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ポケットギア MG/PG5000

ポケットギア MG/PG5000

2001年12月05日 00時00分更新

文● アスキーPC Explorer編集部・小林 久

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ポケットギア MG/PG5000

NEC

オープンプライス

NECはWindows CEの古参メーカーのひとつだ。H/PCの「モバイルギアシリーズ」で高い評価を受けている同社だが、Pocket PC 2002の発表に伴い、ついにPDA市場にも参入した。「ポケットギア」は、高い拡張性をコンパクトなボディに集約した高機能なPocket PCである。

「トリプルスロット」対応で拡張性抜群な1台

PCカード拡張アダプタとCFスロットの向きを逆にすることで、アンテナ部分が外に出っ張る無線LANカードなどを使用する際にもCFスロットがふさがらないようにしている
 「ポケットギア」のシリーズ名で登場したNECの「MG/PG5000」は、ずば抜けて高い拡張性を持っているのが特徴だ。本体にはTypeIIのCFカードとSDメモリーカードを標準装備するほか、オプションの「PCカード拡張アダプタ MC/PG-JK01」(価格1万5000円)の追加によって、PCカードタイプの周辺機器にも対応できる。SDスロットはストレージ用途に限定される(SDIOや著作権保護機能には未対応だ)が、1台で同時に3種類のスロットが使えるPocket PCは今のところ本機だけである。
 PCカード拡張アダプタのコネクタはCFスロットと逆向き(外向き)に取り付けられており、アンテナ部分が大きくはみ出る無線LANカードなどを差した状態でも、CFカードを簡単に抜き差しすることができる。ささいなことだが、こういった部分は、使い勝手を向上させるうれしい配慮だ。



フリップカバーの留め金は凝ったデザインだが、固定に使用する爪がもろそうだ。また、CFスロットにP-in Comp@ctなど外側にはみ出るカードを差すと、液晶カバーを後ろに回せなくなってしまうのも欠点と言える。

 また、MG/PG5000は、本体右側面に「ホストインターフェイス」と名づけられたUSBのインターフェイスも装備している。これは携帯電話やPHSの接続ケーブルを差すために設けられたコネクタだが、オプションとしてコネクタ形状をUSBメス型に変換する「USBインターフェース変換ケーブル MC/PG-UK02」(価格1000円)も用意されており、PC用のUSB機器を本体に接続することも可能だ。周辺機器を使用するには別途ドライバの対応が必要となるが、PC用のキーボードなら差すだけで動作するという。

 スペックは、CPUがStorongARM-207MHz、メインメモリが32MB、液晶が240×320ドット/6万色表示に対応したフロントライト付反射型TFTといった構成。メモリ容量が32MBというのが、Pocket PC 2002搭載モデルが軒並み64MBのメモリを搭載していることを考えると少々もの足りなく感じるが、それ以外のスペックに関しては標準的と言えるだろう。液晶のサイズは3.8インチと、東芝の「GENIO e 550」シリーズ(3.5インチ)や日本HPの「hp jornada 568」(3.6インチ)に比べて一回り大きく、メールやWebサイトの確認がしやすい。フロントライトの輝度も十分にあり、発色の面でも申し分ない。



本体左側面には、ジョグスイッチを装備。ボタンのストロークが浅く、ちょっと触れただけ電源が入ってしまう点は改善してほしいところ。

 操作性の面では、日本HPの「hp jornada 500」シリーズ同様、本体左側面にジョグスイッチを装備。その上下に電源ボタンと録音ボタンを配置している。録音ボタンに関しては、マイクロソフトの要求仕様のひとつに入っており、すべてのPocket PCが装備しているが、音声でメモを取る習慣があまりない日本ではあまり使われていない。この録音ボタンはコントロールパネル(設定)の「ボタン」からカスタマイズすることも可能なので、「スタートメニュー」などに割り当てておくと左手一本で基本的なメニュー操作が完結できて便利だ。なお、電源/録音ボタンはストロークが浅く、ちょっと触れただけで簡単に電源が入ってしまう。ポケットなどに入れて持ち運ぶ際には、知らない間にバッテリを消費している場合があるので、ボタンの部分にくぼみを付けて簡単に押してしまわないようにするといった改善を望みたいところだ。



iアプリ実行環境の「i-Enabler」(画面左)と「PGメニュー」(画面右)。
 ソフト面でのポイントは、Pocket PCとしては初めてJavaVM(Personal Java 1.1対応)を搭載した点が挙げられる。MG/PG5000付属のCD-ROMにはiモード対応ブラウザの「i-Display」とiアプリ動作環境の「i-Enabler」という2つのソフトが収録されており、i-Dislplayでダウンロードした「iアプリ」(iモード対応のJavaアプレット)を保存し、後からi-Enablerで実行することができる。残念ながら本機ではiモード公式サイトにアクセスできないが、「アプリゲット」など、インターネット上でダウンロードできるiアプリを集めたWebサイトなどもあるため、興味があれば利用してみるといいだろう。
 iアプリの操作は仮想的に表示された携帯電話のボタンをスタイラスでタップする以外に、本体前面のカーソルキーやアプリケーションボタンを使った操作も可能。キー設定は細かくカスタマイズできる。

 また、本機には、専用アプリケーションランチャの「PGメニュー」も用意されている。Pocket PC標準のスタートメニュー以外に、こういったオリジナルメニューを別途設けているのは珍しくないが、本機の場合、単にアプリを起動できるだけでなく、バッテリやメモリの残量、未読メールの数や予定の数といった情報も一覧表示できる点がわかりやすい。ボタンの大きさや背景画面の変更、タブの追加などといったカスタマイズ機能も充実している。

 今回試用したのは試作機で、性能に関するベンチマークは実施することができなかったが、メニュー操作時のレスポンスや動画ファイルを再生した際の体感的な速度は上々。電源管理に関してはバッテリ残量が落ちてくると、動作が若干不安定になる部分もあったが、これは機材固有の問題で製品版では改善されるという。

 価格はオープンプライスで、実売価格は5万円台後半。他社のPocket PC 2002マシンは軒並み実売6万円を超えている中、これだけの機能と拡張性をそろえている製品としてはかなり割安な印象だ。本機の強みはPC用周辺機器やiアプリなど既存の資産を効果的に活用できる点にある。その意味で応用の範囲は広く、他社製品にはない、大きな可能性を秘めたPDAということができる。


MG/PG5000の主なスペック
CPU StrongARM-206MHz
メモリ 32MB(RAM)+32MB(ROM)
モニタ 3.8インチ反射型カラーTFT液晶、240×320ドット/6万色
スロット コンパクトフラッシュ(TypeII)×1、SDメモリーカード×1
電源 専用リチウムイオンバッテリ
バッテリ駆動時間 約12時間(非通信時)
本体サイズ 78(W)×126(D)×18.5(H)mm
重量 190g

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