広まっていったそうです。じっさい、100年以上経った現在でも、CBを愛用しているカリー専門店はけっこう多かったりする。

なお余談ですが、日本人で最初にカレーを食った奴の名は三宅秀清! 時は1863(文久3)、幕府の遣欧使節団としてヨーロッパに航海した際、船に同乗していたインド人の食事をつまみ食いしたとのこと(彼の日記に表記アリ)。……しかし、彼もまさか自分が「日本初の偉人」として後世に名を残すことになるとは、思ってもみなかっただろうナー。もし読者の中に、ご子孫の方がいらっしゃいましたらご一報ください。 ともあれ、日本のカレーのルーツをたどれば、インドではなくイングランド製「Curry Powder」にたどり着いてしまうのでした。しかし、インド大使館御用達の「アジャンタ(麹町)」、そしてかの有名なナイルさんのお父上が作り上げた「ナイルレストラン(東銀座)」など、なかには直接インドの味を日本に伝えた店も存在。既成のカレー粉を使うばかりがカレーではないと知らしめたことにより、徐々にスパイスを自らの手でブレンドするジャパニーズも出てきた。今回ご紹介する「ベンガル」は、そんなカリー専門店のひとつなのです。

カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

ASCII.jpメール アキバマガジン

クルマ情報byASCII

ピックアップ