さらに強化された拡張性
通信のしやすさは「TRGpro」譲り
スロットは本体上面に装備。TypeIIのCFスロットとSDメモリーカードに対応している。 |
先代モデル「TRGpro」の拡張性は、本機でも受け継がれている。TRGproはTypeIIのCFカードスロットを搭載し、PHSデータ通信カードを差すことで簡単に通信環境を実現できたが、それは本機でも同様だ。NTTドコモの「P-in Comp@ct」やDDIポケットの「C@rd H”Petit」などを入手し、フリーのWebブラウザやメーラを導入すれば、ケーブルやかさばるアダプタ類なしで、気軽に通信環境を構築することができる。これらのPHSデータ通信カードを利用する際には、ファームウェアのアップデートと若干の通信設定の変更が必要だが、詳細は、HandEra 330の国内代理店の1つ「MDS」のWebサイトに詳しいので、そちらを参照してほしい。
また、本機はTRGpro同様「microdrive」の利用も可能なほか、SDメモリーカードスロットも装備している。容量や価格の点ではまだまだCFのほうが有利だが、PalmCompitingの「m505」など、本機以外のSDメモリーカード対応製品と連携を取ったり、CFスロットに周辺機器を差したままの状態でデータのバックアップを取れるなど活用の範囲は広がる。
メモリーカード関連のアプリケーションとしては、本体メモリのバックアップが取れる「BackUp」、本体/カード内のデータの複製/移動/削除ができる「CardPro」などが付属している。ただし、OSがPalm OS 3.5ベースのため、「CLIE PEG-N600C」のようにカード内に保存したアプリケーションをホームメニューから直接起動できないのは残念だ。
ジョグスイッチ搭載で操作性が向上
ボイスメモ搭載はPalm初
ジョグスイッチとボイスメモのボタンは本体側面に装備。親指で簡単に操作できる。 |
それ以外の新機能としては、本体左側面に装備された「ジョグスイッチ」と「ボイスメモ」ボタンが挙げられる。これらのボタンは、環境設定(Pref)からカスタマイズし、アプリケーションの起動などに割り当てることもできる。
ジョグスイッチは、CLIEのジョグダイヤルに比べると利用できるメニューに制限があり、「Backボタン」がなく1つ前の画面に戻れないといった、もう一歩の改善を要望したい部分もあるが、多くの操作を片手で簡便に行える点は、大きく評価できる。ボイスメモはPalmデバイスとしては初めて標準搭載された機能で、本体右上に内蔵されたマイクからWAVE形式で240分の録音が可能。音声でメモを残すというのは、日本ではあまりなじみのない習慣だが、その場合は、利用頻度の高いアプリケーションの起動ボタンにアサインし直してもいいだろう。
Palmデバイス随一の実用性
望むのはOSの強化
大きさの比較、左から順にコンパックの「iPAQ」、「HandEra 330」、日本IBMの「WorkPad c3 50J」 |
それ以外の基本スペックは、CPUにDragonball VZ-33MHz、8MBメモリ、16階調表示のモノクロ液晶など、最近のPalmデバイスでは標準的だ。電池は単4乾電池4本を使用する。
このように、HandEra 330は、豊富な機能をコンパクトにまとめた非常に実用的なPalmデバイスである。TRGpro譲りの拡張性やハイレゾフォントによる見やすいテキストなど、見どころも多い。惜しむらくは、Palm OSが一世代前の3.5ベースで、4.0で新たにサポートされた新機能(外付けメモリカードからのアプリケーション起動やWebClipping、USBへのネイティブ対応など)が利用できない部分だが、Palmデバイスを外出先で通信端末としても使用したいユーザーにとって、最も魅力的な選択肢となることは確かだ。
製品名 | HandEra 330 |
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OS | Palm OS 3.5.2 |
CPU | Dragonball VZ-33MHz |
メモリ | 8MB |
表示 | 240×320ドット/16階調 |
液晶 | バックライト付きモノクロ液晶 |
本体サイズ | 81(W)×121(D)×17(H)mm |
重量 | 約167g(バッテリ含む) |
バッテリ | 単4乾電池×4本 |
バッテリ駆動時間 | 約4週間 |